横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから、15日で44年です。これを前に母親の早紀江さん(85)が報道陣の取材に応じ、めぐみさんとの思い出が詰まった品を公開しました。
早紀江さんは「焦燥感で疲れがたまる一方だが喜びの日が来ると信じている」と話し、政府に対し、日朝の首脳どうしの対話を通じて一刻も早い帰国を実現するよう強く求めました。
横田めぐみさんは中学1年生だった44年前の昭和52年11月15日、下校中に北朝鮮に拉致されました。そして10月、57歳の誕生日を迎えました。
母親の早紀江さんは報道陣の取材に応じ、娘と再会できるめどが立たない苦しい胸のうちを話しました。
早紀江さん
「言葉に表せないほどの焦燥感で疲れがたまる一方です。政府からしっかりした説明がなく、何もわからないことがしんどい。『何十年、訴え続けなければならないのか』とたまらない気持ちになります」
そして、めぐみさんや、去年亡くなった夫の滋さんの写真に向かって、「なかなか取り戻せなくてごめんね」と声をかけていることを明かしたうえで、「必ず取り戻すから、とにかく病気をしないで、元気でいてほしい。希望を持って待っていてほしい」とめぐみさんへの思いを話しました。
早紀江さん
「総理大臣が代わるたびに『今度こそ』と思ってお願いをしてきたがうまくいかず、年齢的にも、今回が最後だと思っている。岸田総理大臣は日朝首脳会談を実現し、日本と北朝鮮が互いに良い方向に進めるよう話し合ってほしい。来年くらいまでには、被害者全員がタラップを降りてくる姿が見たい。喜びの日が来ると信じています」
早紀江さんは、政府に対し、日朝の首脳どうしの対話を通じてすべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するよう強く求めました。
今回の取材で早紀江さんは、めぐみさんとの思い出が詰まった2つの品を報道陣に公開しました。
高さ5センチほどの「萩焼」の一輪挿しです。
めぐみさんが小学6年生のときに修学旅行で山口県萩市を訪れた際の早紀江さんへのお土産です。
わずかな小遣いをはたいてプレゼントしてくれた優しさがうれしく、いまもめぐみさんの写真のそばに飾っているということです。
早紀江さん
「『お母さんがすごく好きそうな色でしょ』と買ってきてくれたもので、大事にしています」
そして、もうひとつは魚の絵が描かれた陶器のペンダント。
家族旅行で同じ萩市を訪れ、陶芸を体験できる店に立ち寄った際、めぐみさんが作ったものです。
早紀江さん
「めぐみが5年生の時だったと思いますが、私が『難しいからできない』と言っても、『面白いから』と挑戦していました。ものづくりがとても好きで、完成すると、『なかなかしゃれているでしょ』と得意げに話していたのを覚えています。きっと北朝鮮で、家族旅行のことを思い出しているんだろうと思います」