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原油高で国家備蓄放出へ 「法に反しない形で」ってどういう意味?

  • 2021年11月27日

原油価格が高騰する中、岸田総理大臣は11月24日、国家備蓄の一部を放出することを決めたことを明らかにしました。この際、「石油備蓄法に反しない形で一部を売却することを決定した」と述べました。でも「石油備蓄法に反しない形」ってどういうことなのでしょうか?
日本の石油備蓄についてまとめました。

“石油備蓄法に反しない形で売却を決定”

岸田総理大臣は24日記者団に対して以下のように語りました。

岸田総理大臣
「アメリカのバイデン大統領が、石油の放出を発表したと承知している。アメリカとはこれまでも国際石油市場の安定のために連携をとってきたが、わが国としても、アメリカと歩調を合わせ、石油備蓄法に反しない形で、国家備蓄石油の一部を売却することを決定した」

これを聞いて「どういうこと」と思った人もいるのではないでしょうか?

石油備蓄法とは

日本政府は1973年に起きたオイルショックの経験を踏まえて、石油備蓄法を制定しました。国や石油会社などが石油の供給が不足した場合に備えて、石油のほかガソリンや灯油をすぐに供給できるよう国内に保管を義務づけています。

備蓄の方法は国が備蓄する「国家備蓄」と、民間の石油会社が義務づけられている「民間備蓄」、それに産油国と協力して国内の石油タンクで備蓄する「産油国共同備蓄」の3つがあります。

資源エネルギー庁によりますと、ことし9月末時点の備蓄量は「国家備蓄」が国内消費量の145日分、「民間備蓄」は90日分、また、「産油国共同備蓄」は6日分が備蓄されています。

石油備蓄の放出は、石油備蓄法によってガソリンなどの供給不足の恐れがある場合や、地震や豪雨など災害時に限定されており、価格上昇の対応策としての放出は想定していません。

“古い石油の入れ替え”で対応

今回、経済産業省は石油の国家備蓄の放出にあたり、古い石油を新しい石油に入れ替える際の売却時期を前倒しするという方法で行います。国はガソリンなどの供給不足や地震など緊急時に備えて石油を備蓄しています。ことし9月末時点で国内消費量の145日分を保管しています。保管している石油の一部は年に数回、新しい石油に入れ替えられます。古い石油は入札によって石油元売り会社や商社などに売却されることになっていて、当初は、来年春以降の実施を予定していました。

経済産業省ではこの入札時期を前倒しして一時的に備蓄量を減らす形で石油の放出を行うと説明しています。国家備蓄されている国内消費量の145日分のうち数日分、数百万バレルを放出するとしています。放出される石油は入札によって最も高い価格を提示した会社が購入し、最終的に各地のガソリンスタンドや海外に届けられることになります。

萩生田経済産業大臣は「売却時期、最終的な量については現在精査中だがいずれも法令に従い、公告入札などの手続きを可能な限り早く進めていきたい。引き続き、国際的なエネルギー市場の動向や日本経済に及ぼす影響を注視していくとともに関係省庁と連携しつつ産油国に対する増産の働きかけの継続などを着実に講じていく」と述べています。

放出は過去5回

備蓄した石油を放出したのは過去5回あります。

このうち2011年3月、東日本大震災が起きたときには、東北や関東の製油所の一部が操業を停止するなど、安定的に供給できない状況になったことから、民間備蓄のうち25日分を放出しました。
また、2011年6月、リビア情勢の悪化を受けて民間備蓄のうち790万バレルを放出したのが最後となります。
外国からの要請を踏まえ国家備蓄を放出したことは過去にありません。

原油価格は、世界的な需要の動向や産油国の生産計画などによって大きな影響を受けます。政府内には、備蓄を放出したとしても量は限られるためガソリン価格などへの影響は限定的だという見方も出ています。

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