1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. コロナ 自宅療養の注意点 症状悪化のポイントなど詳しく

コロナ 自宅療養の注意点 症状悪化のポイントなど詳しく

  • 2021年8月10日

新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、感染が確認されたあと自宅で療養する人が急増しています。もし自宅での療養を余儀なくされたとき、何ができるのか。家族への感染を防ぐための対策や症状の悪化に気づくのに必要なことは何か、専門家に詳しく聞きました。

家族に感染を広げないか不安

新型コロナウイルスに感染した福岡県に住む30代の女性は、同居している家族に基礎疾患があるため宿泊療養を希望しましたがかなわず、自宅療養を余儀なくされています。

女性は、8月1日に発熱し、翌日、陽性と判明。
38度台の熱が出たあと薬を飲んで熱は下がっていますが、今も左胸に刺すような痛みがあり背中や節々も痛いということです。
女性の母親はワクチンをまだ接種できておらず、糖尿病の基礎疾患もあるため、女性は保健所に入院やホテルでの宿泊療養を希望しましたが、軽症のため自宅で療養するよう指示されたということです。

女性は自分の部室から出ないように生活していますが、トイレなど共用で使わざるをえない場所もあるため、家族に感染を広げないか、不安に感じているといいます。

外で会食はしておらず、自宅と会社をバスで往復しかしていないため、感染経路は分からないということです。

女性
「常にマスクもしていたので、いつどこで感染したのか全く分かりません。基礎疾患のある母親にうつさないように、一刻も早く宿泊療養などができる状況になってほしい。パルスオキシメーターも届かないので、症状の悪化が客観的に分からず心配です」

都内 自宅療養者が急増

都内で新型コロナウイルスに感染して自宅で療養している人は9日時点で1万7356人にのぼり、1か月前の11.4倍と急増しています。

家族への感染防ぐ8つのポイントとは

自宅療養することになった場合の家庭内感染を防ぐ対策について、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。

まず聞いたのは、新型コロナウイルスに感染した人がいる家庭内で、家族への感染を防ぐための対策についてです。
松本教授は、東京都が作成した自宅療養者向けのハンドブックで紹介されている基本的な8つのポイントを最低限、守ってほしいと指摘しました。

家族への感染防ぐ8つのポイント
▼部屋を分けること
▼感染した人の世話をする人はできるだけ限られた人にすること
▼感染した人や世話をする人はお互いにマスクをつけること
▼こまめに手を洗うこと
▼日中はできるだけ換気をすること
▼手のよく触れる共用部分を掃除・消毒すること
▼汚れたリネン・衣類を洗濯すること
▼ゴミは密閉して捨てること

すべて行うことが難しい場合、例えば「部屋を分けること」が難しい場合は、同じ部屋でも、仕切りを置いたり過ごすエリアを分けて距離をとったりするなどできるだけ工夫をしてほしいとしています。

「デルタ株」で対策の上乗せを

松本教授は今、こうした対策の徹底がさらに大切になっていると訴えます。
その要因のひとつが、感染力の強い変異ウイルスの「デルタ株」が国内でも主流になっていることです。

松本教授
「デルタ株が広がっていることによって、空気中を多くのウイルスが漂っている可能性がある。今まで以上にしっかり換気する必要があるなど、従来よりも対策をさらに上乗せしてしっかりやらなければ、家庭内感染を防ぐのはかなり難しい」

症状悪化の兆候に気付くには

自宅療養中に症状が悪化し、治療が間に合わずに亡くなるケースも相次いでいます。

こうした最悪の事態を防ぐために、どういったことに気をつければいいのか。
松本教授は「肺炎の悪化に伴って呼吸状態が悪くなる兆候を見逃さないことが大事だ」と指摘します。

兆候を読み取るためにできることとして「パルスオキシメーター」で血液中の酸素飽和度をこまめにはかり、急激に下がったり90%を切ったりした場合、すぐに保健所に相談することをあげています。

「パルスオキシメーター」がない場合でも、肩で息をしていたり顔色が悪く唇が青ざめていたりする場合には呼吸状態が悪化している可能性があるとして、そうした状態を家族に気付いてもらうことなどが大事だとしています。

1人暮らしの療養 どうする

1人暮らしで自宅での療養を余儀なくされた場合、どうすればいいのでしょうか。

松本教授
「遠く離れている家族でも友人でもいいので、こまめに連絡を取り、連絡がなければ悪化したと早めに気付いてもらえる状態を築いておく必要があると思う。直接保健所に電話してもつながらず我慢している人もいるかもしれないが、さらに悪化すると救急車も呼べない状態になりかねないので、助けてもらえる人をある程度決めて事前に連絡しておくことが大事だ」

また、療養中に必要な食料品などについて、東京都内では、都が設けている「自宅療養者フォローアップセンター」が希望者への無料提供を行っていましたが、最近は発送が遅れるケースも出ています。

松本教授は「自分が自宅療養することを想定して、解熱鎮痛薬や飲料水、食料品などを蓄えておいてほしい」と、ふだんからの備えが大切だとしたうえで、備えがない場合には家族や友人に玄関の外まで食料品を届けてもらうことなどを勧めています。

自宅療養「本来あるべきでない」

一方、松本教授は、本来、感染者は病院やホテルで療養することが望ましいとしています。

松本教授
「本来はあるべきでない医療体制だ。自治体も政府も医療機関にお願いするだけで、積極的に働いてベッドを確保して機能的に動かす仕組みを作ってこなかった。ここになって急に自宅療養に動いているが、それ自体が準備不足だったといえると思う。
急に医療体制が整うわけではないので、多くの方がしばらく我慢しないといけない時期が続くと思う。自宅療養が必要になった場合は、最低限守るべき対策のポイントを知ってもらい、何とか乗り切ってもらいたい」

ページトップに戻る