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新型コロナ“後遺症”強いけん怠感などで「働けない」

  • 2021年10月18日

「まさか自分がコロナの後遺症で仕事を辞めるなんて…」
新型コロナウイルスの後遺症と診断され、仕事の復帰を目指しながらも強いけん怠感で、思うように体が動かず追い詰められていったという女性のことばです。

新型コロナウイルスに感染したあと、「後遺症」とみられる強いけん怠感などで、“働けない”という人が相次いでいることが、診療にあたる医師の調べで分かりました。

「もう働けないなら来なくていいというような…」

東京・渋谷区で新型コロナの後遺症外来を設けている「ヒラハタクリニック」は、これまでに後遺症に悩む患者2700人余りを診てきました。
クリニックには、新型コロナウイルスに感染したあと、後遺症とみられる症状に悩む患者が連日、多く訪れています。

医療関係の仕事に就いていた30代 女性のケース
・去年11月 新型コロナの感染確認。
・発熱はあったもののすぐに熱は下がり、ホテルで療養したのちに仕事に復帰。
→しかし、全身のだるさが抜けず、指を動かすこともつらくなったため、ことし3月にこのクリニックを訪れ、「新型コロナの後遺症」と診断。
・休職して3か月間、後遺症の治療を続けたが、復帰のめどが立たず退職。

女性
「後遺症についての職場の理解は十分ではなかったと感じています。『もう働けないなら来月からは来なくていい』というような感じでした」

“仕事に影響”66%に

「ヒラハタクリニック」によりますと、10月10日時点で後遺症の疑いがあると診断した患者で、仕事をしている1507人のうち仕事に影響が出ているとみられる人が1003人、率にして66%に上っていることが分かりました。

・休職した人 594人
・解雇や退職、廃業となった人が85人
・長時間働けず時短などとなった人が165人など

後遺症で仕事に影響が出る要因の1つが強いけん怠感で、立ち上がることもつらく、1日の多くを寝て過ごさざるを得ない人もいるということです。
さらに、後遺症の根本的な治療法が確立されていないことや、一見して分かりにくい後遺症への周囲の理解が進まないことで、気分の落ち込みを訴える人もいるということです。

「ヒラハタクリニック」平畑 光一 院長
「最初の症状が軽かったといってあまく見てはいけない。けん怠感など、後遺症の症状が強くて長引くことが報告されている。休職中の人も3か月、半年と時間がたつとどんどん自然退職という形で退職するケースが多くて、失職の危機にさらされている。後ろめたさを感じ、精神的につらくなって辞めてしまうケースもある。後遺症で外来に来る方の3分の2の方が生活の基盤を揺るがされるようなことに見舞われていて、そのことがあまり社会で認知されていないことが大きな問題だと思う」

「重力が何十倍にもなったような感じで本当につらい」

この「後遺症」で会社を退職した女性が、仕事の復帰を目指しながらも強いけん怠感で思うように体が動かず追い詰められていったという当時の心の内を語りました。

東京都内に住む40代の女性です。
ことし6月、新型コロナに感染していることが分かりました。1週間ほどで熱は下がり、血液中の酸素の数値は最も低下したときでも95%で、「軽症」だったということです。

しかし、女性は療養期間が終わっても仕事に戻ることはできませんでした。強いけん怠感が残り、立ち上がることもつらかったからでした。

女性
「一般的なけん怠感とは違い、いすに座って話していても、ひどいときはこの姿勢も難しくなってくる。トイレはひどいときだとはいつくばって行ったり、ドライヤーを手に持つのが難しいほど疲労感がすごかったりして。重力が何十倍にもなったような感じで本当につらいものでした」

女性は1日のほとんどを自宅で寝て過ごさざるを得ない状況になったということです。そうした中でも休職制度を利用しながら、仕事の復帰に向けた打ち合わせを進めていました。しかし、体調がいい日もある一方で、強いけん怠感で起き上がれない日もあるなど、症状に波があり、女性は後遺症を克服できないことに焦りを募らせていったということです。

女性(当時の心境について)
「思うように治療できないので、正直どんどん追い詰められる感覚でした。私が長期に休むことで同僚に迷惑をかけているという思いもありますし。症状に波があって、ある日、急に悪くなるときがあって復帰の見通しが立たないので、そういうなかで休職を長期間続けるのは精神的にも悩みました」

退職を決断「仕事を辞めるなんて思ってもいなかった」

女性はみずから退職する決断をしました。

女性
「今まで頑張ってきたキャリアをリセットするのはとても大きいことでしたし、まさか自分がコロナの後遺症で仕事を辞めるなんて思ってもいなかったです。コロナには後遺症があることを理解してほしいし、後遺症が出ても、復帰するときに仕事の量とか時間とかすり合わせなどができる環境があれば、不安は少なくなると思います」

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