新型コロナウイルスの感染急拡大で都内では感染確認の増加にともない入院患者数も増加しています。この状況をうけ東京都は、都内の病床使用率が、20%でまん延防止等重点措置の適用について、50%で緊急事態宣言の発出について、それぞれ国への要請を検討するとしています。東京都の病床使用率の状況や今後の見通しなどをまとめました。
厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、12日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて8.54倍とこれまでにない急速な感染拡大が続いています。首都圏の1都3県では、東京都で8.47倍、神奈川県で9.69倍、千葉県で9.39倍、埼玉県で11.04倍と急増しています。
東京都内の1日あたりの感染確認は、1月13日には3124人で、2日続けて前日より1000人前後増え、急激な感染拡大となっています。
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また、入院患者数も急増していて、1月1日の時点では223人でしたが、13日の時点では1056人で、去年9月30日以来、1000人を超えました。2週間もたたないうちに5倍近くに増加し、病床の使用率も上昇しています。
こうしたなか、東京都は、都内の病床使用率が、20%になった段階でまん延防止等重点措置の適用について、50%になった段階で緊急事態宣言の発出について、それぞれ国への要請を検討することにしました。
東京都は、新型コロナウイルスに感染した入院患者を受け入れるため、最大で6919床の病床を確保するとしています。
この6919床の使用率は、1月1日時点で3.3%だったのに対し、12日時点では13.7%、さらに14日には15.1%と、ことしに入って10ポイントあまり上昇しています。
小池知事は「オミクロン株の感染力を考慮すると、急速に病床など医療資源のひっ迫を招く可能性がある」と述べました。また、埼玉県、千葉県、神奈川県とも連携しながら、効果的な対策を検討していると明らかにしました。
関東地方の各都県の病床使用率は、次のようになっています。
関東1都6県の病床使用率(1/13日時点)
東京都 15.1%
神奈川県 9.7%(1/3 3.1%)
埼玉県 23.4%(1/6 6.5%)
千葉県 10.1%(1/7 6.8%)
群馬県 26%(1/1 9.5%)
栃木県 26%(1/1 6.8%)
茨城県 10.8%(1/6 4.1%)
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コロナ病床使用率 東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
東京都医師会の猪口正孝副会長は、都内の病床使用率が20%になった段階で都がまん延防止等重点措置を要請するとしたことについて次のように述べました。
東京都医師会 猪口正孝副会長
「いまの病床使用率の上昇の速度だと、20%にはすぐにたっしそうだが、無症状で入院している人をスムーズに自宅療養に戻したり、経口薬などで治療できるようになったりするなど、いくつかのファクターで、先に伸びるかもしれない。ただ、かなり早い時期にたっする可能性はある」
また、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、オミクロン株について、「これだけ感染が広がってくると入院する人も目立つようになったし、実際に酸素投与が必要な人も出てきている。これまで言われているような『軽症だ』と簡単には片づかない病気というのは現場で感じている。そこのところはしっかりと見ながら、後手後手にならないよう対応したい」と話していました。
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合は13日、全国で療養者数が急増し、重症者の数も増加していて、現在の若者中心の感染拡大で療養者数が急激に増加した場合には軽症や中等症の患者への医療体制がひっ迫する可能性があり、今後、高齢者に感染が波及することで重症者数の増加につながる可能性があるとしました。
医療機関や福祉施設などでは多くの職員や家族が感染したり、濃厚接触者になったりすることで欠勤して業務が難しくなる事態も起きているとして、濃厚接触者の待機期間を見直すとともに、医療機関や福祉施設、自治体や交通機関などでの業務継続計画の早急な点検が必要だと訴えています。
こうした中、政府は、社会機能を維持できるよう、濃厚接触者が宿泊施設などで待機する期間を14日間から短縮する方針です。また、政府は、今後の感染状況によっては、まん延防止等重点措置をすでに適用している3県以外にも、大都市部や一部の地域を対象に拡大することを検討せざるを得ないとしていて、引き続き対策を強化し、状況の悪化に歯止めをかけたい考えです。