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立てこもり事件 亡くなった医師 コロナ患者など在宅医療支える

  • 2022年1月28日

27日夜、埼玉県ふじみ野市の住宅で散弾銃を持った66歳の容疑者が医師を人質にとって立てこもった事件。医師は撃たれて、心肺停止の状態で病院に運ばれましたが死亡しました。
亡くなった鈴木純一医師は、およそ10年前から埼玉県富士見市などで、高齢者を中心に訪問診療を行い、自宅療養を余儀なくされたコロナ患者の診療も行っていました。患者からは、「先生に助けられた人はたくさんいる。本当に悔しい」などと、死を悼む声が聞かれました。

自宅療養のコロナ患者の診療も

亡くなった地元のクリニックの医師、鈴木純一さん(44)。鈴木医師は、内科などが専門でおよそ10年前から埼玉県内で在宅医療に取り組んでいました。
NHKは去年9月、デルタ株の感染拡大で患者が急増したため、入院できずに自宅で療養するコロナ患者の自宅を訪問して診療する様子を取材しました。

去年9月に取材

当時は、症状が重くても入院できない自宅療養のコロナ患者が急激に増えていて、鈴木医師は保健所からの依頼を受けて、患者の自宅を訪問していました。

鈴木医師は、通常の在宅診療を終えた夜9時ごろに車で診療所を出て、連日、深夜まで患者の診療に当たっていました。去年8月中旬からの3週間だけでも40人以上を診療していたということで、当時のNHKの取材に対し、できるかぎり自宅療養者の支援を続けたいと語っていました。

去年9月に取材

呼吸の状態が悪化しながら自宅療養を余儀なくされた患者に対する医療について、鈴木医師は「急に動けなくなって体が思うようにならない、自分の体が壊れてしまうように感じるのは恐怖だと思う。これからも依頼があったら助けたいです」と話していました。

鈴木医師
「家族とか、誰とかではない。誰か助けて、なんです。だから、これからも依頼があったらやります。医者だからじゃなくて、無意識の『助けたい』というのが、理屈じゃないんですよね、もう。理屈じゃないんです」

患者「本当に悔しい」

去年8月、新型コロナウイルスに感染し、自宅療養を余儀なくされたときに鈴木医師の訪問診療を受けた埼玉県内の40代の女性。女性は、感染拡大の第5波で、医療体制が危機的な状況となっていた去年8月、新型コロナに感染したあと、血液中の酸素の値が低下し、「中等症Ⅱ」にあたる状態になりました。

救急車で搬送されたものの、入院できる病院が見つからずに自宅に戻ることになり、その後、保健所から依頼を受けた鈴木医師が自宅を訪れたということです。

女性は酸素投与などを受け、自宅での療養中、何度も鈴木医師の訪問診療を受けたということです。

女性
「玄関を開けたときに『大丈夫か!』と言われ、そのひと声で本当に安心しました。もうろうとした中でも、その言葉を信じて頑張ってみようと思いました。防護具を着て汗だくで処置をしていた姿が印象的で、自分の体よりも待っている患者のために、常に汗をかいている人でした」

女性の自宅を訪問する時間は鈴木医師が通常の診療を終えた午後10時半から11時ごろだったということです。

女性
「遅くなっても必ず行くからと約束してくれ、帰り際にもいつも『一緒に頑張ろう』と励ましてくれました。病気を治すために頑張ろうという気持ちや生きようとする力は先生によって違うんだと改めてわかりました。
先生によって助けられた人はたくさんいると思うので、本当に悔しいです。まだまだやりたいことがたくさんあったと思いますが、先生がつないでくれた命を無駄にせずに生きていこうと思います。本当にありがとうの一言です」

地元医師会の会長「熱い先生 家族に寄り添う」

鈴木医師が入会していた東入間医師会の関谷治久会長は、鈴木医師について次のように話しました。

関谷会長
「鈴木先生は自分の時間を犠牲にしてもやり遂げる熱い先生という印象でした。難病患者の自宅に行って、ここまでやるかというくらい、家族に寄り添う先生でした。
第5波では管内のコロナ患者の在宅診療のほとんどを鈴木先生にお願いしていました。患者さんにも家族にも寄り添っていた先生を失ったことは言葉に表せないくらいショックです」

クリニックで悼む人の姿 「どうして」

鈴木医師が勤めていた埼玉県富士見市のクリニックには、鈴木医師の死を悼み手を合わせる人の姿が見られました。

富士見市に住む54歳の女性は、自分の父親が亡くなるまでの2年間、鈴木医師の訪問診療を受けたほか自身も糖尿病の治療のため鈴木医師が診療を担当する別の病院に通っていたということです。

鈴木さんは気さくで明るく、とても優しい人柄で多くの患者から慕われていて、病院はいつも予約で埋まっていたといいます。女性は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今月予定していた診療が延期になり、来月鈴木さんに会えることを楽しみにしていたということです。

女性
「父が亡くなるまで本当に親切にしてくれて、自分の病気がわかった時も、『僕でよければ診てあげるよ』と言ってくれたので、鈴木さんにはずっとお世話になってきました。いつも親身になって悩みを聞いてくれて、常に優しく前向きな言葉かけてくれるとてもいい人でした。人のためにと治療に心血を注いでいた方が、どうしてこんな形で命を落とさなければならないのか、本当にショックです」

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