「しあわせなときの地図」、「ぼくがラーメンたべてるとき」、「せんそうがやってきた日」。いずれもロシアの軍事侵攻後、注目されている絵本です。ウクライナで起きていることをどう捉え、子どもたちに何を伝えたらいいのか。
絵本の専門家がいま、オススメする絵本や読み聞かせの時のポイントを紹介します。
都内の絵本専門店は、戦争や平和をテーマにした絵本300冊のコーナーを設けていて、小さな子どもを持つ保護者から「戦争をどう伝えていいのか分からない」などの問い合わせが寄せられているということです。
子どもたちに、今あるニュースの中で、どういうことが起きているというのを、現状のウクライナ情勢だったりとか、具体的に話せるきっかけになります。絵本を読んで子ども自身に今起きていることを考えられるようになってほしい。
ウクライナで起きていることを子どもたちにどのように伝えたらよいのでしょうか。9万冊の絵本を扱うインターネット書店の磯崎園子編集長に聞きました。
磯崎園子 編集長
子どもたちが自分自身で『戦争は嫌だ』とか『平和って何だろう』っていうことを考えられるようになっていくことっていうのが、未来を変えていける可能性というのが少しでもあるのかなと思います。
年齢別のオススメを紹介してもらいました。
・「へいわってどんなこと?」
平和をふだんの生活と結びつけて考えていくもので、小さな子でも平和や戦争がどういうものか想像しやすい内容です。
・「どうぶつ会議」
戦争をやめることができない人間たちを見かねて動物たちが会議を開くという内容で、70年ほど前の本ですが、いまこそ読まれるべきだといいます。
・「ぼくがラーメンたべてるとき」
主人公の男の子がいまこのとき、自分の周りの人やほかの国の人がどのように過ごしているのか、想像をふくらませるという作品です。“となりの子は何をしてるかな”、“よその国の人はなにしてるかな”と、想像を広げていくことの大切さを知ることができます。
磯崎園子 編集長
「僕が今ラーメンを家で食べている時に、例えば隣の部屋の子は何をしてるかな。隣の町の子はどういうことをしてるのかな。じゃあ隣の県は、隣の国はっていうふうに想像を広げていったときにすごく手助けになってくれる絵本だなって思います」
・「せんそうがやってきた日」
・「しあわせなときの地図」
いずれも日常があっという間に失われる怖さを伝えています。
磯崎園子 編集長
戦争というのは、破壊された瞬間のおそろしさも当然あるんですけれども、その後の居場所というのもすべてなくしてしまうっていう、そういうものが戦争なんだっていうことが小学生にもしっかりと理解できる内容になっています。
子どもに読み聞かせるときに大切なこととして磯崎さんは3つポイントをあげています。
・「子どもの感想に耳を傾け、会話しながら読むこと」
・「考えこんでいる時はそっとしてあげるってこと」
自分で気付き、発見するということを大事にしてほしいと言います。
・「怖そうにしていたらそれ以上無理に読み続けず、不安にさせないこと」
インターネット書店 磯崎園子編集長
「何を知りたがっているのか耳を傾けてあげる。その好奇心というのが一番大事な部分なので、想像力を大きく広げ、世界のことを知っていく入り口として大人が見逃さないのが大切だと思います。『あっ、これは私の気持ちに重なる、理解できる』そういう絵本から手にとって親子で読んでみるのいいかなと思います」