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ウクライナ危機 ネオン・ヘリウム・アルミ・最先端医療にも影響

  • 2022年3月14日

製品の加工や検査に、ウクライナ産のさまざまなガスを使っている都内の中小企業からは、ロシアの軍事侵攻を受けて、供給不足や価格高騰への不安の声が出ています。
また、ヨーロッパからの航空便の欠航が相次いでいる影響で、「遺伝子治療」の研究・開発のための医薬品を製造する会社では、必要な資材の輸入の見通しが立たなくなっています。

ウクライナから輸入 「希ガス」に影響

東京・羽村市に工場がある「東成エレクトロビーム」は、航空や医療関連の部品などのレーザー加工を手がけています。
レーザーを発するのに必要なネオンガスや、検査に使うヘリウムガスなど、いわゆる希ガスは、ウクライナから輸入していますが、会社ではロシアの侵攻による影響を心配しています。

このため、会社は都の中小企業振興公社に今後の対応を相談していて、11日は公社の担当者が工場を訪れました。
このなかで、上野邦香社長は、ネオンガスなどの供給不足や価格の高騰などが懸念されると説明しました。
また、この工場で材料として使っているアルミはロシア産のものが多いとして、今後影響が出ないかも心配だと伝えていました。

これに対し、公社の担当者は原材料の調達が困難な場合に活用できる融資制度があることや、コスト削減の相談に対応する専門家の派遣など都の支援策について説明していました。

会社によりますと、ネオンガスの価格は、新型コロナの影響による輸送コストの増加などを背景にもともと上昇傾向が続いていたうえ、ウクライナへの軍事侵攻の影響でさらに上がり、供給不足への懸念も加わっているということです。

東成エレクトロビーム 上野邦香社長
「新型コロナや軍事侵攻の影響でネオンの価格は3割も上がっている。戦争が長引けばますます上昇してしまう。国や都の施策なども活用してリスクヘッジできるよう取り組んでいきたい」

最先端医療研究にも影響が

ロシアによるウクライナへの侵攻でヨーロッパからの航空便の欠航が相次いでいる影響で、「遺伝子治療」の研究・開発のための医薬品を製造する川崎市の会社では、必要な資材の輸入の見通しが立たなくなっています。

川崎市にある医療ベンチャー企業は、神経難病などの「遺伝子治療」の治験に使われる特殊なウイルスを製造していますが、この際に欠かせない培養容器やフィルターなどの資材は海外からの輸入に頼っています。

しかし、もともと新型コロナウイルスの影響で、輸入が遅れていたのに加えて今回のロシアによるウクライナの侵攻で、ロシアの領空を飛行するヨーロッパからの航空便の欠航が相次いでいることから一部の資材の入荷の見通しが立たなくなっているということです。

会社では、この夏以降に医療機関で行われる遺伝子治療の治験のためにウイルスを製造する予定ですが、このまま資材が確保できなければ、今後の治験のスケジュールにも影響が出るおそれがあるということです。

医療ベンチャー企業「遺伝子治療研究所」 浅井克仁社長
「この状況が長引けば、病気の進行が早い患者さんのなかには、治験が受けられなくなる方が出てくることもありえる。自分たちの努力だけではどうにもならない部分もあり、心苦しく思っている」

東京都が緊急支援策

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて原材料などの安定供給への懸念が広がるなか、東京都は中小企業などを対象とした緊急支援策を実施します。

このうち、中小企業に対しては、燃料や原材料などの価格の高騰やロシア企業との取り引き停止などの影響で売り上げが減少しているか、減少が見込まれる場合は、金融機関を通じて運転資金などとして1億円を限度に融資を行います。

また、コスト削減や省エネ対策などに向けたアドバイスを行う専門家を派遣するとともに、必要な設備を導入する費用の一部を助成します。

農業や漁業、林業の事業者に対しては、燃料や資材などのコストが増加している場合、法人に1000万円、個人に200万円を限度にした無利子の融資制度も設けます。

いずれの支援制度も3月15日から受け付けます。

また、ロシア企業との取り引きが困難になった企業を支援するため、11日から都の中小企業振興公社に無料の相談窓口を開設し、別の国と取り引きする際の仕組みや規制などの情報提供を始めました。

 
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