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  • 2021年12月15日

不妊治療の保険適用拡大 治療法や対象者は? 年齢は43歳未満に

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来年度から保険適用が拡大される不妊治療。 
その対象者について、厚生労働省は、中医協=中央社会保険医療協議会の総会で治療開始時点で女性の年齢が43歳未満で子ども1人につき最大6回までとする考え方を示しました。 
治療法や対象者などの詳細と、今回の考え方についての反応をまとめました。

人工授精・体外受精・顕微授精など対象に

現在は、不妊の原因を調べる検査や検査の結果、不妊の原因となる症状が見つかった場合の薬や手術による一部の治療、それに薬や注射で排卵を促す「排卵誘発法」などに保険適用の対象が限られています。 

厚生労働省は、治療を受ける人の負担軽減を図ろうと来年度からは自己負担が原則3割となる保険適用の対象を拡大する方針で15日開かれた中医協の総会に、新たに保険適用する不妊治療の治療法や対象者などについて考え方を示しました。

それによりますと、6月に日本生殖医学会が不妊治療の標準的な治療法などをまとめたガイドラインで、3段階の評価のうち「強く勧められる」または「勧められる」と評価された治療法について、原則として保険適用とするとしています。

具体的な対象は次の通りです。

・精子を取り出し、妊娠しやすい時期に子宮内に注入する「人工授精」 
・精子や卵子を採取し受精させたあと体内に戻す「体外受精」 
・注射針などを使って卵子に精子を注入する「顕微授精」など

また、対象者は、不妊症と診断された男女で、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満であることを要件とし、40歳未満の場合は、子ども1人につき最大6回まで、40歳以上43歳未満の場合は、最大3回まで適用するとしています。 
また、事実婚の男女についても保険適用の対象とするとしています。 

総会では、次のような意見が出されました。

保険適用外の治療への助成制度も検討すべき。

 

医療機関の実績や治療にかかる費用について情報公開を進めるべきだ。

 

中医協は、今後、保険適用とする具体的な治療法ごとに価格を検討し、来年度の診療報酬の改定案に盛り込むことにしています。

対象の治療法は

現在は、不妊の原因を調べる検査や検査の結果、不妊の原因となる症状が見つかった場合の薬や手術による一部の治療、それに薬や注射で排卵を促す「排卵誘発法」などに保険適用の対象が限られています。

厚生労働省が、15日示した不妊治療の保険適用についての考え方では、「人工授精」や「体外受精」、「顕微授精」などについても対象とすることを想定しています。 
一方、流産の経験がある女性などを対象に、あらかじめ受精卵の染色体に異常が無いかなどを調べる「着床前検査」については、ガイドラインでは「勧められる」と評価されていましたが、「命の選別につながるのではないか」という指摘が出ていることなどから、学会での議論の状況などを踏まえつつ、別途、検討するとしています。 

またガイドラインで「実施が考慮される」と評価された治療法や、ガイドラインに掲載されていない治療法については、原則として保険適用外としつつ、医療機関からの申請があれば「先進医療」と位置づけ、保険適用された治療と併用できるように審議を進めるとしています。 

このうち、第三者が提供した精子や卵子を使った生殖補助医療などについては、国会でその取り扱いについての検討が進められていることを踏まえ、現時点では保険適用外としています。

現在の助成制度との関係は?

15日示された考え方は、ことし1月から拡充された不妊治療への助成制度を基本的に踏襲するもので、厚生労働省は、これまで治療を受けていた人が、引き続き治療を受けられるようにすることが望ましいとしています。 

このため、現在の助成制度は、今年度末で終了するものの、今年度中に開始した不妊治療については、来年度にかけて続いた場合でも、1回に限って、いまの助成金の対象とする経過措置を設けることにしています。

NPO「43歳未満少し厳しい」

厚生労働省が示した考え方について、不妊治療の当事者を支援するNPO法人「Fine」の松本亜樹子理事長は次のように話しています。

NPO法人「Fine」松本亜樹子理事長 
「保険適用によって経済的な負担が減るのは本当にありがたいです。ただ、不妊治療を受けている人の年齢層から考えると対象が43歳未満となるのは少し厳しいと感じますし、回数が制限されることも残念です。保険適用を拡大することで医療の質が向上することも期待していて、治療成績の公開や第三者機関によるチェックシステムの整備などを求めていきたい」

専門家「助成に比べ負担増の懸念も」

厚生労働省が示した考え方について、日本生殖医学会の常務理事で埼玉医科大学の石原理教授は、「今回の保険適用によって、窓口で3割負担となるので、患者が準備するお金が少なくて済む。これまで経済的な理由で踏み出せなかった人たちが不妊治療を新たに始められるようになる」と話しています。

埼玉医科大学 石原理教授 
○対象年齢について 
「従来の助成制度の年齢制限と同様であり、妥当だ。日本で不妊治療を受けている女性のおよそ半数が40歳以上である一方、年齢が上がるにつれて体外受精の成功率は下がり、40歳を過ぎると10%以下、43歳を過ぎると5%以下しか出産に至らないので、今回の年齢制限は医学的にはやむを得ないと思う」

一方で、保険適用の対象にならない治療や検査を受けようとすると、その治療や検査にかかる費用だけでなく、患者が受ける不妊治療にかかる費用すべてが自己負担になります。 

例えば、今回示された考え方では流産の経験がある女性などを対象にあらかじめ受精卵の染色体に異常がないかなどを調べる「着床前検査」は、「学会での議論の状況などを踏まえつつ、別途検討する」とされ、今後保険適用されるか、保険適用された治療と併用できる「先進医療」として認められない限りは、不妊治療にかかる費用すべてが自己負担になります。

埼玉医科大学 石原理教授 
「従来の助成制度では、不妊治療に対して、一律で30万円が助成されていたが、今後は、助成制度がなくなるので、保険が適用されない治療を受けようとすると、すべてが患者の自己負担となり実質的な負担がこれまでより増加するおそれもある」

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