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コロナの新治療薬「ソトロビマブ」承認 飲み薬の状況は?

  • 2021年9月28日

抗体を投与することで新型コロナウイルスの働きを抑える新たな治療薬「ソトロビマブ」が27日、国内で承認されました。この薬は点滴で投与し、軽症患者に使用できる薬としては抗体カクテル療法に続いて2種類目となります。
一方で、飲み薬についても「塩野義製薬」が臨床試験入りを発表するなど、国内外の製薬企業が開発を急いでいます。コロナ治療薬の現状をまとめました。

ソトロビマブ 点滴で軽症患者に使用可

承認されたのは、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが、厚生労働省に承認申請をしている「ソトロビマブ」です。
対象となるのは、重症化のリスクが高く、かつ酸素の投与が必要ない軽症または中等症の患者で、新型コロナウイルスの働きを抑える「中和抗体」を点滴で投与します。
海外で行われた治験では、入院や死亡のリスクを79%減らす効果が確認されたということで、アメリカではことし5月に緊急使用の許可が出ています。

厚生労働省の専門家部会で27日、承認の可否が審査され、有効性や安全性が認められるとして、国内での承認が了承されました。これを受け、厚生労働省は27日夜、正式に承認しました。

軽症患者にも使用できる薬としては抗体カクテル療法に続いて2種類目となり、より多くの患者の重症化の予防につながることが期待されます。
一方、アナフィラキシーや呼吸困難などの副作用が起きるおそれもあることから、厚生労働省は、まずは対象を入院患者に限定した上で、抗体カクテル療法と同様に外来や往診での投与を認めるか検討していくことにしています。

入院死亡リスク79%減

ソトロビマブは、すでに承認されている抗体カクテル療法と同じ、「中和抗体薬」と呼ばれる治療薬です。

開発したグラクソ・スミスクラインによりますと、1057人を対象に海外で行われた治験では、入院や死亡のリスクを79%減らす効果が確認されました。
また、投与から24時間以内に、発熱や呼吸困難、悪寒、めまい発しんなどの症状が確認されたほか、1人がアナフィラキシーを起こしたということです。

グラクソ・スミスクラインは臨床データが限られているため、今後、報告されていない重篤な症状があらわれる可能性もあるとしています。

資料:抗体カクテル療法

軽症患者用としては2種類目

新型コロナウイルスの治療薬の承認はレムデシビルとデキサメタゾン、バリシチニブ、それに抗体カクテル療法のカシリビマブとイムデビマブに続いて5種類目となります。軽症患者に使用できる薬としては抗体カクテル療法に続いて2種類目となります。

厚生労働省は、供給量の見通しや金額を明らかにしておらず、医療機関から投与する患者の数などを報告してもらった上で、必要な量を供給することにしています。

感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授は、今回承認された治療薬は、抗体カクテル療法と期待される効果や使い方は同じだとしたうえで、次のように指摘しています。

国際医療福祉大 松本哲哉教授
「薬の供給量には限界があり、今後もし、感染の急拡大で患者が増えた場合に1つの薬だけでは不足するおそれもある。複数の抗体薬が使えるようになることは医療現場にとって重要だ。複数の薬によって安定的な供給ができれば、必要な人に必要な治療が届きより多くの人の重症化予防につながるだろう」

飲み薬の開発状況は?

点滴だけでなく、自宅で服用できる飲み薬の状況はどうなっているのでしょうか?
第5波では多くの患者が自宅療養を余儀なくされました。重症化しないよう、軽症のうちに自宅で服用できる飲み薬の必要性が高まっていて国内外の製薬企業が開発を急いでいます。

このうち大阪に本社がある製薬会社「塩野義製薬」は、開発を進めている新型コロナウイルスの飲み薬タイプの治療薬について、有効性や安全性を調べるための次の段階の臨床試験に入ったと発表しました。

「塩野義製薬」は、飲み薬のタイプの新型コロナウイルスの治療薬の開発を進め、ことし7月からは薬の安全性を確かめる第1段階の臨床試験を進めてきましたが、28日、現時点では安全性に大きな問題はなかったことを明らかにしました。
これを踏まえて、会社は27日から次の段階の臨床試験に入ったということです。
次の段階では、軽症の患者か無症状の人を対象に、1日1回、5日間にわたって薬を投与し、有効性や安全性を確かめることにしています。
医療機関の入院患者だけではなく、宿泊療養者なども対象にするとしています。

塩野義製薬は、試験の規模や終了時期のめどを明らかにしていませんが、年内には100万人分を供給できる生産体制を整えたいとしています。

○メルク

アメリカの製薬大手「メルク」が開発している「モルヌピラビル」と呼ばれる抗ウイルス薬は、日本の患者を含めた最終段階の治験を進めています。「メルク」の日本の子会社によりますと、治験の結果は9月か10月中にも出る見込みで、結果が良ければ、年内にもアメリカで緊急使用許可の申請を予定しているということです。

○ファイザー

アメリカの製薬大手「ファイザー」は、2種類の抗ウイルス薬を併用する治療法について、最終段階の治験を海外で進めています。治験の暫定的な結果は、ことし10月から12月の間に得られる見込みだとしていて、年内にもアメリカで緊急使用許可の申請を行う可能性があるとしています。会社側では、日本国内の患者も治験に参加するよう準備を進めているということです。

○ロシュ/中外
スイスの製薬大手「ロシュ」は、「AT-527」と呼ばれるC型肝炎の治療薬として開発を進めてきた抗ウイルス薬が新型コロナウイルスにも効果があるかどうか、日本の患者を含めて最終段階の治験を行っています。国内での開発などを行っている中外製薬によりますと、治験の結果を踏まえて来年にも、厚生労働省に承認申請したいとしています。

○アビガン

日本の製薬会社の「富士フイルム富山化学」も、インフルエンザの治療薬「アビガン」に新型コロナウイルスに対する効果があるか、最終段階の治験を進めています。

○イベルメクチン
このほか、寄生虫による感染症の特効薬「イベルメクチン」について、北里大学病院などが医師主導治験で新型コロナウイルスへの効果や安全性を調べています。これとは別に、名古屋市に本社がある製薬会社の「興和」はことし7月、新型コロナウイルスの患者を対象に、「イベルメクチン」を投与する治験を行うと発表しています。
一方で、「イベルメクチン」についてWHO=世界保健機関や各国の保健当局、それに製薬メーカーなどは、これまでのところ海外での臨床試験で有効性は明確に示されていないとしています。

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