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新型コロナ 第5波 自宅療養者の半数以上が原則入院の「中等症」

  • 2021年9月24日

新型コロナウイルスの第5波では、医療体制が危機的な状況となり、希望しても入院できない自宅療養者が相次ぎました。東京・新宿のクリニックが、8月、往診などを行った自宅療養者の状況を分析すると、半数以上が原則入院とされる「中等症」だったことが分かり、自宅療養者が置かれた厳しい状況が改めて浮き彫りになりました。
第5波が減少傾向にある今、次の感染拡大に備えて、地域全体で自宅療養者を支える仕組みを整えようという動きも始まっています。

自宅療養者の半数以上が「中等症」

東京・新宿区にある新宿ヒロクリニックでは、8月、保健所からの依頼で自宅療養者273人について継続的に往診やオンライン診療にあたり、その状況を分析しました。

40代が87人、30代が75人、50代が42人、20代が33人で、働き盛りの20代から50代で86%にのぼりました。

血液中の酸素の値が93%以下となり、入院して酸素の投与が必要な「中等症Ⅱ」が99人と最も多く、肺炎の所見がみられ入院が必要な「中等症Ⅰ」が51人、軽症が98人で、原則入院とされる「中等症」が全体の半数以上にのぼりました。

こうした自宅療養者には、入院の調整を進めながら、応急処置として在宅で酸素の投与を行ったということで、8月だけで酸素濃縮装置94台を貸し出したということです。今回の分析で第5波で自宅療養者が置かれた厳しい状況が改めて浮き彫りになりました。

新宿ヒロクリニック 英 裕雄 院長
「第5波では中等症Ⅱの方も少なからず入院できない。適切な医療にかかれない異常な事態だったと思います。保健所、病院に任せきりにするのではなく、安心して療養できるためには地域が関わらないといけない。病状の変化におびえている方が多いので、安心して自宅療養できる仕組みを作らないといけない」

家族内での感染の広がりが問題に

自宅療養を支える現場で問題となったのが家族内での感染の広がりでした。都内に住む50代の夫婦は、20代の娘から感染しました。

娘は実家から離れてひとり暮らしをしていました。8月上旬、娘は全身の痛みに耐えられず救急車を要請しました。病院で新型コロナの感染が確認されましたが、入院はできませんでした。自宅療養者の容体が急変することがあるとニュースで聞いていた夫婦は、娘を1人にできないと実家に呼び寄せ、看病することにしました。

当時の状況について夫婦は「自分たちのことは二の次で、娘のことしか考えていなかった。容体が急変することがあるという情報を耳にすると、怖さが先に立ってしまう」と話していました。

家の中では、娘は別の部屋で隔離して生活しました。触ったドアノブはすべて消毒するなど、感染対策を徹底し、家族の会話はSNSで行いました。
しかし、夫婦は4日後に受けた検査で感染していることが分かりました。

夫婦は新型コロナのワクチン接種の有無で、重症度に違いが出ました。ワクチン接種を2回終えていた夫は軽症でしたが、接種していなかった妻は次第に体調が悪化し、血液中の酸素の値が92%に低下し、入院して酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」の状態に陥りました。
往診を受けて回復しましたが、家庭内で感染を避ける難しさを感じたといいます。

「インフルエンザみたいなものだろうと思ったが、全然違った。段違いで、とにかく苦しかった」

「妻は死にたくないと言うことがあったし、僕は大丈夫だよと声をかけるしか言葉が見つからなかった。家族1人が感染すると、全員が感染してしまうんだと怖さを感じた」

次の感染拡大に備えて “地域全体で支える仕組みを”

第5波が減少傾向にある今、次の感染拡大に備えて、東京・新宿区では、地域全体で自宅療養者を支える仕組みを整えようと、話し合いを始めています。
新宿区では、9月上旬、保健所や地元の医師会、それに薬剤師会などの幹部がオンラインで会議を行いました。

第5波では希望しても入院できない自宅療養者が相次いだことを踏まえて、地域全体でどう支えるか意見が交わされました。

新宿ヒロクリニック 英 裕雄 院長
「多いときは酸素濃縮装置を使うケースが1日に8人相次いだ時期があり、スタッフの人数や機材の面からも非常に厳しかった。医療資源を集約した救護所の設置が必要なのではないか」

これに対して新宿区は「地元の医師の協力を得て救護所のような臨時施設の設置を検討している」と応えていました。

新宿ヒロクリニック 英 裕雄 院長
「第5波を経験して地域全体で支えなければいけない。入院の待機待ちは非常に異常な事態であって、そうしたことが2度と起こらないようにすることが地域のこれからの役割と思っている」

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