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在宅医療 患者や家族からの暴力行為 訪問看護師の半数が経験

  • 2022年1月31日

埼玉県ふじみ野市で起きた立てこもり事件。容疑者は、殺害された医師に対して母親の診療方針をめぐって、過去に罵声を浴びせるなどしていたということです。
これまでにも医療の現場では、患者やその家族からの暴力被害が相次いでいて、訪問看護師の半数ほどが暴力行為を受けたことがあると答えるなど、対策の必要性が指摘されています。

医師殺害 容疑者納得いかないと罵声

埼玉県ふじみ野市で医師が殺害された立てこもり事件。
捜査関係者によりますと、容疑者は事件当日、医師などを自宅に呼んで、死後1日以上が経過した母親に心臓マッサージをするよう求めましたが、蘇生はできないことを説明され、その後、銃を発砲したとみられています。

容疑者は数年前から医師に訪問診療を依頼していましたが、納得がいかないことがあると罵声を浴びせたり地元の医師会にたびたび苦情を寄せたりしていたということです。

また、地域の医療関係者によりますと容疑者は他の医療機関でも母親の診療方針をめぐって不満を訴え、病院側が対応に苦慮するケースがあったということです。

暴力行為 訪問看護師の半数経験

これまでにも医療の現場では、患者やその家族からの暴力被害が相次いでいて、対策の必要性が指摘されています。

「全国訪問看護事業協会」は平成30年に訪問看護師を対象に利用者や家族からの暴力行為に関するアンケートを実施し、およそ3200人から回答を得ました。
それによりますと、これまでに利用者や家族から
▽身体的暴力をうけたことがある人は45%、
▽精神的暴力を受けたことがある人は53%、
▽セクシャルハラスメントを受けたことがある人は48%に上りました。

また、訪問看護を行う事業所側へのアンケートでは、およそ97%が対策をとる必要性があると答えた一方で、およそ6割の事業所の管理者が暴力に対する「具体的な対策がわからない」と回答したということです。

専門家「安全守る体制作りを」

訪問診療の現場での暴力行為などに詳しい関西医科大学の三木明子教授は、「訪問先では病院と異なりすぐに応援を呼ぶことができないため、安全性を最大限に優先する必要がある」と指摘しています。
また、海外では安全対策として警備員や警察が同行するケースもあるということです。

関西医科大 三木明子教授
現状について
「多くの訪問サービスを利用している利用者さんやご家族の方は大変善良な方が多くて問題はないんですが、たった一人でも悪意のある利用者やご家族の方がいる場合、訪問介護や看護をしている事業所は小規模なので、とても大きな影響を受けると思う。
ご自身の権利の主張が大きかったり、過剰なサービスの提供を求めたりするような傾向があり、そういった人に対し、医療従事者並びに看護・介護の方たちが時間をかなり割かれるといった現状がある」
 

必要な対策は
「安全確保が十分でなければ在宅医療、訪問看護、介護は推進されない。事業所で実施できる安全対策にも限界があります。病院の場合はすぐに応援を呼べてすぐに複数で対応することも可能なんですけれども、基本的に訪問の場合はすぐに応援を呼ぶという体制がとることができません。
(呼び出されたときは)例えば電話で対応するとか、ほかの交渉方法を使うとか、対応方法をより安全なものに変えていくことが必要になるかと思います。
特別な場合に警察にもちろん相談することも大事ですが、すべて警察に相談するだけで解決しませんので、実際に訪問するときに同行していただけるような警備員、通報システムとかそういった整備など、国や自治体による支援についても考えていく必要がある」

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