生理用品が十分に手に入らない、いわゆる「生理の貧困」に直面している人を支援しようと、東京・江戸川区は公共施設のトイレに、無料で生理用品を受け取れる専用の機器を設置する取り組みを3月から始めています。
こうした取り組みは、首都圏の自治体でも広がり始めています。
経済的な困窮や親のネグレクトなどが原因で、生理用品を十分に手に入れることができない、いわゆる「生理の貧困」をめぐっては、ことし2月、国が3000人の女性に行った実態調査で、10代と20代の12%余りが生理用品の購入や入手に苦労したことがあると答えました。
こうした人たちを支援しようと、東京・江戸川区は、図書館や文化施設など10の区立の施設にあるトイレの個室に、無料で生理用品を受け取れる専用の機器を3月下旬から設置しました。
この機器が設置している江戸川区内の場所
・区役所本庁舎 ・タワーホール船堀 ・区立中央図書館(6月30日まで休館中)
・松江図書館(松江区民プラザ内トイレ)・小松川図書館 ・篠崎図書館 ・葛西図書館
・西葛西図書館 ・東葛西図書館 ・東部図書館
この機器はトイレの壁などに設置されていて、初めて使用する時はQRコードを読み取り、専用アプリをダウンロードします。そしてスマホをかざすと、生理用品が出てくる仕組みになっています。
区民でなくても使用できるほか、機器のモニターに流れる広告で費用が賄われるため、無料にすることができるということです。一方、大量の持ち帰りを防ぐため2時間に1枚、25日間で7枚の制限が設けられています。
この機器の設置から2週間ほどで合わせて260枚余りの生理用品が受け取られたということです。
江戸川区生活援護第三課 石原詠子 課長
「生理用品を手渡す取り組みは受け取る側として気恥ずかしさもあったかもしれません。その点でトイレの個室で誰とも接触なく必要な時に受け取れるのは利用しやすいと思います。『急に生理になった』など生理にまつわる困りごとは多くの女性が抱えています。生理に伴うストレスが少しでも軽減できたらと思います」
首都圏でも対策を進める自治体が出てきています。
・東京都 76%
・神奈川県 74%
・埼玉県 72%
・茨城県 56%
・千葉県 53%
・栃木県 46%
・群馬県 33%
東京・葛飾区はこれまで区内の小中学校の保健室で個別に生理用品を手渡していましたが、今年度からはトイレの個室に生理用品を配備することを決めました。
東京の都立学校も去年9月から女子トイレの手洗い場などに生理用品を置き、必要な生徒や児童がいつでも使えるようにしています。
さらに品川区は区内の小中学校のトイレに生理用品を配備するほか、公共施設でも専用のカードなどを見せれば生理用品を無償で受け取れる取り組みを始めています。
このほか、豊島区や中野区も公共施設のトイレに無償で生理用品を受け取れる機器を設置するなどしています。