1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 電車のホーム 視覚障害者が命を守るために行う動作を知ってほしい

電車のホーム 視覚障害者が命を守るために行う動作を知ってほしい

  • 2021年9月2日

視覚障害者がホームで電車に乗る際に、命を守るために行う行動があります。電車に乗る際に、停車中の車体やホームドアに触れて、そのまま乗り込んでも安全かを確認することです。
ところが、この意味が伝わらず、目の不自由な男性が見送りで手を振っていると勘違いして電車のドアが閉まり、男性が手を挟まれ転倒したと見られる事故が起きていたことがわかりました。
誰もが安全に鉄道を利用できるようになるために知ってほしいことです。

手を挟まれたまま発車 視覚障害者がけが

ことし7月、横須賀市の京急久里浜駅のホームで、電車に乗ろうとしていた視覚障害者の60代の男性がドアに手を挟まれました。男性はそのまま発車した電車に引っ張られて転倒し、頭や腰にけがをしました。
男性が乗車しようとしていたにも関わらず、車掌は見送りで手を振っていると見間違え、男性をドアに挟んだまま、発車してしまった可能性があるということです。

乗車方法は触れて安全確認

視覚障害者が電車に乗ろうとするとき、安全を確認するための動作があります。まず、点字ブロックや音を確認しながら、電車の乗り場に近づきます。
点字図書館などがあるため、視覚障害者が利用することが多い東京メトロ東西線の高田馬場駅のホームでは、電車を待つ間に、ホームドアに触れ、ドアが開く位置を確認する姿が見られました。

また、乗車の際には白じょうでドアの位置を探したり、ドアのふちを触ったりして安全を確認していました。

安全な乗車のために声かけや見守りも

この駅ではホームに6台のカメラを設置し、車掌がモニターで確認していますが、ラッシュ時には画面上では見えづらくなることもあります。

このため、東京メトロでは視覚障害者の利用が多い駅では、ホームで安全を確認する駅員を増やしたり、改札を通る際に声をかけたりして、安全に乗車を終えるまで見守る対策を取っているということです。

モニターでの安全確認は、首都圏の多くの鉄道会社でも行われていて、今回、事故があった京急久里浜駅でも導入されていましたが、ドアに手が挟まった視覚障害者の男性を車掌が見落とし、ホームで乗車を見守る駅員もいませんでした。

 

視覚障害者の女性

同級生が、つえがドアに挟まってしまったことがあるので、今回の事故は怖い。電車の入口が分からない時にひと声かけてくれると安心なのでお願いしたい。

 

視覚障害者の男性

確認のために乗車に時間がかかってしまうので、停車時間が短い駅などでは、指を巻き込まれたり、つえを挟まれたりすることはあるので、乗務員も理解していただきたい。

 

国土交通省によりますと、視覚障害者が電車に乗る際、ホームからの転落を防ぐため、車体に触ってドアを確認することが多く、男性も手でドアを探していたとみられるということで、国は再発防止策を検討することにしています。

“事故を防ぐため 手伝いの声がけを”

小倉芳枝さん(視覚障害者に安全な鉄道の利用方法を指導する「歩行訓練士」)
「健常者が無意識でやっている、ドアを目で見て電車に乗るという行動は、視覚障害者にとっては安全確認のために非常に神経を使うことで、時間がかかることも多い。車体に近づいてからドアを探すなど、見えている人とは違った動作をしていることがあることを知り、気軽にお手伝いの声をかけていただくことが事故を防ぐことにつながる」

ページトップに戻る