千葉県館山市で農作物を食い荒らし、捕獲されても処分するしかなかったイノシシ。これをジビエ料理に変えるための食肉加工施設がこのほど整備されました。
その費用は、千葉県内出身の実業家で、先月宇宙旅行をして話題になった前澤友作さんが寄付したふるさと納税が活用されました。
「館山ジビエセンター」は、館山市が新たに整備し、12月23日にオープニングセレモニーが開かれました。
横たわっているのはイノシシ
ジビエセンターでは、イノシシの肉を速やかに加工処理することで、新鮮で脂がのった肉を提供できるということです。
新たな施設を整備した背景にあるのは、野生動物による農作物の被害です。
イノシシが荒らした畑
館山市は野生のイノシシが農作物を食い荒らす被害に悩まされていました。昨年度は前の年の2倍以上のおよそ2300頭が捕獲され、ほとんどが土の中に埋められる形で処分されました。
わなに入ったイノシシ
そこで、捕獲したイノシシなどを買い取って加工処理し、食肉として有効活用したいと考えています。
イノシシを捕獲している小川龍馬さん
「いままでイノシシを自分で処理するのがたいへんでした。ジビエセンターに連絡すれば処理してもらえるので非常に助かります」
この整備にかかった費用はおよそ1200万円。
館山市が活用したのが、先月、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーションに滞在する宇宙旅行をして話題になった千葉県出身の実業家、前澤友作さんからの寄付金です。
前澤さんは、3年前台風で大きな被害を受けた館山市にふるさと納税を通じて20億円を寄付していました。今回はそのうちの一部が活用され、整備費のおよそ1200万円にあてられました。
金丸謙一 市長
「前澤さんにジビエセンターについて理解してもらって踏み出すことができました。今後はイノシシによる被害を、利益をもたらすように変えていきたい」
セレモニーでは、市内のレストランのシェフが考えたイノシシの肉を使ったジビエ料理の試食も行われました。
この日のメニュー
左上:イノシシのベーコン
右上:イノシシの煮込み
下段:ジャンボンペルシェ(フランスのブルゴーニュ地方の料理)
「館山ジビエセンター」 沖浩志さん
「イノシシを捕まえても捨てるのが大変という声が捕獲者からたくさんあったので、ジビエが1つ解決策としてある。冬のイノシシは脂がのっていて甘くておいしいことを発信していきたい。質のよいジビエを量産するのでぜひ館山に食べにきてください」
館山市は、「食のまちづくり」を進めるため前澤さんの寄付金を活用して地元の農産物を販売する道の駅も今後、整備する予定で、そこで「館山産ジビエ」を販売してブランド化を図りたいと考えています。