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気象庁の緊急速報メール 気象の特別警報など一部配信とりやめ?

  • 2021年10月15日

気象庁は、スマートフォンなどへの緊急速報用のメールのうち、気象に関する特別警報と噴火警報に関するメールについて、当初の方針を変更し、配信のとりやめを一時延期することにしました。気象庁は、自治体などの情報提供が拡大し、気象庁の配信の役割は終えたなどとしていましたが、「必要な情報を得られなくなる」といった懸念の声が相次いでいるということです。
対応の詳細や専門家の見解などをまとめました。

“さまざまな手段で発信を” 6年前に配信開始

災害や避難に関する情報を対象の地域の人に速やかに知らせるため、携帯電話事業者は「エリアメール」や「緊急速報メール」といった名称で、スマートフォンや携帯電話に無料で国や自治体の情報を配信するサービスを行っています。

2015年11月、緊急速報用のメールに「特別警報」や「噴火警報」の配信を始めるにあたり、当時の気象庁の担当者はインタビューでこのように語っていました。
「特別警報が発表されるときはすでに災害が発生していてもおかしくない状況であり、テレビやラジオなどに加え、さまざまな手段で発信し、より多くの人に情報を伝えていきたい」

“役割を終えた” メール配信の一部を廃止方針

6年前から始めた緊急速報メールに関して気象庁は、大雨や暴風など気象に関する特別警報と、噴火警戒レベルが4と5にあたる噴火警報の配信に関して10月28日にとりやめると発表しました。ただし、緊急地震速報や津波警報・大津波警報は配信が継続されます。

取りやめの理由について気象庁は、すべての自治体が避難指示などの避難情報をメールで伝えられるようになったことや、民間などによるスマートフォンのアプリで避難や気象情報の配信が拡大したとして、「気象庁のメール配信の役割は終えた」としています。

また、民間のアプリなどで特別警報を通知するなど当時より高度なサービスが普及したこと、さらに、大雨警戒レベルが整理され、レベル4の避難指示の段階までに安全を確保すべきで、大雨の特別警報を待つのは望ましくないなどとしています。

自治体からは困惑の声 気象庁は

熊本市の防災担当者は「市の防災体制に直ちに影響があるわけではないが、線状降水帯などで急な豪雨のおそれもあり、最大級の警戒を呼びかけるメールが突然配信されなくなるのは戸惑いがある。疑問に思う住民もいるのではないか」と話しています。

また、鹿児島市の防災担当者は「気象災害をはじめ、桜島という火山も抱えているので住民に密接に関わる情報だ。誤解がないよう説明や周知をして欲しい」と話していました。

気象庁企画課 室井ちあし課長
「開始当時は、情報を広く知ってもらうことが重要な課題だったが、警戒レベル5にあたる情報だけをメールで配信する必要性が無くなった。自治体の避難情報が間に合わない事例があるのは承知しているが気象庁としても自治体の支援をしていきたい」

“緊急速報メールは非常に重要 今までの議論と方向性が逆”

災害情報に詳しい東京大学大学院 関谷直也准教授
〇情報発信の議論の流れに逆行

過去のさまざまな災害で、避難勧告・避難指示などの情報発信がうまくできなかったり、さまざまな事情で情報が伝わらなかったりした事例が多々あります。その中で、いろんなルートから情報発信をしていくことが適切であることを、われわれは学んできたわけです。
気象庁も自治体も情報を発信する、民間事業者が情報発信するという仕組みになってきたのは、とにかく情報を受け取らない人がいなくなるようにする、避難が遅れる人が出ないようにするために何重にも情報は発信した方がいいという発想からだと思います。
緊急速報メールでルートが確保されているということは、非常に重要なことで、それがなくなるというのは、今まで議論してきたことと方向性が逆になってしまいます。拙速に廃止すべきではないと思います。

〇情報が重複するというならば
情報が多い、重複するというのは認識が違うのではないかと思います。もしも情報が複雑化しているとか情報が多いということが問題ならば、緊急速報メールをやめるということではなくて、そもそも情報の体系の見直しが必要だと思います。自治体・国交省・気象庁また民間事業者が行っている情報伝達全体について考えることで、気象庁だけで単独で解決できる問題ではないはずです。

“これ以上 税金を使うのは難しい” 予算の問題も

また、この判断の背景には、予算の問題があることが関係者への取材で明らかになりました。
気象庁によりますと、気象に関する特別警報などの緊急速報メールの配信を始めた際、気象庁は設備費用などにおよそ1億円余りの予算措置をし、運営には年間およそ1200万円がかかっていたということです。

さらに、設備更新の経費については、およそ3億円にのぼることがわかったということです。気象庁の年間予算は例年600億円前後で、この経費は決して少なくありません。関係者によりますと議論の結果、「これ以上、税金を使うのは難しい」という結論になったということです。

気象庁企画課の室井ちあし課長は「予算が理由で配信をやめるわけではない。ただ、リソースが無限にあるわけではなく、効率的に業務を実施する必要がある」と話しています。

また、室井課長は会見で「配信を終える期限を決めるにあたって制約は無い」と繰り返し説明してきましたが、設備の更新期限についての質問に対して、配信を取りやめる当日にあたる10月28日だと明らかにしました。「必要とわかれば、延長は可能だ」とも話しています。

東京大学大学院 関谷直也准教授
〇気象庁の役割は “広くあまねく”

アプリなど民間のサービスを使うことは任意である一方で、気象庁は、広くあまねく、できるだけ多くの人々に情報を発信する役割を担っているわけで、気象庁が情報を配信する役割は変わらないのではないかと思います。
効率性の問題や予算の配分の問題ではなくて、あくまでも住民の命を守るため、防災官庁である以上、最低限のところを担保する方向性は変えないでいただきたいと思います。

【追記】配信とりやめ 一時延期に

気象庁の方針について、斉藤国土交通大臣は15日の記者会見で「避難に必要な情報を得られなくなるのではないかという懸念の声が寄せられている。全国の地方自治体に気象庁の情報に基づいて住民に避難を促す情報提供が適切に行われているか確認した上で、メール配信をどうするかということを決めても遅くないのではないか」と述べ、気象庁に調査と結果の説明を行うよう指示したことを明らかにしました。

このあと気象庁の担当者が取材に応じ、「先日、配信を終了すると説明したが、その後、気象庁に『避難に必要な情報を得られなくなる』といった懸念の声が相次いでいる。国土交通大臣の指示を受け、28日での配信の終了はいったん見送る」と述べ、配信の取りやめを一時、延期することを明らかにしました。今後も配信を続けるかどうかは、自治体への確認を終えたのち、判断するとしています。
 

気象庁企画課 室井ちあし課長
「自治体側の状況について、われわれの認識不足や課題があるかもしれないということで、再度、確認が必要と判断した。結果的に混乱させてしまったのであればお詫びしたい」

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