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学校の給食や行事 千葉県が制限緩和 給食は「対面での黙食可」

  • 2022年4月15日

新型コロナ対策のまん延防止等重点措置が、3月に解除されて3週間あまり。飲食店での酒の提供など制限が緩和される中、いまも学校現場ではさまざまな制限が続いています。
こうした中、千葉県は、学習や行事などの制限を独自に緩和する方針を決めました。

千葉県 学習や行事などの制限 独自緩和

文部科学省が示した学校での感染対策についてのマニュアルでは、入学式などの行事で参加人数を抑えることや、給食のとき机を向かい合わせにしないなどとしています。

こうした中、千葉県は、これまでこのマニュアルに沿って感染対策を進めてきましたが、学習や行事などの制限を独自に緩和する方針を決めました。

具体的には、これまで自粛されてきたグループ学習や実技や実習、それに校外学習は基本的に実施し、修学旅行についても訪問先の感染状況に留意して実施できるとしています。

また入学式や卒業式などの式典は、参加者の人数制限を行わず保護者なども参加して実施することにしています。
さらに給食や昼食の際、飛沫を防ぐ対策をして会話をしなければ、机を向かい合わせにしてもいいなどとしています。

一方、マスクの着用や換気などの基本的な感染対策は引き続き徹底するとしていて、千葉県教育委員会はこうした方針を県立学校や市町村の教育委員会に通知することにしています。

学校のコロナ対策「見直し必要」熊谷知事

学校での新型コロナウイルス対策について、千葉県の熊谷知事は自身のツイッターで見直しが必要だと発信していました。

4月8日のツイートでは、現在、スポーツのイベントでは定員まで収容できる一方、学校などの行事や式典では1席空けて座り、当事者以外の出席者が制限されていることを指摘した上で、「バランスを欠く状況に社会全体で見直しが必要な時期です」と書き込みました。

そして「各部署においてコロナ当初から惰性で続けている対応は無いか、点検することを指示しました。疫学上効果が無く、何かが犠牲になっているものの見直し機運を高めていきます」と発信しました。

知事の一連の投稿に対してあわせて4000件近い反応があり、特に教育現場での対策についてのコメントが多く見られました。

学校での過剰なコロナ対策、緩和していくとのことで本当に期待しています
楽観論やめてください

熊谷知事(14日の会見)
「子どもたちの大切な思い出となる機会を奪わないよう多様な教育活動の実現に、一歩踏み出してほしい。学校でこれまでの感染対策のレベルを下げずに柔軟に対応してほしい」

“先取り”した現場では

今回の千葉県の制限緩和では給食の際、感染対策をすれば机を向かい合わせにしてもいいなどとしていますが、すでに同様の対応をとっている中学校があります。

柏市の県立東葛飾中学校では給食の際、向かい合って座る一方、飛沫が飛ばないように仕切りを設置したうえで、会話をしないで食事をとるようにしてきました。

さらに食事前の手洗いを呼びかける貼り紙を掲示したり、食事の際マスクを外す時間をなるべく短くしたりして、感染対策を徹底しています。
この中学校ではこれまでに新型コロナウイルスの集団感染は起きていないということです。

生徒

しゃべれない給食は、おいしいのはおいしいですが、楽しいというかそういう幸せがないなと思う。透明のガードをはさんで目と目が合ったときに、にこっとしあえるのはいいなと思います。

生徒

コロナ禍が早くよくなって、みんなでいっしょにご飯を食べられたらいいなと思います。

東葛飾中学校 篠木賢正校長
「子どもたちの活動の制限が緩和されることは大変うれしく思っている。これまで様々なことを我慢してきた子どもたちのためにも、引き続きしっかり感染対策を実施していきたい」

専門家「対策少しずつ変えること大事」

国際医療福祉大学 和田耕治教授
「入学式ではマスクをしていれば感染対策ができているので保護者も参加できる。新型コロナへの対策が2年以上にわたる中で、子どもたちへの心理的な影響が大きくなってきている。子どもたちにとって何が大事なのか考えて対策を少しずつ変えていくことが大事だ」

取材後記

私(記者)が小学生や中学生のとき、給食の時間は友達と楽しく話しながら過ごす時間でした。また、入学式や卒業式に親と一緒に写真を撮ったり、県外へ修学旅行に行ったりした思い出が鮮明に残っています。こうした私にとって当たり前だった思い出が、新型コロナによって、今の子どもたちから奪われてしまっています。
さらに、飲食店で酒類提供が再開されたり、イベントで収容人数が緩和されたりしているのに、なぜ子どもたちが通う学校だけ制限が続いているのかという、疑問を持っている人も多かったのではないでしょうか。
今回、千葉県が学校の新型コロナ対策の制限緩和に動いたことは、こうした社会的な課題を見直す大きな一歩ではないかと感じました。
ただ、制限を緩めることで生じるリスクもあることも忘れてはいけません。今後も感染防止対策を徹底すると同時に、子どもたちには学校生活の中でしかできない経験を通してたくさんの思い出を作ってほしいと、強く思いました。

  • 坂本譲

    千葉放送局記者

    坂本譲

    2020年入局。千葉局所属。警察・司法を経て現在、千葉県政を担当。 教育現場や通学路の安全問題などを取材。

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