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“ワクチンが原因で亡くなった”は誤解 厚労省が注意呼びかけ

  • 2021年8月27日

新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとに亡くなったケースがあり、国はその人数を公表しています。これまでにワクチンが原因で亡くなったと判定されたケースはありませんが、「ワクチンが原因で亡くなった」と誤解してSNSなどで拡散されていて、厚生労働省は誤った情報が広がっているとして注意を呼びかけています。

“接種後に死亡”の最新データ「因果関係あり」はなし

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたあとに死亡が確認された人は、8月8日の時点で以下の通りです。

ワクチン接種後に死亡 1002人
ファイザー 100万人あたり19.6人
モデルナ 100万人あたり1.2人

 

「接種と因果関係がある」と結論づけられた人はいなかったということです。

心筋炎などのデータは

また、心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」の疑いがあると報告された人は、以下の通りです。

心筋炎や心膜炎の疑い
ファイザー 100万人あたり1.1人
モデルナ 100万人あたり1.4人

 

このほか、ファイザーのワクチンの接種を受けた80代の女性が、血小板の減少を伴う血栓症を発症し、国際的な指標に該当しましたが、情報不足などで因果関係は評価できなかったということです。
厚生労働省は、現時点で接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとして引き続き接種を進めることにしています。

接種後の体調不良 国の専門部会で調査

新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとで体調不良などがあった場合には、「副反応の疑い」として国に報告されます。「副反応の疑い」として報告されるケースには、ワクチンを接種した人に出たあらゆる症状が含まれていて、接種の翌日に急病になったとか、接種した日の夜に持病が悪化して亡くなったなど接種と関係があるか分からなかったり、すぐには判断できなかったりするケースも含まれ、専門家部会で接種を受けたことが体調不良や死亡に関係があるかどうか、慎重に調査が行われています。

SNSの誤情報に注意

一方で、「接種後に死亡した」ケースについて、SNSなどでは「ワクチンが原因で死亡した」として拡散されることがあります。これについて、厚生労働省はウェブサイトで次のように注意を呼びかけています。

接種後の死亡と、接種を原因とする死亡は全く意味が異なります。接種後の死亡にはワクチンとは無関係に発生するものを含むにも関わらず、誤って、接種を原因とする死亡として、SNSやビラなどに記載されている例があります。
(厚生労働省の呼びかけ 一部抜粋)

専門家 “接種で死亡リスク上がっていると言えず”

新型コロナワクチンの接種を終えた人の割合が、65歳以上の高齢者の90%近く、全ての人口で見ても40%を超える中、接種した後に様々な要因で亡くなる人はいますが、専門家はワクチン接種によって死亡のリスクが上がっているとは言えないとしています。

厚生労働省の人口動態調査によりますと、日本国内ではおととし2019年にはおよそ138万1000人、1日平均ではおよそ3780人が亡くなっています。
死因別に見ると以下の通りです。

日本人の死因(2019年厚労省人口動態調査より)
がん 約37万6400人(1日平均 約1030人)
心疾患 約20万7700人(1日平均 約570人)
老衰 約12万1900人(1日平均 約330人)
脳血管疾患 約10万6600人(1日平均約290人)

 

専門部会のメンバー 東京医科大学 濱田篤郎 特任教授
「専門家部会ではワクチン接種後に起きた死亡の頻度と、ワクチンを打っていない人で自然に起きる死亡の頻度と比較しているが、ワクチンを打ったあとに起きる死亡の方が頻度が低く、接種によって死亡のリスクが上がっていないということが推測できる。アメリカなどでの検証でも現時点ではワクチン接種と死亡の間に関係が認められたケースは出ていない。検証するには多くのデータが必要で、今後もデータの分析をより精緻に行う仕組みの改善を進めていくべきだ」

 

厚生労働省も「国内外で注意深く調査が行われていますが、ワクチン接種が原因で何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」としています。

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