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「緊急避妊薬」薬局での販売どうなる?本格的な議論開始

  • 2021年10月5日

意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を、医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかについて、本格的な議論が始まりました。
4日に開かれた厚生労働省の検討会で、薬局での販売を求める女性たちの団体と、慎重な姿勢を示す産婦人科医の団体がそれぞれ意見を述べました。

緊急避妊薬 日本では医師の処方箋必要

「緊急避妊薬(=アフターピル)」は、性行為から72時間以内に服用すれば、80%以上の確率で妊娠を防げるとされています。
WHO=世界保健機関によると、深刻な副作用はありません。海外では、90か国以上で、薬局で直接購入できます。価格は800円から5000円程度。フランスでは学校の保健室でも配布されています。
一方、日本で手に入れるには、産婦人科などを受診して、医師の診察を受けなくてはなりません。

厚労省 有識者の議論を開始

処方箋なしに緊急避妊薬を使えるよう検討することが政府の男女共同参画基本計画に盛り込まれたほか、薬局での販売を求める女性たちの声を受けて、厚生労働省はことし6月から有識者による議論を始めています。

4日の検討会ではさまざまな立場の人が参考人として意見を述べ、このうち薬局での販売を求める女性たちの団体は「予期せぬ妊娠で中絶すれば女性は心身に負担を負い、学業やその後の人生に影響するとともに産まれた子どもの虐待につながるおそれもある。女性が自分の体を守る選択肢を増やしてほしい」と訴えました。

続いて、慎重な姿勢を示す日本産婦人科医会が、薬局で処方箋なしに販売することについて、医師を対象に行ったアンケート調査の結果を説明しました。
アンケートは、ことし8月から行い、これまでに5000人余りから回答があったということで、結果は次の通りです。

「賛成」が7.8%、「条件付きで賛成」が46.9%、「反対」が42%だったとして、「多くの産婦人科医は無条件で賛成ではなく、性教育の充実など広い視点に立った合意形成を進める必要がある」と述べました。

委員からは「避妊を望む女性の権利をどう守るかが議論の主役となるべきだ」とか「さまざまな立場の意見があるが、困っている女性のための手段が必要だという点では共通している。どうすれば課題を解決できるかを考えていくことが必要だ」といった意見が出ていました。

厚生労働省は海外の状況について調査を行ったうえで来年2月をめどに次の検討会を開き、論点を整理することにしています。

女性たちの団体“女性の権利として重要”

検討会に先立って、女性たちの団体が厚生労働省に要望書を提出しました。
提出された要望書の中では、緊急避妊薬を手に入れることは性や生殖に関する女性の権利として重要で、検討会では権利を尊重した議論をしてほしいと求めています。

また、緊急避妊薬を薬局で購入できるようにするかどうか、4年前にも議論されたものの時期尚早として見送られたことについて、女性たちの団体は、当時の委員から、女性に知識がなく適切に薬を使用できないとか、緊急避妊薬が簡単に入手できると性感染症が増えるなどといった懸念が示されたが、いずれもWHO=世界保健機関の見解で否定されていると指摘しています。
そのうえで、国際機関のガイドラインや科学的根拠に基づいて議論を進めてほしいと訴えました。

要望書を提出 染矢明日香さん
「中絶をした当事者として、緊急避妊薬を入手しやすい環境があれば悔しい思いをすることもなかった。自分の体を守る権利を侵害されていると感じます。当事者目線の議論をしてほしいです」

さらに団体は、要望書と合わせて質問状も提出しました。
4日の検討会にあたって、日本産婦人科医会がまとめたアンケート結果の中で、緊急避妊薬の薬局販売について「条件付き賛成」の回答数が「現状のままでは反対」という表現で記述されており「結果がゆがめられている」と訴えました。

検討会で、日本産婦人科医会は「提出したアンケート結果は暫定的なものだった」として口頭で訂正しました。

9割余が“懸念” 医師アンケート調査

日本産婦人科医会が、薬局で処方箋なしに販売することについて、医師を対象に行ったアンケート調査。「条件付きで賛成」と答えた人(46.9%)に、設けたほうがよい要件や必要な取り組みを尋ねたところ、性教育の充実、複数の薬の販売を禁止すること、研修を積んだ薬剤師による販売と服薬の指導などを挙げた人が多かったということです。

また、薬局での販売について9割余りが懸念があると回答し、薬が転売される可能性や、コンドームの使用率が低下し性感染症のリスクが高まる可能性があること、それに避妊に協力しない男性が増える可能性があることなどを挙げています。

医師からは、風俗店で大量に薬を用意し、働く女性に飲ませているという事例が指摘されたほか、DV=ドメスティック・バイオレンスで2日続けて処方を求めるケースなど、薬を提供するだけでは解決できない問題を見過ごすことになるのではないかといった意見も寄せられたということです。

日本産婦人科医会 種部恭子常務理事
「賛成と反対で対立するのではなく、より多くの人との合意形成をはかるため、反対している医師が何に反対しているのか、また条件付きで賛成と答えた医師はどういう懸念があるのかしっかり分析して、解決できるところはしていきたい。特に性教育の充実を求めている医師が多いことがわかったので、医会でできる取り組みは行っていきたい」

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