ウクライナからの避難民は4月17日時点で661人。こうしたなか、避難してきた子どもたちの学習支援が課題となっています。
ウクライナの学校で使っていた教科書をスーツケースいっぱいに詰めて日本に避難してきた女性。そこには、子どもたちの教育を止めてはいけないという思いが込められていました。
出入国在留管理庁によりますと、ウクライナからの避難民は4月17日時点で661人に上っています。
内訳は、4月5日に政府専用機で避難してきた人が20人、4月9日と16日に政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人があわせて20人、そのほかの手段で避難してきた人が621人となっています。
ウクライナの首都キーウから3月、ウクライナ国内に夫をのこし、3人の子どもとともに知人を頼って避難してきたオルガ・ジュラベルさん(43)。千代田区内で日本での生活を始めています。
オルガ・ジュラベルさんと3人の子ども
オルガさんは、子どもたちの教育を止めてはいけないという思いから、子どもたちがウクライナの学校で使っていた教科書をスーツケースいっぱいに詰めて日本に避難してきました。
オルガさんは教育を受ける機会を失わせたくないと区に相談し、次女で、小学6年生のオリビアさんと長男で、小学3年生のヤンさんは4月から区内の小学校に通っています。
授業を受けるオリビアさん
小学校では、週に3回日本語を教わる時間が設けられていて、20日はオリビアさんが日本語指導の担当者から教わりながらどうぶつの単語を読み上げたり、ひらがなを書いたりしていました。
そして、休み時間になると、クラスの友だちがオリビアさんのもとに集まって日本語と英語を交えながら話し、オリビアさんはウクライナ語の単語を友だちに教えていました。
また、クラスの友だちがオリビアさんが読めるように、ウクライナ語に翻訳して作った学級新聞を手渡す場面もありました。
オリビアさん
「学校は好きです。特に、体育や給食、それに絵を描くことが好きです。また、友達をつくりたいです。友達ができれば助けてもらえるし、わたしも友達を助けられるからです」
小学校では日本語指導のほか週に2日、通訳を置くなど支援しています。
村田悦子校長
「ことばの壁やメンタル面でのサポートを行いながら学べる環境を作っていきたい」
オルガ・ジュラベルさん
「ウクライナに残っているほかのこどもたちよりも精神的に負担が軽いと思います。ただ、侵攻の当初は爆発音や飛行機の音などをとても怖がり、とても神経質になっていました。
子どもたちはとても日本の学校が好きです。先生たちもとても優しいし、面倒をよくみてくれます。子どもたちが勉強できて私もうれしいです。
しかし、日本語が分からないことを一番心配しています。特に、6年生のオリビアは小学校最後の学年なので、私はとても気にしています。彼女はあまり理解できていないかもしれないので、中学校で困るかもしれない。
当面は日本の学校に通うことになると考えています。戦争が終わってもおそらく2年から3年はウクライナは安全ではないので戻れないでしょう」
ウクライナから避難してきた子どもたちの学習機会を確保しようと、文部科学省は学用品の費用を支援したり給付型奨学金を支給したりする制度を弾力的に活用するよう、全国に通知しました。
この中では、非常事態の中で入国し生活基盤の安定には時間がかかるとして、市区町村が経済的に厳しい家庭の小中学生の給食費や学用品などの費用を支援する就学援助制度や、都道府県が高校生のいる家庭に給付型の奨学金を支給する修学支援制度について、通常の手続きは困難でも利用できるとしています。
あわせて、高校の授業料の免除や減額制度の積極的な活用も呼びかけています。
また、各団体が作成したウクライナ語などの資料を掲載している文部科学省の情報検索サイト「かすたねっと」も紹介しています。
そのうえで、避難してきた子どもたちは困難な状況に直面しているとして健康や心情に配慮した支援や環境づくりを行うよう求めています。
文部科学省では相談体制を強化するため、ヘルプデスクも新たに設けています。
文部科学省のヘルプデスク
番号:0120-082-434
時間:平日の午前9時半~午後6時15分
言語:日本語と英語で相談