ことし、さまざまなものが値上げされている中、安くなっているのが野菜です。天候に恵まれたことからはくさいやだいこんなどの野菜が安値となっています。しかし、産地では安値になって農家の収入が減少。農家や産地の動きを取材しました。
12月の主な野菜の卸売価格は、天候に恵まれ、生育がよかったことなどから、鍋料理やおでんに使われるはくさいやだいこんなどが安値となっています。
農林水産省によりますと、東京都中央卸売市場での主な野菜の12月6日時点の卸売価格は、次の通りです。
こちらは、はくさいの卸売価格の推移を示したグラフ。12月6日時点で平年の6割程度まで落ち込んでいます。
茨城県は去年のはくさいの出荷量が全国1位。県内でも特に生産が盛んな八千代町では収穫の作業が続いています。
地元のJAによりますと、ことしは天候に恵まれて生育がよかった上、新型コロナウイルスの影響で外食産業での鍋物などの需要が落ち込んでいることが要因と見られるということで、はくさいが安値となるのは3年連続だということです。
ネットでは、野菜が安く買えるという消費者の投稿が寄せられる一方、野菜が安値となって農家が困っているという投稿が相次いでいます。
八千代町のJAによりますと、人件費や肥料などにかかる経費を考えると、はくさい農家は赤字に近い状況だということです。
12年前からはくさいを育てている大久保幹生さんも、厳しい状況だと言います。
農家 大久保幹生さん
「毎年、肥料や農薬などの経費が値上がりしている中で、今の安値では支払いが追いつかない」
地元のJAには、農家から、「このままはくさいを作り続けていいのか」という不安の声が寄せられています。
そこでJAが目をつけたのが、さつまいも。農家の生活を守るため、経営の多角化を促す方向に
かじを切りました。需要が高く、価格が安定しているのが魅力です。
大久保さんも、ことし初めて、試験的にさつまいもを栽培しました。収益の安定化のために、今後はさらに面積を増やすことを検討しています。
大久保さん
「葉物野菜は家族を守っていくにはぶれすぎる作物。2割くらいの収入にもっていければ最高」
初期投資はかかりますが、栽培の手間はそれほどかからないのもポイントです。JAはさつまいもの栽培方法の講習会を開くなど、農家をサポートすることにしています。
JA常総ひかり八千代営農課 飯岡裕也課長
「八千代町の歴史を考えても、はくさいは切っても切り離せない品目なので、そちらの供給の責任は産地としては果たしていく中で、経営の方も考えて新たな品目も取り入れながら、新たな八千代町のブランドを全国に伝えていきたい」