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ロシアのウクライナ侵攻 パラジウム高騰 歯科治療「銀歯」に影響

  • 2022年3月3日

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、歯の治療に使う銀歯の材料となる金属・パラジウムの価格が急上昇していて、銀歯の製造加工会社は仕入れ価格がさらに高騰することなどを懸念しています。
歯科医院でも、このまま価格の高騰が続けば、経営を圧迫するとして危機感を募らせています。

希少金属 パラジウムとは

原油とともに価格が急上昇しているパラジウム。車の排ガスを抑える触媒として使われる希少な金属で、代表的な先物価格がことし1月下旬から急激に上昇しています。
ことしのはじめは1トロイオンス=およそ1800ドル台だったのが、2日は1トロイオンス=2600ドル台と、およそ40%、上昇しています。

パラジウムはロシアが世界有数の産出国で、アメリカの調査機関の統計では、2019年の時点でロシアは世界全体のおよそ40%を占めています。

市場関係者
「ここ最近の価格の上昇はウクライナ情勢の緊迫化が深く関わっている。経済制裁の対抗措置として、ロシアが、天然ガスだけでなく、パラジウムの供給も減らすのではないかといった懸念が金融市場で高まっているのではないか」

パラジウムは、車以外にもコンデンサーなど電子部品の材料や宝飾品、歯の治療では銀歯の材料の一部としても使われています。

歯科治療への懸念も

歯の治療に使われる銀歯の材料として使われるパラジウム。
影響はすでに日本国内でも出ていて、さいたま市内の銀歯の製造加工会社では仕入れ価格がことし1月半ばと比べて、2割ほど上がっているということです。

会社では、さらなる価格高騰や、供給が滞ることがあれば、製造に時間や手間などのコストがかかる別の材料での生産に切り替えることも検討せざるを得ないと懸念しています。

銀歯製造加工会社「シルバーデンタルラボラトリー」 桑鶴祐介副社長
「1か月ほどでこれだけ価格が上がるというのは大変なことです。歯科医院からもなるべくコストを抑えてほしいという話が来ています。戦争ではなく、早く平和に解決してほしいです」

歯科医院 経営圧迫も 危機感

神奈川県横須賀市にある歯科医院では、このまま価格の高騰が続けば、経営を圧迫するとして危機感を募らせています。

この歯科医院では、仕入れ価格は30グラムあたり2万円近く値上がりして、診療報酬の基準となる価格よりも1万円以上、高くなっているということです。

金銀パラジウム合金の価格は、これまでも上昇傾向にありましたが、ウクライナ情勢の悪化が追い打ちをかけているとしていて、歯科医院ではこのまま価格の高騰が続けば、持ち出しが増え、経営を圧迫して、人件費などを削らざるを得なくなると、危機感を募らせています。

神奈川県保険医協会理事 平川歯科医院 田中敏章院長
「合金価格の高騰が続けば、歯科の経営を圧迫するだけでなく、診療報酬も上がるため、結果として患者の負担も増える。国に対応を求めたい」

高騰の背景 今後の見通しは

原油やパラジウムの価格が高騰している背景や今後の見通しについてに、専門家は次のように指摘しています。

第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト
「ロシアへの経済制裁をすれば、報復措置としてロシアからヨーロッパや日本への原油の輸出が止まるのではないかという連想が出てきて、原油価格が高騰している。また、レアメタルといわれるパラジウムやニッケルなど、主にロシアでしか産出できない希少金属があり、ロシアが経済制裁への報復措置として、それらの輸出を禁止するのではないかという連想がある。いま、そうした緊迫したリスクをマーケットが一斉に織り込み始めているという状況ではないか。
 

経済制裁というのは、厳しくなればなるほど、ロシアにダメージが及ぶだけでなく、それが日本やアメリカ、特にヨーロッパに跳ね返ってくる。そういう意味では経済制裁を実行すると、日本や欧米の経済も沈んでいくが、それでもロシアの軍事侵攻をなんとか止めないといけないという緊張感が先進国にはある。
 

エネルギー全体の価格上昇が、今後は家計への重し、消費マインドを冷やす要因になると思う。ガソリンや灯油はだいたい2、3週間の時間差を置いて影響が出る。また電気代は3か月から6か月のスパンで悪影響が出てくるので、9月から10月くらいまで価格の上昇は尾を引くのではないか」

 
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