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「ブレイクスルー感染」相次ぐ 対策・注意点を専門家に聞いた

  • 2021年9月24日

新型コロナウイルスのワクチンの接種が進む一方で、接種後2週間以上経過してから感染が確認される「ブレイクスルー感染」が報告されています。病院や介護施設でのクラスターも確認。専門家は、基本的な感染対策と2回の接種の重要性を訴えています。

24人ブレイクスルー感染 群馬の病院でクラスター 

群馬県は、伊勢崎市の病院で25人が新型コロナウイルスに感染したことが新たに確認され、クラスターが発生したと発表しました。

クラスターが発生したのは、伊勢崎市の原病院で、県によりますと20日から22日までに入院患者17人と職員8人のあわせて25人の感染が判明しました。
25人は10代から80代の男女で、このうち1人はワクチンの接種が1回でしたが、残りの24人はワクチンを2回接種してから、2週間以上がたっていたということです。

新型コロナウイルスの症状が重症化した人はいませんが、これだけ多くの人が1度にいわゆる「ブレイクスルー感染」したと分かったのは、県内で初めてです。原因はわかっておらず、県は国にも依頼して調べることにしています。

病院によりますと、感染が確認された患者や職員は転院や自宅待機などの措置をとっていて、入院の受け入れは停止していますが、外来の診療は継続しているということです。

群馬県が行った新型コロナの新規感染者について、ワクチンの接種状況の調査結果です。

感染した人のうち2回接種した人の数
7月22日からの1週間 5人
8月13日からの1週間 56人
9月2日からの1週間 79人

群馬県は2回接種したあとも感染対策を徹底してほしいと呼びかけるとともに、重症化などを防ぐ効果は大きいとして、ワクチンの接種を積極的に検討してほしいとしています。

福井の介護施設でも

福井県は22日、41人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。このうち32人は介護施設の入所者や職員で、全員が2回のワクチン接種を終えていることから、福井県はいわゆる「ブレイクスルー感染」のクラスターが発生したとしています。

32人の感染が確認されたのは越前市の介護老人保健施設「シルバーケア藤」です。
職員1人の感染が21日確認されたことを受けて、入所者や職員など189人に検査を行ったところ、70代から90代までの男女20人の入所者と、越前市や鯖江市に住む20代から70代までの職員12人のあわせて32人の感染が確認されたということです。

福井県によりますと、この施設で感染が確認された人は、全員が優先接種の対象となってことし6月ごろまでに2回のワクチン接種を終えていたということです。

福井県健康福祉部 窪田裕行部長
「デルタ株の流行と、ワクチンの接種が進んできて発熱を伴わないなど、感染がわかりにくいケースもあるが、わずかな異変でも見逃さず早めの受診や相談を心がけてほしい」

英 サッカー観戦 6000人超感染か

イギリスでことし、大勢の観客を入れて行われたサッカーのヨーロッパ選手権の8試合で、合わせて6400人近くが新型コロナウイルスに感染したとみられることがわかりました。

イギリス政府は、大規模なイベントの再開に向けて、新型コロナウイルスの感染の実態を調べるため、ことし春以降、イベントに一定の条件のもとで大勢の観客を入れることを認める調査を行い、8月20日、その結果を公表しました。

それによりますと、変異ウイルスによる感染が拡大していた、ことし6月から7月にかけてロンドンで行われたサッカーのヨーロッパ選手権の決勝など8試合で、合わせておよそ35万人の観客のうち、6400人近くが新型コロナウイルスに感染したとみられるということです。

観客の入場に際しては、ワクチンの接種や陰性の証明が求められていましたが、ウイルスの潜伏期間などから入場の時点ですでに3000人余りが感染していて、試合観戦を通じて感染が広がったとみられています。

専門家 感染対策と接種の重要性指摘

専門家は、ワクチンの接種後も感染対策の重要性を指摘するとともに、2回の接種の重要性も強調しています。

ワクチンに詳しい長崎大 森内浩幸教授
「出来上がった抗体が増えるスピードと、ウイルスが増えるスピードの競争で、間に合わなかったらもしかしたら発病するかもしれません。2回目のワクチン接種が終わって2週間以上たったところで発病したのであれば、ブレイクスルー感染と考えていいと思います。ワクチンを打ったからといって100%感染を防げるわけではない。
新型コロナのワクチンは非常に有効性の高いワクチンの1つで、ブレイククスルー感染は比較的少ないほうだと思います。インフルエンザのワクチンよりははるかに有効性が高い。致死率が非常に高い新型コロナをしっかりと食い止める力を持っている。仮に感染したとしても重症化につながるリスクは非常に低くなる」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、「ブレイクスルー感染を起こすとは言え、ワクチンの効果が無くなっているわけではなく、重症化や死亡のリスクは確実に下がっていて、これが一番大事なポイントだ」と話し、特段の理由がなければなるべく接種をするのが望ましいとしました。

その上で舘田教授は、新型コロナ対策をワクチンだけに頼るのはリスクが高いとして、次のように指摘しています。

東邦大 舘田一博教授
「アメリカやイギリスなどワクチン接種が先行していた国では接種率が一定の水準に達して感染対策がおろそかになってしまい、大きなクラスターが発生したと報告されている。そういった事例を見てもワクチンだけに頼るのではなく打った人も打っていない人もしばらくの間は感染対策、リスクを下げる行動を維持していくということが大事になる。ワクチンを打ったからといって何も対策をせずに動き回り、油断して食事やお酒を飲むということがないように一人ひとりが注意していかなければいけない」

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