1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 東京五輪・パラの学校連携観戦チケット 教育現場に戸惑いの声

東京五輪・パラの学校連携観戦チケット 教育現場に戸惑いの声

  • 2021年6月24日

東京オリンピック・パラリンピックで競技会場のある自治体などの児童・生徒たちに割り当てられているのが「学校連携観戦チケット」。そのチケットで予定通り観戦に行くかどうか、教育現場からは戸惑いの声があがっています。
一方、神奈川、埼玉、千葉の各県では中止する自治体が相次ぎ、配分された28万枚のうち17万枚がキャンセルされたこともわかりました。

副校長が入念な下見 

東京・葛飾区の白鳥小学校では、全校児童が「学校連携観戦チケット」でパラリンピックの競技を観戦する予定です。
競技会場への移動は原則、公共交通機関の利用が求められているため、副校長はこの日、児童を引率するルートの確認を行いました。

安全な動線の確保や、乗り降りのたび点呼を取るスペースがあるかなどのチェックをしていきます。
会場までは、鉄道を3本乗り継いで行くため、トイレ休憩などを含めると往復で4時間近くかかることがわかりました。

会場では感染対策をチェックも…

撮影 新保副校長

やってきたのは1年生と6年生が「ボッチャ」の競技を観戦することになっている江東区の有明体操競技場。会場では、感染対策を入念にチェックしたいと考えていましたが、担当者からは建物内で密にならないように点呼できる場所はなく、児童がどこに座るのかもまだ決まっていないと説明を受け、感染リスクがどの程度あるのか具体的にはわからなかったということです。

新保崇文 副校長
「会場では大勢ではすれ違えないところもあり、どういった形で密を避け感染予防ができるかわからない部分もある。熱中症対策は、持ち込める水の量が決まっているので飲ませすぎないようにしないといけない。予測できないことが多く、当日になってみないと把握できない難しさがあります」

悩める教育現場

「児童の安全を守りながら競技の観戦ができるのか」
教員どうしの会議でも、心配の声が上がっていました。

見せてあげたいっていう気持ちはありますけどね…

 

熱中症はどうでしょう

 

いろいろ考えてみると不安も残るかなと思う

 

学校では、観戦に行く前提で準備を続けるものの、許容できないリスクが残る場合は、中止することもあるとしています。

白鳥小学校 田代淳 校長
「安全の確保と子どもたちの一生の思い出、このてんびんで、非常に判断に苦しんでいます。判断できる情報が少なく、どうなるかわからないけれど、どういう場合でも対応できるようにしなければならない。リスクがどうしても残ってしまった場合、行かないという判断もしなければならないかもしれません」

神奈川 埼玉 千葉 28万枚中約17万枚キャンセル

こうした中、神奈川、埼玉、千葉の3県では、予定通り観戦を行う自治体がある一方で、感染リスクなどを理由に中止する自治体が相次ぎ、配分されたおよそ28万枚のうち、およそ17万枚がキャンセルされたことがわかりました。

東京オリンピック・パラリンピックの「学校連携観戦チケット」とは
次世代を担う子どもたちに観戦してもらうため自治体や学校が購入するチケット。大会組織委員会が競技会場のある自治体や東日本大震災の被災地を中心に、全国の小中高校や特別支援学校などを対象に募集し、延期前の去年1月までに、オリンピックで60万枚、パラリンピックで68万枚の購入希望が寄せられた。

組織委員会はことし1月に続いて6月1日から再びキャンセルを受け付けましたが、NHKが埼玉、神奈川、千葉の自治体に取材したところ、予定通り観戦を行う自治体がある一方で、3県で合わせて98の自治体が感染や熱中症のリスクなどを理由に、割り当てられたチケットのすべてか一部をキャンセルしたことがわかりました。
キャンセルとなったチケットは配分されたおよそ28万枚のうち、およそ17万枚に上ります。

神奈川県では、25の自治体に合わせておよそ8万8000枚を確保していましたが、24の自治体でおよそ5万3000枚がキャンセルとなりました。埼玉県では合わせておよそ8万7000枚を38の自治体に配分する予定でしたが、31の自治体のおよそ6万5000枚がキャンセルになったということです。千葉県では54あるすべての自治体に合わせておよそ10万5000枚を配付する予定でしたが、43の自治体でおよそ5万枚がキャンセルとなりました。

学校連携観戦チケットのキャンセル
  自治体数 キャンセル枚数 配布予定枚数
神奈川 24自治体 約5万3000枚 8万8000枚
埼玉 31自治体 約6万5000枚 8万7000枚
千葉 43自治体 約5万枚 10万5000枚

東京の自治体は

東京の自治体はどうなのでしょうか。
「学校連携観戦プログラム」について、東京・目黒区は新型コロナウイルス感染症や熱中症の不安が拭えないとして、中止することを決めました。
また、世田谷区の保坂展人区長は22日の記者会見で、「現状での実施は大変困難かつ厳しい。教育委員会とよく話し合って協力し、児童・生徒の安全を最優先で守っていきたい」と述べています。
東京都教育委員会は、予定通り観戦に行くかどうか今後、学校ごとに意向を集約するとしています。

専門家”代替案の検討も”

東京学芸大学 渡邉正樹 教授
「特に低学年の児童はマスクの着用で熱中症のリスクが高まるうえ、会場などの感染対策がはっきり見えないなかで、学校側が短期間に安全かどうか確認し観戦に行くかどうか判断するのは大変難しいことだと思う。会場に行かなくてもテレビなどで観戦して教育の狙いを達成できないか検討するべきで、もし会場に行く場合も感染状況や天候などを考慮し当日まで慎重に判断する必要がある」

ページトップに戻る