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「ブースター接種」3回目のワクチン 効果や副反応・課題は?

  • 2021年9月21日

新型コロナウイルスのワクチンの接種が進む一方で、接種を終えて2週間以上たってから感染が確認される、いわゆる「ブレイクスルー感染」が報告されています。こうした中、世界ではワクチンの効果を高めようと接種が完了した人を対象に、3回目の「ブースター接種」の動きが出てきています。日本でも行う方針が決まりましたが、効果や副反応、課題についてまとめました。

「ブースター接種」とは 国内外の動き

新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、厚生労働省は17日、専門家でつくる分科会を開いて、ファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンについて、原則、同じワクチンを使用して追加接種を行う方針を示し、了承されました。
河野規制改革担当大臣は21日、閣議のあとの記者会見で、先行接種の対象となった医療従事者は年内から、高齢者は年明けから、それぞれ開始することになるという見通しを示しました。

世界では、ワクチンの効果を高めようと接種が完了した人を対象に、3回目の追加接種「ブースター接種」を始める国が出てきています。

 ブースター接種 各国の動きは
国名 開始時期 対象
イスラエル 8月 12歳以上
イギリス 9月 50歳以上
高齢者施設の入居者
医療従事者など
フランス 9月  65歳以上
重度の免疫不全
高齢者施設の入居者など
ドイツ 9月 60歳以上
高齢者施設の入居者
免疫不全がある人
医療従事者や救急隊員など
アメリカ    65歳以上
重症化リスクの高い人
シンガポール 9月 60歳以上

16歳以上の8割以上が2回のワクチン接種を終えているイスラエルでは、一時は1日の新規感染者が1桁にまで減りましたが、感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の拡大に伴って再び感染者が増えたため、8月から3回目の接種を始めました。

また、イギリスでは「ワクチンの効果を保つため」として、3回目となる追加の接種を9月中に本格的に始めることにしています。
対象となるのは、高齢者施設の入居者や医療従事者、それに50歳以上の人たちなどで、臨床試験の結果、高い効果が確認されているとして、基本的にファイザーかモデルナのワクチンを接種し、モデルナの場合には半分の量にするとしています。

フランスは65歳以上の人や、重度の免疫不全がある人、高齢者施設の入居者など、ドイツは60歳以上の人や、高齢者施設の入居者、免疫不全がある人、感染者と定期的に接触する医療従事者や救急隊員などが対象です。

一方、アメリカはファイザーや、モデルナのワクチンの2回目の接種から一定の期間がたった人を対象に3回目の接種を行う方針を示しています。アメリカのFDA=食品医薬品局の委員会は、17日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の必要性についてファイザーのワクチンを対象に検討を行い、65歳以上の人や、重症化リスクの高い人を対象とする案を全会一致で承認しました。
追加の接種は、2回目の接種が終わってから少なくとも6か月たった人が対象で、今回の結論を受けて、FDAは、今後、正式に緊急使用の許可を出すものとみられます。モデルナのワクチンについても今後、追加接種についての検討が行われることになっています。

シンガポールでは、新型コロナウイルスのワクチンの接種を終えた人が、人口の80%を超えているものの、新たな感染者の増加傾向が続いていることから、60歳以上の人などを対象にした3回目のワクチン接種が始まりました。

ワクチン3回目接種 効果は?

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスのワクチンは、時間が経過するにつれて、感染を予防する効果が減少していく可能性があるとアメリカで指摘されています。
また、デルタ株に置き換わったことで、発症予防効果も減少しているとされ、以前、主流だったアルファ株に比べると、ファイザーのワクチンの発症予防効果が88%で5.7ポイント、アストラゼネカが67%で7.5ポイント、それぞれ低下するという報告もあります。
こうした中、各製薬会社は3回目の追加接種によって、デルタ株の働きを抑える中和抗体の値が増加するとしています。

ファイザーは、追加接種から1か月後の中和抗体価が、2回目接種の1か月後に比べて、55歳以下で5倍以上、65歳から85歳で11倍以上に上昇したと報告しています。
モデルナも、追加接種の2週間後の中和抗体価が、2回目接種の6か月後から8か月後までと比べておよそ42倍に増加したとしています。アストラゼネカも追加接種後に中和抗体価が増加したと報告しています。

2回目に比べ副反応は?確保の見通しは?

追加接種後の副反応について2回目の接種に比べ、海外では次のように報告されています。
また、厚生労働省によりますと、追加接種に必要なワクチンは確保できる見通しだとしています。

  副反応 国内での供給
ファイザー 頻度は同程度か低い 年内1億9400万回分
来年初頭~1億2000万回分で協議
モデルナ 許容できる範囲
半数以上は軽度か中等度
年内5000万回分
来年初頭~5000万回分で契約
アストラゼネカ 1回目の接種後より少ない 1億2000万回分

課題 自治体の負担

懸念されているのが自治体の負担です。
追加接種のために会場や人員を新たに確保しなくてはならず、対象者のうち2回目の接種から8か月以上たった人を確実に把握して接種券を送る作業も必要になります。まだ、多くの自治体が、2回の接種への対応に追われている中で、追加接種が始まれば負担が増えるだけでなく、手続きなどが複雑になって混乱するおそれもあります。

東京・豊島区の担当者
「2回目の接種を行っている中で今から3回目の接種の準備にまで手が回るかが心配だ。必要なワクチンがきちんと配送されるのか、接種券をどう送るのか、会場をいつから確保するのかなど課題が多い」

東京・足立区の担当者
「接種会場を常設することなども検討する必要があるので、3回目で終わるのか、今後も毎年、接種を行っていくのか、国は長期的なスケジュールを示してほしい」

WHO「年末まで追加接種行わないで」 先進国と途上国で格差

一方で、WHO=世界保健機関は、ワクチンが不足している途上国などでの接種を進めるため、少なくとも年末までは追加の接種を行わないよう、各国に呼びかけていて、ワクチンの供給をめぐる懸念も生まれています。

WHOは9月末までにすべての国で人口の少なくとも10%が接種を終えるとする目標を掲げていますが、先進国の90%近くが達成したのに対し、途上国の多くが達成できていないのが実情で、大きな格差が生じているのが現状です。

各国は9月18日 日本は9月13日時点

イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によりますと、G7=主要7か国で、ワクチンの接種を終えた人の人口に占める割合は18日の時点でカナダが69%と最も高く、イギリスとイタリアが65%、フランスが64%、ドイツが62%、アメリカが54%などとなっています。

一方で、ケニアが1.6%、ナイジェリアが0.8%などアフリカでの接種率は低く、アフリカ疾病予防管理センターによりますと、アフリカ大陸で接種を終えた人は9月14日の時点で人口の3.5%に満たないということです。

ワクチンの需要が供給を上回る状況が続く中、WHO=世界保健機関は先進国などに対して、年内はワクチンを追加の接種に使うのではなく、WHOなどが主導する国際的なワクチン分配の枠組み「COVAXファシリティ」に寄付するよう求めています。

3回目の接種 専門家は

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、日本ワクチン学会の理事長で福岡看護大学の岡田賢司教授は、「3回目ありきの議論ではなく、まずしなければいけないのは、希望する方々に確実にワクチンを届けて、2回の接種を終わらせることだ。WHOが指摘するように、1回接種できていない世界の人たちへの視点も大事だと思う」としたうえで、次のように指摘しています。

日本ワクチン学会理事長 福岡看護大 岡田賢司教授
「2回接種をした人でもいわゆる『ブレークスルー感染』が起こっている中では、3回目の接種について準備をしておくことは必要だ。抗体の上がり方に個人差があるのと同じく、下がり方にも個人差がある。また、抗体とは別に細胞性の免疫が免疫の記憶を獲得していると考えられていて、細胞性免疫も半年で効果が下がるのかどうかはまだ分かっていない。今後の感染状況も踏まえながら3回目の接種を急ぐのがいいのか、遅い時期になってもいいので毎年、接種を行うやり方にするのか、考えておくことが重要だ」

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