新型コロナウイルス、一日に報告される全国の感染者数は、連日過去最多を更新し続けています。
国内で検出される新型コロナのうち、オミクロン株の疑いがあるウイルスは1月30日までの時点で全国で99%と、ほぼオミクロン株に置き換わったとみられます。
オミクロン株の症状や感染力について、現段階でわかっているとことをまとめました。
オミクロン株では、これまでのデルタ株などとは症状の傾向が異なることが分かってきています。
国立感染症研究所は1月24日時点で、新型コロナウイルスの感染者情報を集約するシステム「HER-SYS」に登録された3600人余りのデータをもとにまとめました。
それによりますと、届け出の時点でオミクロン株でみられる症状は次の通りです。
症状
発熱:66.6%
せき:41.6%
全身のけん怠感:22.5%
頭痛:21.1%
せき以外の呼吸器症状:12.9%
吐き気やおう吐:2.7%
下痢:2.3%
嗅覚・味覚障害:0.8%
また、国立感染症研究所が122人について疫学調査で詳しく調べた結果は次の通りです。
せき:45.1%
37度5分以上の発熱:32.8%
のどの痛み:32.8%
鼻汁:20.5%
嗅覚・味覚障害:それぞれ1%前後
のどの痛みを訴える人がこれまでより多く、においや味がしないと訴える人が少ないとされています。
また、鼻水や鼻づまりの症状もあることから、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、毎年花粉症で悩まされている人は、症状が出る前に早めに医療機関を受診しておくよう呼びかけています。
新型コロナウイルスのオミクロン株について、東京大学医科学研究所などのグループが感染したハムスターの肺を詳しく調べたところ、デルタ株に比べて肺炎の症状などが軽くなっていたとする実験結果を発表しました。
この研究は、東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らのグループが科学雑誌の「ネイチャー」に発表しました。
グループでは、オミクロン株に感染したハムスターとデルタ株に感染したハムスターで、症状にどういった違いが出るのかを詳しく調べました。
その結果、オミクロン株に感染したハムスターは、3日目の時点で肺で検出されるウイルスの量が、デルタ株に感染したハムスターに比べ大幅に少なくなっていたということです。
また、CTを使ってハムスターの肺の画像を撮影したところ、デルタ株では、ヒトの新型コロナの患者と同じような肺炎を示す画像となりましたが、オミクロン株では軽い炎症にとどまっていました。
一方、新型コロナに感染しやすくしたハムスターでの実験では、オミクロン株でも死ぬケースがあったということです。
研究グループ
「ハムスターの実験では、オミクロン株の病原性や増殖能はデルタ株より低くなっている。ただ、ヒトでは、高齢者や免疫が低下している人などもいるため、軽症だから安心というわけではない」
一方、感染力については、デルタ株などに比べて強いとされています。
スーパーコンピューター「富岳」を使った研究で、新たなこともわかりました。
オミクロン株はマスクをした状態であっても50センチ以内に近づいて会話をすると感染リスクが高まるということです。
神戸市にある理化学研究所などの研究チームは、新型コロナウイルスの飛まつの広がりをスーパーコンピューター「富岳」を使って研究しています。
今回は、従来株よりも感染力が強いとされるオミクロン株の影響を調べるためデルタ株の1.5倍の感染力と想定して、これまでに起きたクラスターの状況などをもとにシミュレーションしました。
その結果、感染している人と15分間対面で会話したときの平均の感染確率は、感染者がマスクをしている場合、1メートル以上の距離ではほぼ0%でしたが、50センチ以内の距離ではおよそ14%に高まり、マスクをして会話をする場合でも十分な距離をとることが必要だとしています。
一方、感染者がマスクをしていない場合は1メートルの距離でおよそ60%、50センチ以内の距離ではほぼ100%となりました。
また、イベント時に隣に座った人と会話をしたシミュレーションでは、感染者がマスクをした場合、隣の人は40%、感染者がマスクをしていない場合、周囲の人に50%近い感染確率が確認されました。
一方で、距離をとって座った場合には感染のリスクが低く押さえられるということです。
今回の研究結果から研究チームは、学校の授業などはマスクをして十分な距離をとれば感染リスクは低いと指摘し、近い距離で会話することが増える休み時間は飛まつが充満しないよう短時間で複数に分けて取ることも対策の一つだとしています。
理化学研究所 坪倉誠チームリーダー
「マスクをつけることに加え、人との接触時間や会話する距離をもう一度、原点に戻って考えてもらうことが重要だ」