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なぜ電力需給ひっ迫 警報発令の遅れ 供給力低下や送配電網など課題も

  • 2022年3月24日

「電力需給ひっ迫警報」が初めて出された東京電力管内では、電力の使用率が一時100%を超えて、数字のうえでは需要が供給を上回ってしまう異常事態まで起きました。ひっ迫の要因をみてみると、警報の発令の遅れのほか、火力発電の供給力や電力の融通など構造的な課題も見えてきました。今回の事態で浮き彫りになった課題と専門家の見方をまとめました。

3時間遅れ 電力需給ひっ迫警報

電力需給ひっ迫警報は、東日本大震災と原発事故で、電力需給がひっ迫したことから、2012年に導入された制度です。
翌日の電力供給の余力、いわゆる「予備率」が、最低限必要とされる3%を下回る見通しになった場合、午後6時をめどに政府が発令して家庭や企業に対して広く節電を呼びかけます。

結果的には東京都内でも雪が降るような寒さとなった今回、寒さが予想されるなか、天気予報をもとにした太陽光の発電量や暖房使用の増加などの分析に時間を要し、記者会見で発令を発表したのは21日の午後9時すぎにずれ込みました。
このため、周知時間も遅れ、資源エネルギー庁から各省に対し業界団体への節電要請を依頼したのは連休明け22日の午前8時以降の時間帯でした。こうしたことが節電の遅れにつながったとみられています。

節電効果があらわれた時間帯は

東京電力は当初、10%程度の節電を呼びかけました。東京電力が示した節電協力の数値をみますと、22日の午前中は節電の取り組みが進まず、午前8時台から午後2時台までは東京電力が目標とした水準に対して達成率が34%と低い水準にとどまりました。
このため、萩生田経済産業大臣が緊急記者会見を開くなどしてさらなる節電を呼びかけました。

その影響があったのかどうかは分かりませんが、午後3時台から午後11時台までには目標の達成率が101%となりました。その結果、午前8時から午後11時台までの1日を通した最終的な節電目標の達成率は72%となりました。

経済産業省 小川要電力基盤整備課長
「(電力需給ひっ迫警報を)もっと早く出すことはできなかったのかという声もある。電力需給の見通しを出す前提となる天気予報も変わるものだが、情報発信の仕方には工夫の余地がある。今後検証が必要だ」

構造的な課題 火力発電の供給力低下

電力需給のひっ迫が繰り返される背景には構造的な課題もあります。そのひとつに火力発電所の供給力が落ちていることがあります。背景となっているのは太陽光発電の導入拡大です。

東京電力管内で太陽光発電は晴れる日などはおよそ1800万キロワット、大型の火力発電所18機分の出力になりますが、22日のように雨や雪が降る日にはほとんど発電しません。また、夜間も発電できません。この不足分を補うため、火力発電所が使われます。

しかし、火力発電は太陽光による発電が増える日中の時間帯などは需要に合わせて、出力を落とす必要があり、その結果、採算が悪化してしまいます。電力会社の間では、効率の悪い老朽化した火力発電所の運転を取りやめる動きが相次いでいて、電力供給が足りなくなるという事態が起きやすくなります。

構造的な課題 電力融通の送配電網

さらに電力会社の間で電力を融通し合う送配電網の整備も構造的な課題です。今回のひっ迫で東京電力は当初、ほかの大手電力会社7社から融通を受けました。

ただ、西日本からの送電は電気の周波数が異なり、変換設備で周波数を変える必要があります。東日本大震災以降、周波数を変える容量は増強されていますが、西から送ることができる電気には限界があるのが実態です。
また、北海道から本州に送電する送電線の容量も、ほかのエリアと結ぶ連系線と比べぜい弱です。

経済産業省 小川要電力基盤整備課長
「東日本大震災当時に比べると西から送る容量は拡大しているので、当時より広域的な運用は全国レベルで広がっているものの、まだまだ安定供給という観点からも地域からの連携広げて融通の余地増やすこと大事だと改めて確認した」

“電気をためる仕組みの整備を”

日本総研創発戦略センター 瀧口信一郎シニアスペシャリスト
「化石燃料は将来的に減らしていかないといけないが、水素やアンモニアも活用しながら上手に減らしていく必要がある。原子力についても、将来の人材育成も含めて、議論していくことが求められることになる。
また(送配電網)整備には大きなコストがかかる一方、ヨーロッパなどの大陸と比べると得られるメリットには限界がある。構造的に整備が進みづらい現状がある。
今後、再生可能エネルギーを増やしながら、電力の安定供給を両立させるためには太陽光の発電ができなかったときの仕組みも必要で、蓄電池や電気自動車の活用など電気をためることができる仕組みの整備を急ぐ必要がある」

東京電力管内の「電力需給ひっ迫警報」を解除するにあたり、経済産業省と東京電力の担当者は23日、家庭や企業による節電が今回の電力需給ひっ迫を解消するのに大きな役割を果たしたという認識を示しました。
その一方で、電力需給がたびたび厳しくなることについて資源エネルギー庁の小川課長は「発電所の建設計画などから中長期的に全国で電力の供給力の余裕がなくなっており、この1、2年は厳しい状況だ。必要な供給力を確保するためにどのような政策が必要か検討している」と述べました。 

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