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コロナ 自宅療養急増で命の危機 酸素濃縮装置、受け入れ先が…

  • 2021年8月16日

新型コロナウイルスの自宅療養者は、東京都内で2万人を超え、半月で2倍近くに急増しています。こうしたなか、入院が必要と判断されても受け入れ先が見つからないケースが出てきているほか、自宅で酸素を吸入する「酸素濃縮装置」が確保できない事態も起きています。命の危機を感じた患者や家族もいます。

感染急拡大で自宅療養も急増

東京都内では、感染確認の急激な増加に伴って、自宅で療養する人はすでに2万人を超えていて、かつてない規模となっています。
15日時点では2万1256人で、8月12日以降、4日連続で2万人を超えています。1か月前の7月15日と比べるとおよそ10倍、また、8月に入って半月で2倍近くになっています。

ベッドに空きなく自宅療養

入院が必要と判断されても受け入れ先が見つからないケースが出てきています。
東京・板橋区に住む60代の男性は、8月5日に検査で陽性となりました。
39度前後の高熱が続いたため家族が救急車を呼びましたが入院先が見つからず、およそ3時間後になんとか診察だけは受けることができ軽い肺炎と診断されたといいます。
男性には糖尿病などの持病もありますが、ベッドに空きがないと言われ自宅での療養を続けざるをえませんでした。

症状は改善せず、今月11日、在宅医療を行う医師に往診を依頼したところ血液中の酸素飽和度は入院が必要な値まで低下していることがわかりました。医師がすぐに保健所に連絡しましたが入院先は見つからず、急きょ自宅で酸素を吸入する機器を導入してしのぐことになりました。
男性が入院できたのは往診の翌日、感染判明から1週間たっていました。

男性の妻は毎日、夫の体温をはかってノートに書き付けるなど見守るしかなかったということです。

男性の妻
「保健所に何度か入院させてくださいと電話しましたがこういう時なので空きがないと言われました。夫は見るからに息苦しそうにしていてご飯も食べられなくなり体重もどんどん減っていくので本当に心配でした。このまま死んでしまうのではないかと怖くてしかたありませんでした」

往診した板橋区役所前診療所 鈴木陽一副院長
「重症化のリスクが高くすぐに入院が必要な人でも入院できない、もうそういう状況に来ている。このまま感染が拡大し続けたら、国全体が危機的な状況になるので、決して甘く見ることなく一人ひとりがもうひとふんばり感染対策を頑張ってほしい」

救急車内で4時間搬送先見つからず

千葉県内に住む47歳の男性は、8月7日、新型コロナウイルスの検査で陽性が判明したあと自宅で療養していましたが、熱が39度台まで上がり呼吸が苦しくなった上、意識ももうろうとしてきたため、消防に通報しました。

救急車の中で、血中の酸素飽和度が90%とわかり、「中等症」に相当するとして搬送先を探してもらいましたが、4時間にわたって受け入れられる病院が見つかりませんでした。

男性
「『千葉県内で搬送できる病院はゼロです。同じ中等症で300人が入院できずに自宅待機しています』と言われてがく然とし、もう無理かもしれないと思いました。私の中ではインフルエンザとは比べものにならないほどつらい症状が変わらず続き、わからないことだらけで不安なままでした」

男性は、病院が見つからなかったため自宅に戻り、医師から点滴や酸素吸入器をつけてもらった上で、丸1日、自宅での療養を余儀なくされました。
このとき、点滴などの処方をした医師は、「私にできることはここまで」と言って涙を流していたということで、このとき、男性はことの重大さを感じたと言います。
自宅に戻ったあと、体温は41度台まで上がったということです。

その後、入院ができる病院が見つかり、自力での呼吸が難しく、高度な医療を行える施設への入院が検討される「中等症2」と診断されました。現在は鼻から酸素を吸入することで話ができるほどに回復したということです。

男性
「わたしは運良く丸1日で入院できましたが、あと1日、自宅療養が続いていたら、本当に危なかったと思います。まとまった場所でもいいので搬送してもらって医師の治療を受けないと、中等症で自宅療養というのは耐えられないと思います」

酸素濃縮装置 都確保の在庫10分の1に

都内では、自宅で療養する人が急激に増え、症状が悪化したもののすぐに入院できない事態に備えて都は在宅のまま酸素吸入を行う「酸素濃縮装置」を500台確保して、往診を行う会社や地域の医師会に貸し出しています。

都によりますと、貸し出しの依頼が相次いでいて、500台あった装置は16日時点で残りが30台から40台ほどと10分の1以下になっています。
15日はおよそ50台でしたが、貸し出しが一時的に難しい状況になったということです。
これを受けて、都は、装置を扱っているメーカーに追加で発注しているということでさらなる確保を急いでいます。

都の担当者
「想定以上に酸素濃縮装置の需要が高まっていると感じる。貸し出す際に返却の時期を決められないため回収の見通しもたてづらい。貸し出しが滞らないように今後、調整を進めていく」

酸素濃縮装置 確保できない事態も

東京都内では15日自宅で酸素を吸入する「酸素濃縮装置」が確保できない事態も起きました。
東京・世田谷区の「桜新町アーバンクリニック」では15日午前、自宅療養中の30代の1人暮らしの男性に経過観察の電話をしたところ、血中の酸素飽和度が88%ほどになっていました。
 

男性は新型コロナウイルスに感染し8月11日から自宅で療養していますが、クリニックの医師が13日に往診したときには症状は主に熱とのどの痛みだったことから軽症と判断して毎日、電話で状態を確認していたということです。

症状が悪化し「中等症2」にあたると診断した医師は、入院が必要だと保健所に連絡するとともに、すぐに酸素投与を行うため「酸素濃縮装置」を手配しようとメーカーの貸し出し専用窓口に電話をしました。

ところが、都から指定されている4つのメーカーすべてが「在庫がない」という答えで、都にも直接連絡をしましたが「貸し出せる装置がない」と伝えられたということです。医師はほかの業者にも依頼しましたが、15日は装置を確保することができませんでした。

16日朝になってクリニックでは真っ先に患者の男性に電話をかけ容体が悪化していないか確かめたあと、もう一度知り合いの業者にかけ合いました。
そして、ようやく夕方に1台用意できると伝えられ、ほっとした表情を見せていました。

「桜新町アーバンクリニック」遠矢純一郎院長
「在宅で提供できる治療が限られているなかで、酸素投与は自宅療養者の命綱だ。酸素投与ができなくなれば自宅での療養は非常に危険になり、救える命が救えないことになる。こんな状況は過去に経験がなく、もはや機能不全と呼べる状態ではないか」

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