1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 脱炭素先行地域 第1弾にさいたま市 横浜市 川崎市 その取り組みとは

脱炭素先行地域 第1弾にさいたま市 横浜市 川崎市 その取り組みとは

  • 2022年4月27日

国は2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするとしています。この取り組みの先駆けとなってもらう地域として、関東地方からはさいたま市、横浜市、川崎市が選ばれました。先行地域として20年早い2030年度までに「脱炭素」を目指します。二酸化炭素排出の実質ゼロに向け、取り組みの内容や課題をまとめました。

脱炭素先行地域の第1弾 関東地方から3か所

「脱炭素先行地域」は電力消費に伴う二酸化炭素の排出を実質ゼロにするなど、全国に先駆けて2030年度までに「脱炭素」を実現する地域です。
国は、それぞれの地域の「脱炭素」の取り組みを後押しし全国に広げるきっかけにしていきたいとしていて、3年ほどかけて100か所以上を選ぶ方針です。
その第1弾として、関東地方では、さいたま市、横浜市、川崎市の3か所が選ばれました。

さいたま市 横浜市 川崎市 取り組みの概要は

〇さいたま市の取り組み
・公共・商業施設に太陽光発電
・シェア型の小型電気自動車の普及

このうち、さいたま市では公共施設や商業施設で太陽光発電の導入を進めるとともに再生可能エネルギーを活用したシェア型の小型電気自動車などの普及を図るとしています。

〇横浜市の取り組み
・みなとみらい地区の商業施設など
 郊外の太陽光パネルから電力供給

横浜市では、みなとみらい地区の商業施設やオフィスビルに、郊外の市営住宅や小中学校の屋上に設置する太陽光パネルから電力を供給し、「脱炭素」を進める計画です。

〇川崎市の取り組み
・溝の口周辺の民間・公共施設に
 太陽光発電や蓄電池の導入
・公用乗用車に次世代自動車を導入

川崎市は、溝口周辺の民間施設や全ての公共施設で太陽光発電や蓄電池の導入を進めるとともに、2030年度までに全ての公用乗用車に次世代自動車を導入するとしています。

再生可能エネルギー活用 コストやメリットは

「脱炭素先行地域」に選ばれた横浜市の「みなとみらい地区」には64の施設が建ち並び、1800もの会社や店などが事業を行っています。
このうちショッピングモールやオフィスなどが入る「クイーンズスクエア横浜」は、空調や照明など使われる電力は一般家庭およそ1万世帯分に上ります。

電力を再生可能エネルギーでまかないたいとしていますが、太陽光パネルをみずから設置できるスペースが限られています。
このため再生可能エネルギー由来の電力を外部から調達する必要があり、追加のコストがかかると想定されます。それでも「脱炭素」に取り組むことは、施設の魅力を高めるメリットがあると考えています。

「クイーンズスクエア横浜管理組合」戸田哉 理事長代理
「再生可能エネルギーの導入などには、どうしてもコストがかかってしまうが、新たな取り組みを始めた場合に費用対効果をどの程度出せるのか、検証を行っている。知名度が高いみなとみらい地区で、『脱炭素』に取り組んでいることを多くの人たちに知ってもらいたい」

先行地域応募に同意は半数 その理由

一方、こうした地区で脱炭素を目指すには課題もあります。横浜市や共同提案者になっている地区のまちづくりを担う団体は、立地する64の施設の所有者に、「先行地域」に応募して2030年度までの「脱炭素」を目指すことを呼びかけました。

再生可能エネルギー由来の電力に切り替えた場合のコストの増加を受け入れられない。
入居するテナントの同意を得るのが難しい。
会社として2050年の脱炭素を目指す中前倒しは難しい。

しかし、同意を得られたのは半数の32で、「先行地域」は地区全体ではなく、同意が得られたビルに限られました。

一般社団法人「横浜みなとみらい21」古木淳 企画調整部長
「当初は3割程度のビルしか同意を得られなかったが、地区のブランド力を向上させる必要性を説明し、半数まで同意を得ることができた。
地区の魅力を維持していくためには、新たな価値を創造することが重要で、中でも『脱炭素』の実現は企業の誘致などに効果があると考えている。将来は『先行地域』を地区全体に広げられるよう働きかけを続けたい」

“地域の課題解決や経済にも効果ある事業を”

「脱炭素先行地域」の審査を行った専門家の1人で京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は、「単に再生可能エネルギーの設備を作るようなハード面の整備だけではなく、地域の合意を得ながら、採算性をもって持続可能な形で設備を運用できるのかどうかを重視して審査を行った」として上で、次のように話しています。

京都大学大学院経済学研究科 諸富徹 教授
「我慢して省エネを求められ、コストもかかるという事業だと、地域の合意形成はなかなか進まないと思う。『脱炭素』を実現するだけでなく、取り組むことによって地域の課題解決や経済にも効果があるような事業を進めていくことが、『先行地域』から全国に『脱炭素』を広げるポイントではないか」

先行地域に予算を優先配分 国が後押し

「脱炭素先行地域」には今回、全国では19の道府県のあわせて26か所が選ばれ、関東地方の3か所に加え、甲信越地方では新潟県佐渡市、長野県松本市も選ばれました。
新潟県佐渡市は耕作放棄地などに太陽光パネルを設置するとともに、島の中でエネルギーを効率よく使うシステムを構築することを目指すほか、長野県松本市は、乗鞍高原に、小水力発電施設を導入するなど「ゼロカーボンパーク」を目指すということです。

国は2022年度、新たに設けた200億円の予算を優先的に配分するなどして、全国の「先行地域」の取り組みを後押しすることにしています。また、今後も年に2回ほどのペースで選定を行い、2050年までに全国に「脱炭素」を広げるきっかけにしていきたいとしています。

ページトップに戻る