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東京 新型コロナ感染者減少傾向 専門家どうみる?インタビュー詳細

  • 2021年9月7日

東京都内では新型コロナウイルスの新規感染者数が6日の発表でおよそ50日ぶりに1000人を下回るなど減少傾向にあります。
この傾向を、専門家はどうみるのか。
国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「医療提供体制を改善させるためには十分な減少ではなく、学校の再開などで今後、増加に転じる恐れもある」と指摘します。インタビューの詳細です。

安心材料だが減り方が逆に不自然

◯東京の感染者1000人を切ったことへの受け止めについて
感染者が減ること自体は本当にいいことですし、逆に900人台ということで1000人を切ったというのは、ある意味、安心材料なのかなと思いますが、減り方自体が逆に不自然なぐらい急激に減っていると思います。実際に本当に何か見渡してみて感染者が減るような要因が今あるかというと、そんなに極端に人流が減ったわけではない。いろんな何か新たな抑制策が加わったわけではないのに、このように順調に減っていること自体が実態を反映しているのかなぁというようなことも考えられますので、減ること自体はとても良いことなのですが、これがこのまま順調に減るのかどうか実態を反映しているのかこれはやはり私の気になるところです。

◯感染者が減少した理由について
残念ながら明確なものは見当たらないと思います。例えば人流についても確かにここしばらくの間、減ったり増えたりする中でそれが原因になっているかも知れませんけれども、ただ極端に減ったわけではありませんので、そういう意味では人流の減少が感染者数の低下につながったかどうかというのはちょっと何とも言えないということだと思います。

人流というのはあくまで、どちらかというと、街中に出て行く人たちをある程度マスで捉えたわけですけれども、ただそれが個人個人の行動がどうだったかというところまでは把握はされていないと思います。ただ例えばいきなり街中に出たからといってそれで感染するわけではなくて、そこで何かリスクが高いような行動を取った上で感染が広がっていきますから、おそらくかなり感染者数が増えて医療現場も逼迫しているという報道を連日聞いて、今感染するとまずいだろうし、かつリスクも高くなっているだろうということを皆さんが感じて、ある程度リスクが高い行動については取りにくくなって慎重に行動されたのだろうとは思います。

“このまま減っていくとは考えにくい”

◯見通しについて
今の状況からすると本当に順調にこのまま減っていくとはやっぱり考えにくいと思います。学校も始まったり夏休みも終わって企業活動を通常の状態に戻っていますので、そういう中で、むしろ今感染者数が逆に増えやすい要因が出てきていますから、そうすると一旦は確実に減ったとは思います。ただこの後減りが鈍くなって場合によっては9月の後半位になってくるとむしろ感染者数が増加に転ずる可能性もあると思います。

まだ医療の提供体制が改善するのにはとてもそんな十分な数ではありません。もっともっと感染者数を落とし込まないと医療提供体制は変わりませんし結局1000人規模でずっと出ても、重症者数も増えていく可能性もありますから。やはり今、1000人だということで、もし安心したとされると決して医療提供体制が十分に良い方向に行く数では無い事は理解していただければと思います。

緊急事態宣言の解除は?

◯12日に期限を迎える緊急事態宣言延長について
緊急事態宣言の効果で感染者数がどっと減っているわけではないと思います。飲食の制限が中心でずっと延長してきたわけなので、新たな策が講じられてきたわけではありません。緊急事態宣言がそんなに効果を示していないとは思います。ただ解除して良いのかというと、解除するという事はある意味「感染は落ち着いたし、行動その他の制限はいたしません」という悪いメッセージを多くの人に伝えてしまいますので、それによって今度逆に増加させやすい要因になるとは思います。緊急事態宣言の解除はその後のリバウンドを招きやすいということをもう一度認識していただいて、どのタイミングで解除するべきかは慎重に議論してもらいたいと思います。

◯やはり継続が必要?
まだ今しばらくはですね、決して医療状況が改善するまで感染者数は落ち込んでいませんので、そうするとこのタイミングでもし緊急事態宣言を解除してしまいますと、また同じ位のレベルですね。例えば東京で5000人ぐらいのレベルに上がってしまうことも十分に考えられます。それをある程度抑えるためには残念ながらなかなか効果は無いとは言いながらも宣言そのものを解除するタイミングではないと思います。

ワクチンと感染対策の両立

松本教授は、ワクチンを2回接種したあとにも感染する、「ブレークスルー感染」も報告されるなか、「ワクチンと感染対策の両立が大事」だとしています。

マスクなどの予防策を、決してワクチンを2回打ったから安心ということでやめていいということにはならないということだと思います。ワクチンと感染対策の両立によって、感染が抑えられますのでワクチンだけで十分ということにはなりませんから、感染対策は今の状況であればしばらくは続けていく必要があると思います。今は安心すべきタイミングではないんですね。ピークから減ったということで、みんなが安心し始めているので、これで逆にもう大丈夫なんじゃないかと言うような誤った認識になってしまうとそれはまだ早いということを理解してもらいたい。

◯だんだん寒くなって乾燥してくるこれからの季節について
今後涼しくなって、あるいはもっと寒くなってきて、乾燥も起こってしまいますと、やっぱりこのウィルスというのは気道型のウィルスですので広がりやすいいう事はあります。かつ今年の冬はですね昨年ほとんどインフルエンザが流行しませんでしたので、免疫を多くの人たちも持っていない状態です。もちろんワクチンも打っていただきたいとは思いますけど、残念ながら今年の冬、場合によってはインフルエンザの流行も重なってしまうかもしれません。そういう意味では本当に今まだしばらくは決してコロナだけではなくて、こういう感染全体を捉えると今年の冬はまだ落ち着いた状況にはならないんだろうなとは思います。

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