新型コロナ対策で東京都などに適用されていたまん延防止等重点措置は解除されましたが、都内ではオミクロン株の一種で感染力が強いとされる「BA.2」が広がっています。今後の見通しについて国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は「人の接触の頻度が高まる時期のため4月半ばぐらいからは減少せず、むしろ増えてくる可能性がある」と指摘しています。その詳しい内容です
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
感染者が徐々に減っているような状況といっても、第5波のピークとあまり変わらないくらいのレベルです。少なくとも今は安心できるレベルのところまでは感染が落ち着いてないと思います。
感染が落ち着いてない時に人が動けば、その後はどうしても感染者は増えます。1週間、2週間では、そう簡単に数字にあらわれないわけですが、1か月後くらいにやはり増えたとなります。
抑制策をとらないで人の行動が活発になっていくのであれば、順調に減るというよりは、そのまま高止まり、あるいは上昇に転じる可能性もあります。
高齢者はワクチンの接種率がかなり上がってきて、少しいい方向に向かっていると思います。
ただ、心配しているのは子どもたちの感染です。子どもたちをどう守るか。5歳未満のワクチンで守れない小さいお子さんたちをどうやって守っていくのか。残念ながら具体策が見えてきていません。
最近の傾向として、子どもがまず感染して、そこから家庭に広がっていくパターンが大分ふえてきています。子どもたちを対象に、しっかり感染対策をしましょうというのは難しいわけで、10歳未満の子どもたちの感染対策がしっかりなされないのであれば、感染の広がりをすぐに抑えるのは難しい。子どもたちについては、まだかなり厳しい状況で、簡単に感染者数が大きく減るパターンはなかなか思いえがけないと思います。
東京都内の感染状況について、24日の東京都のモニタリング会議で専門家は、4段階のうち最も深刻なレベルを維持しました。
理由については、オミクロン株の一種で、現在広がっているウイルスよりも感染力が高いとされる「BA.2」と呼ばれる系統への感染の疑いがある人の割合が、都のスクリーニング検査では今月14日までの1週間で38.5%となり、前の週から20.7ポイント上昇していることをあげています。
「BA.2」の影響や今後の感染の状況について聞きました。
日本でも「BA.1」より感染力が高いとされる「BA.2」の割合が少しずつ増えてきています。少なくとも今後の感染増加の主要な要因は「BA.2」になってくるのではないかと思います。
これから暖かくなって、人の接触の頻度が高まる時期ですので、3月下旬から4月前半はかなり人の動きもあるでしょう。それが少しずつ数に反映されてくるとすれば、4月の半ばぐらいからは減ってこない、むしろ増えてくる可能性があります。
そこに「BA.2」の影響が重なってくれば、増え方が顕著に上がってくる可能性があって、4月後半は、感染者の数は、そこそこの数に増えてくるのではないかと思います。
大型連休も重なって地域間の人の移動が出てくると、普通は、感染の増加は大都市圏から広がっていきますが、地方に分散していくような状況になり、5月に入って、今度は逆に地方でも感染者がふえてくるようなことがあるかもしれません。
まん延防止等重点措置が22日に解除され、社会経済活動の回復に向けた動きが進む一方、感染拡大への警戒も怠ることはできない状況にネットではさまざまな声があがっています。
解除以降マスク無しで大人数で騒ぐ人達を見るようになった。いまは自重が大事では。
卒業、入学入社シーズンを迎え、多くの人は気が緩むと思う。
解除されても、気軽に飲食に誘える雰囲気にはならない。
入学式に保護者1人しか参加できないなんて。
上司が在宅勤務をなしにしようと言っている。解除と同時に終息したと思っているのか。
重点措置の解除と感染対策の継続という難しい判断が求められるいま、私たちはどんなことを意識して生活を続けていけばよいのでしょうか。
この感染症の手ごわいところは、無症状の感染者数がいることです。街に出ていけば、場合によっては感染するリスクがあります。自覚していない感染の状態で普通に話をすれば、簡単にいうと一緒に食事をとった人たちが、ほぼ感染してしまうわけです。無防備になってしまうと、いたるところでまたクラスターが起こりかねないと思います。
みなさん家から出ないでくださいとか、人と会わないでくださいとか、そこまでの状況はないと思います。 ただ、人と会うにしても、感染に配慮しながら会うのと、もういいんじゃないかと楽観視して会うのとではやはり話が違います。会ったとしても例えばマスクは基本的に外さない、会話はなるべく大声を出さないことに配慮してもらって、しっかり換気をするということをすればリスクを減らせます。
ゼロにできなくてもリスクを減らすことは大事なことです。みなさんが配慮して行動すれば、感染の広がり方は確実に抑えられます。