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子どものワクチン接種 副反応と安全性の最新データ 専門家の見解は

  • 2022年4月14日

新型コロナウイルスのワクチンの5歳から11歳の子供への接種が本格化し、国内ではこれまでに53万回あまりの接種が行われ16人に副反応が疑われる症状が報告されたということです。接種の判断材料となる副反応や長期的な影響、効果について、子どもへの接種を進めているアメリカの分析結果など海外の情報と、2人の専門家の見解をまとめました。

53万回余の接種 16人に副反応疑われる症状

5歳から11歳の子どもを対象にした新型コロナウイルスのワクチンは、3月から接種が本格化しています。
厚生労働省によりますと4月1日までに推定で53万4000回あまりの接種が行われました。この間にあわせて16人で副反応が疑われる症状が報告されたということです。

症状が重かったのは2人で、このうち7歳の男の子は心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」、それにウイルス性の咽頭炎と診断されたということです。
また、10歳の女の子はリンパ節の腫れや発熱などが見られましたが、2人とも回復か軽快をしたとしています。

このほかあわせて14人が、接種の痛みや緊張によってめまいなどを起こす「血管迷走神経反射」などと報告されましたが、いずれも症状の程度は重くなかったとしています。

接種との因果関係については、今後、評価を行うということです。厚生労働省は現時点でワクチンの接種体制に影響を与えるほどの重大な懸念は認められないとしています。

子どもの接種のリスクと利益 海外では

ワクチンの接種は、接種による効果などの利益が副反応などのリスクを上回った場合に推奨され、5歳から11歳の子どもに対するワクチン接種について、アメリカでは、CDC=疾病対策センターが安全で有効性も高く利益が上回るとして推奨しているほか、カナダやフランスなどでも推奨しています。
一方で、イギリスやドイツは、重症化リスクが高い子どもや、免疫の働きが弱くなっている人と同居している子どもなどは接種が可能としています。

〇子どものワクチン接種 利益とリスク
▽感染や重症化を防ぐ効果がある
▽周りに感染を広げない
▽学校などで安心して過ごせる
▼短期間の副反応が起きること
▼心筋炎などごくまれな副反応が起きるかどうか

CDCのワクチンに関する委員会では、去年11月、子どものワクチン接種の利益として、ワクチンによって新型コロナウイルスへの感染や重症化を防ぐ効果があることや、周りに感染を広げないこと、それに学校などで安心して過ごせることなどがあるとしました。
その一方で、リスクとしては、短期間の副反応が起きることやワクチンによる心筋炎などごくまれな副反応が起きるかどうかなどがあるとしています。

副反応 5~11歳は16歳以上より出る割合が低い傾向

副反応について、ファイザーのワクチンの添付文書によりますと、海外で16歳以上を対象に行われた臨床試験で確認された事例に比べると、有効成分の量を3分の1にした、5歳から11歳では副反応が出る割合が低い傾向にあり、ほとんどは1日から2日ほどで収まり、軽度から中程度だったとしています。

ワクチン接種後の副反応
※添付文書による 5~11歳 16歳以上
1回目 2回目 1回目 2回目
注射部位の痛み 74.1% 71.0% 77.8% 72.6%
疲労 33.6% 39.4% 41.5% 55.5%
頭痛 22.4% 28.0% 34.5% 46.1%
筋肉痛 9.1% 11.7% 18.0% 33.5%
悪寒 4.6% 9.8% 10.6% 29.6%
関節痛 3.3% 5.2% 9.9% 20.5%
38度以上の発熱 2.5% 6.5% 2.7% 13.6%

 

以下は、5歳から11歳の場合と16歳以上の場合を比較したグラフです。1回目接種と2回目接種について、それぞれ年代と症状の割合をまとめました。青色が5歳から11歳、橙色が16歳以上となっています。

副反応 心筋炎などの状況と長期的影響

アメリカでは、去年11月から5歳から11歳を対象にした接種が行われています。CDCはおよそ870万回の接種が行われた去年12月19日の時点で、接種後に出た比較的重い症状として100件が報告されていて、発熱が29件で29%、嘔吐が21件で21%、胸の痛みが12件で12%などとなっています。

また、心筋炎と診断された人は11人いて、全員が回復したということで、心筋炎の起きる頻度は12歳以上と比べて大幅に下がっていると紹介しています。

100万回の接種ごとに心筋炎が出た割合のCDCのデータです。

〇男性
▽5歳から11歳 1回目接種で0回・2回目接種で4.3回
▽12歳から15歳 1回目接種で4.8回・2回目接種で45.7回
▽16歳と17歳 1回目接種で6.1回・2回目接種で70.2回

〇女性
▽5歳から11歳 1回目接種データが少なく分析できず・2回目接種で2回
▽12歳から15歳 1回目接種で1回・2回目接種で3.8回
▽16歳と17歳 1回目接種で0回・2回目接種で7.6回

CDCの報告では、接種後に亡くなった人は2人いましたが、2人とも複雑な病歴があり、接種の前から健康状態が悪かったということで、死亡と接種との因果関係を示すようなデータはないとしています。

さらに、ファイザーなどのmRNAワクチンの体への長期的な影響について、専門家は、ワクチンの成分のmRNAは接種してから数日で分解されるうえ、mRNAを医薬品に使う研究は30年以上続いていて、これまでの動物を使った実験の結果などを踏まえると、長期的な影響が出ることは考えにくいとしています。

子どものワクチン オミクロン株は効果低下の報告

5歳から11歳のワクチンの効果について、ファイザーが去年行った臨床試験では、発症を防ぐ効果は90.7%でしたが、オミクロン株では効果が下がっているとする研究結果が3月に入って相次いでアメリカから報告されています。

アリゾナ州・フロリダ州など1364人の子ども
毎週検査で感染防ぐ効果を分析

アメリカのCDC=疾病対策センターが公表したワクチンで感染を防ぐ効果について分析した結果によりますと、去年11月から始まった5歳から11歳の子どもたちへのファイザーのワクチン接種で感染を防ぐ効果は、オミクロン株が広がった時期には2回接種したあと、2週間以上たった段階で31%でした。
上の年代の12歳から15歳ではデルタ株の時期には87%、オミクロン株の時期には59%とオミクロン株への効果は下がる傾向が見られました。

救急での受診や入院を防ぐ効果は

また、CDCは、ワクチンによって医療機関の救急での受診や入院に至るのを防ぐ効果についてことし1月までに新型コロナで全米10の州の医療機関の救急を受診したり入院したりした5歳から17歳の4万人余りについて分析した結果を3月4日の週報で公表しています。
それによりますと、オミクロン株が広がった時期に5歳から11歳の子どもにファイザーのワクチンを2回接種して2週間以上たった場合、救急での受診や治療に至るのを防ぐ効果は51%だったということです。
また、入院に至るのを防ぐ効果についてはデルタ株が広がった時期からオミクロン株の時期まで見た場合、74%だったとしていますが、入院に至った子どもが少なく、統計学的に有意ではなかったとしています。

CDCは、子どもたちでも新型コロナで重症化するケースがあり、まわりに感染を広げるおそれもあるとして、接種を推奨しています。

子どものワクチン 専門家の見方

小児の感染症に詳しい新潟大学 齋藤昭彦教授
「現在、感染者数の2割から3割程度が11歳以下の子どもたちで、対策をがんばっているが感染は広がっている。プラスアルファの積極的な感染対策が必要で、接種をした方がよいと考えている。たとえば、日本脳炎はかかる頻度は極めてまれでも、重症化を防ぐためにワクチンを定期接種で打っている。基礎疾患のある子どもは早めに接種することに異論はないと思う。副反応が起きる可能性はあるが、効果はある程度継続するし、今後、別の変異ウイルスの流行でも効果を期待できる。短期的に起こりうることと長期的に得られるものについてバランスよく考えてほしい」

小児の感染症に詳しい長崎大学 森内浩幸教授
「接種するメリットがデメリットを上回っているが、リスクの低い子どもは、急いで接種しなくてもよいのではないか。ワクチンは重症化を防ぐためのものと捉えるべきだ。5歳から11歳でも、重症化して命にかかわるおそれのある基礎疾患のある子どもたちは積極的に接種してほしい。健康な5歳から11歳の子どもは感染してもリスクが低い。有効性や安全性についてかかりつけの医師とも相談し、納得できる場合には接種を考えるという姿勢で十分だと私は思う」

2人の専門家は共通して「基礎疾患」のある人は重症化を防ぐために打つべきだとしています。そして、メリットとして、「学校などで安心して過ごせる」などを挙げています。さらに例えば「海外旅行に行きたい」といった希望など、それぞれの事情を積み上げた結果が、副反応というデメリットを上回るかどうかが判断材料になるということです。

5歳から11歳のワクチンは厚生労働省が無料で受けられる公的な予防接種に位置付けて接種を勧めている一方で、現時点では保護者に対して子どもに接種を受けさせるよう努めなければならない「努力義務」とはしていません。
厚生労働省は、保護者と子どもがかかりつけの医師とも相談してメリットとデメリットを踏まえた上で、接種するかどうか判断してほしいとしていて、子どものワクチン接種は最終的には保護者の判断に委ねられることになります。

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