1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. アストラゼネカのワクチン 副反応や効果は?血栓症について

アストラゼネカのワクチン 副反応や効果は?血栓症について

  • 2021年8月23日

公的な予防接種に追加されたアストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン接種が始まっています。厚生労働省は都道府県に対して少なくとも1か所は接種場所を設けるよう求めています。ワクチンの効果や副反応について、現段階の情報をまとめました。

アストラゼネカのワクチン 効果は?

イギリスの製薬大手、アストラゼネカは、オックスフォード大学と共同でワクチンを開発し、2021年1月からイギリスなどで接種が始まりました。

アストラゼネカのワクチンは有効性が認められる一方で、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘され、ことし5月に承認された後も公的な予防接種に使われていませんでした。
しかし、厚生労働省は慎重に検討した結果、原則40歳以上の人を対象に公的な予防接種に追加し、8月から緊急事態宣言が出されている都府県を優先して配送しています。

対象
・ほかのワクチンの成分にアレルギーがある人
・海外で、すでにアストラゼネカのワクチンの接種を1回受けた人 など

 

2回接種したあとで発症を予防する効果は、2021年7月英保健当局が「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した論文に発表した内容によりますと、次の通りです。

「アルファ株」:74.5%
「デルタ株」:67.0%

イギリス政府によりますと、入院予防効果は「デルタ株」に対しては92%となっています。

接種方法は筋肉注射で、1回目の接種のあと4週間から12週間あけて2回目の接種を受けます。間隔は8週間以上おくのが望ましいとされています。

接種後の副反応は?

ワクチンの添付文書によりますと2万4000人あまりを対象にした臨床試験の解析から主な副反応は次の通りです。

疲労 1回目の接種後49.6% 2回目の接種後26.8%
頭痛 1回目の接種後48.6% 2回目の接種後26.7%
筋肉痛 1回目の接種後40.3% 2回目の接種後18.9%
38度以上の発熱 1回目の接種後7.1% 2回目の接種後1.2%など

副反応 国の調査始まる

接種後の副反応を調べる国の調査も始まっています。
厚生労働省の研究班が20歳以上の希望者を募って、8月21日から接種後の副反応を調査しています。

東京・文京区の順天堂大学医学部附属順天堂医院では、はじめに医師がワクチンについて、極めてまれに血栓が生じるリスクがあることや公的な予防接種では、必要性がある場合を除いて、原則、40歳以上が対象になっていることを説明しました。
その上で同意を得て接種を行い、30分間経過を観察していました。

この病院では、およそ500人を目標に希望者を募る予定で、2回目の接種の4週間後まで体温や接種部位の状態などを日誌に記録して提出してもらい、研究班で分析するということです。

20代の女性

原則、40歳以上と聞いて不安もありましたが、それ以上に感染が不安です。実家にも帰りたいので参加を決めました。

40代の女性

自治体で接種の予約が全然取れず、子どもが5人いて学校も再開するので、打っておこうと参加しました。

研究班のメンバー 順天堂大総合診療科 内藤俊夫主任教授
「日本人特有の副作用がないか、データを取って広く公開していきたい」

接種に向けた動きは

厚生労働省は、都道府県に対して少なくとも1か所は接種場所を設けるよう求めています。ワクチンは8月16日から順次、都道府県に配送しています。

厚生労働省によりますと、23日から大阪市や埼玉県川口市など一部の自治体で接種が始まっているということです。

神奈川県は、8月30日から横浜市内でアストラゼネカ製のワクチン接種を始めると発表しました。会場は、横浜市港北区の「新横浜国際ホテルマナーハウス」です。

予約は今月26日からインターネットで受け付け、今月30日からの週は1日200人、次の週からは1日800人への接種を予定しています。
神奈川県内にはアストラゼネカ製しか接種できない人が1万8000人ほどいると推計されていて、県の担当者は、「今後は状況によって規模を拡大することも検討していきたい」としています。

極めてまれな血栓

イギリスの規制当局の報告によりますと、2021年8月11日までにイギリス国内で、このワクチンを少なくとも1回接種した2480万人のうち、血小板の減少を伴う血栓症になった人は412人、このうち73人が死亡したということです。

頻度としては接種100万回あたり、14.9件とされ、多くが1回目の接種のあとに起きているということです。

血栓が起きる頻度
18歳から49歳:100万回の接種あたり20.2件
50歳以上:100万回の接種あたり11件
若い世代の方が頻度が高いということです。

現在、イギリスでは40歳以上をアストラゼネカのワクチンの対象にしています。

血栓にどう気づく 治療体制も整備

日本脳卒中学会と日本血栓止血学会は、アストラゼネカのワクチン接種後に起きる血栓症について、医師向けの手引きをまとめています。
それによりますと、アストラゼネカのワクチンと血栓症の関係はまだはっきりとは解明されていませんが、血小板の減少を伴うことなどから抗体が関係しているのではという指摘もあるということです。

血栓が詰まる場所は、脳や心臓、足の血管などさまざまで、海外からの報告では脳静脈が詰まるケースが多いということです。

血栓症を疑って検査する際の症状
意識障害
顔の片側のまひ
言語障害
視覚障害
重い頭痛や腹痛が続くこと
脚や胸の痛みなど

日本脳卒中学会のコロナ対策チームの座長、杏林大 平野照之教授によりますと、接種の4日後から1か月までの間に、重い頭痛や腹痛、胸の痛みなどが出てきて、痛みが何時間や何日も続く場合などが医療機関を受診する目安だということです。ほかにも吐き気、ひきつけやけいれんなどの症状がある場合も受診が必要だということです。


ただ、頭痛や吐き気などは血栓症以外でも起こることがあり、血栓症の場合は接種から3日以内に何らかの症状が出ることは考えにくいということです。

手引きでは、治療法についてもまとめられていて平野教授によりますと、脳卒中の専門病院などを中心に周知され、適切な治療を行う体制が整備されているということです。

ワクチンに詳しい東京医科大 濱田篤郎特任教授
「アストラゼネカのワクチン接種後の血栓症はかなり頻度が低く、年齢層を限定すれば、新型コロナを予防する利益のほうが上回ると考えられる。感染状況を考えると、ワクチンが接種できていない40代、50代に迅速に接種を進める必要があるが、ファイザーやモデルナのワクチンは流通が滞っている面もあるので、アストラゼネカのワクチンを3つ目の選択肢として追加することは意義がある」

ページトップに戻る