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増える子どもの患者 自宅療養の方針で子どもの家庭内感染は

  • 2021年8月5日

子育て中など若い世代の感染が急拡大していることから、母子医療の専門病院では子どもの患者も増えています。なかには家庭内で子どもが次々と感染した例もあり、同じ家の中で感染を防ぐ難しさも浮き彫りになっています。重症患者などを除いて自宅療養を基本とする方針について、医師は子どもの家庭内感染が増加するおそれがあることに危機感を示す一方で、「病床がひっ迫してきている状況ではやむを得ない対策だと思う」と話しています。

増加する子どもの患者 ほとんどが家庭内感染か

母子医療を専門にしている東京・港区の愛育病院は、新型コロナウイルスに感染した子どもや妊婦の入院も受け入れています。7月はあわせて20人が入院し、前の月に比べて2倍に増えました。このうち子どもは15人で、ほとんどが家庭内で親やきょうだいから感染したとみられるということです。
多くの場合は軽症で、本来は入院が必要ではない状態ですが、親が感染して入院するなど家で過ごせないことから入院せざるをえないケースも少なくないということです。

愛育病院小児科 浦島崇 医師
「今までは家庭内感染でも、お子さんだけかからない方が多かったのですが、「デルタ株」の流行にともない、多くのお子さんが感染していますので、感染力の強さを実感しています。お子さんと妊婦さん含めて患者数が今までにない数で増えています。家庭内感染の増加というのは身に染みて感じているところです」

“気をつけていたのに…”  家庭内で子どもが次々と感染

この病院に7月30日から入院している11歳の小学生の女の子は一時、40度近くまで体温が上がるなど4日間、熱が続きました。病院が撮影した映像では医師の問診に対して「頭痛がつらく息苦しいときもある」と答えています。

女の子の母親によりますと、家族のなかで次々に感染が広がったといいます。最初に感染が確認されたのは20代の姉で、7月27日に熱を出し、病院で感染が確認されました。一度、帰宅しましたが、けん怠感が強く症状が比較的重いとして、保健所の調整で翌日入院しました。
姉が入院した日に今度は会社員の10代の兄が発熱。感染が確認され、さらにその2日後に女の子にも熱が出て強い頭痛を訴えたことから救急搬送されました。
兄は保健所が療養先を調整しましたが6日間かかり、3日ホテルに入ったということです。

母親
「お姉ちゃんがわかって、その翌日、また翌日ってなったので、経験したことがない感染力というか。常に気をつけていたのに、ほんの一瞬で広がってしまったことがすごく悔しいですね」

対策はしていたのに…家庭内感染を防ぐ難しさ

母親
「1つ屋根の下では不可能に近いと思います。一緒にいるっていうことは、同じ空間なのですごく難しいと思います。ものすごく大きなところならわからないですけれど、普通のご家庭だと無理だと思います」

母親は検査の結果、陰性でしたが濃厚接触者とされたため外出できません。シングルマザーでパートタイムの仕事をかけもちして働いていますが1週間以上休んでいるということで、「有給休暇を使ったり貯金を取り崩したりしてなんとかしのぐしかありません。仕事に穴を開けてしまっているのも心苦しいです」と話していました。

自宅療養が増えることで子どもの感染は

愛育病院小児科 浦島崇 医師
「自宅療養の方が増えるとやはり家庭内感染のリスクが上がってきますので、お子さんの感染も今後、増加する可能性が高いと思います。
ただ、現在の状況だと病棟がだいぶひっ迫している状況ですので軽症の方の自宅療養と言うのは十分に感染対策を行っていただきながらですが、やむを得ない状況だと思います」

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