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東京五輪 観客上限1万人で各競技場の観客数は 人流増加の対応は

  • 2021年6月22日

開幕が迫る東京オリンピックの国内の観客は、全会場の上限を収容定員の50%以内で1万人を原則とすることで決着しました。これにより、例えば収容定員6万8000の国立競技場の上限は定員の15%に相当する1万人となります。
ただ、大会は都内だけでも20以上の競技会場があり、組織委員会では大会開催による人の流れは、最も多い日で1日およそ30万人になると見込んでいて、医療現場からは不安の声も上がっています。

観客の上限は収容定員の50%以内で1万人と決定

東京大会の観客をめぐり組織委員会と政府、東京都、IOC=国際オリンピック委員会、IPC=国際パラリンピック委員会の5者は、東京オリンピックは、会場の収容定員の50%以内で1万人を上限とすることを原則に、観客を入れて開催することを決めました。
これによって、チケット保有者が観客の上限を超えている会場については、チケットの再抽せんが行われることになりました。
一方、8月に開幕する東京パラリンピックについては、オリンピック開会式の1週間前に当たる7月16日までに決定するとして結論を先送りしました。

それぞれの競技会場の収容人員は

今回の決定で、収容定員が2万を超える11会場は、1万人が観客の上限となります。また、それ以外の会場は、収容定員の半分が上限となります。

具体的には、収容定員6万8000の国立競技場は定員の15%にあたる1万人が上限となります。野球・ソフトボールが行われる収容定員3万5000の横浜スタジアムも、定員の29%にあたる1万人が上限となります。
また、競泳などの東京アクアティクスセンターは、収容定員が1万5000のため半分の7500人、柔道の日本武道館も1万1000が収容定員のため半分の5500人が上限となります。

大会組織委員会が公表している各競技会場の収容定員は次の通りです。

〇東京
国立競技場(収容定員6万8000) 東京体育館(7000)
国立代々木競技場(1万200) 日本武道館(1万1000)
東京国際フォーラム(5000) 国技館(7300)
馬事公苑(9300)
武蔵野の森総合スポーツプラザ(7200)
東京スタジアム(4万8000) 武蔵野の森公園(なし)

〇東京 湾岸エリア
有明アリーナ(1万5000) 有明体操競技場(1万2000)
有明アーバンスポーツパーク(5000~7000)
有明テニスの森(1万9900) お台場海浜公園(5500)
潮風公園(1万2000)
青海アーバンスポーツパーク(7100~8400)
大井ホッケー競技場(1万5000)
海の森クロスカントリーコース(1万6000)
海の森水上競技場(1万2800~1万6000)
カヌー・スラロームセンター(7500)
夢の島公園アーチェリー場(5600)
東京アクアティクスセンター(1万5000)
東京辰巳国際水泳場(4700)

〇東京 埼玉
埼玉スタジアム(6万4000)
さいたまスーパーアリーナ(2万1000)
霞ヶ関カンツリー倶楽部(2万5000)
陸上自衛隊朝霞訓練場(800~3000)

〇千葉
幕張メッセAホール(1万) 幕張メッセBホール(8000)
幕張メッセCホール(5500)
釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ(6000)

〇神奈川
横浜国際総合競技場(7万2000)
横浜スタジアム(3万5000)
江の島ヨットハーバー(3600)

〇その他
富士スピードウェイ(2万2000)
伊豆ベロドローム(3600) 伊豆MTBコース(1万1500)
カシマスタジアム(4万) 札幌ドーム(4万1000)
宮城スタジアム(4万9000)
福島県営あづま球場(1万4300)
札幌大通公園(なし)

また、組織委員会は観客と大会関係者は別扱いだとしていて、すべての会場で上限を上回る可能性があるということです。

開会式は観客を再抽せんによって1万人としたうえで、大会関係者の人数を減らす調整が続く見通しです。

選手や関係者はどう動く? 人の流れの見通しは

一方で、観客を入れることで懸念されるのが人の流れの増加です。
東京オリンピックは、都内だけでも20以上の競技会場があり、選手たちは選手村から競技会場を専用車両で移動し、報道関係者もメインプレスセンターなどと各会場を結ぶ大会専用バスを利用していく計画になっています。こうした動きも含めて、組織委員会は、大会開催による人の流れは、最も多い日で、1日およそ30万人になると見込んでいます。

”人流増加で感染者も増加の懸念” 医療現場の不安

墨田区にある墨田中央病院は、同じ区内にボクシングの競技会場の国技館があります。病床が100床以下の比較的、規模が小さい医療機関ですが、発熱外来を設け、新型コロナの疑いがある患者の検査や診療を行っているほか、コロナから回復したもののリハビリが必要な患者を受け入れています。
さらに、コロナワクチンの接種も行っていて、医療スタッフの人数や病院内のスペースはすでにギリギリの状態だということで、大会組織委員会などが観客を入れて開催することを決めたことについて不安を感じています。

小嶋邦昭院長
「人流が増えることで、感染者数が増えることが懸念される。会場では厳格な対策がなされるだろうが、競技が終わったあとの人の流れがどうなるか分からない。例年も対応に追われる熱中症の患者が増える可能性もあり、発熱していて、熱中症なのかコロナなのか判別が難しいケースも出てくるだろう。医療スタッフにはこれまでも苦労をかけているが、もうひとふんばりしてもらわなければならない。発熱外来などを充実させながら、対応を進めていきたい」

観客を入れた開催 感染状況によっては再検討も

東京大会では、IOC=国際オリンピック委員会と大会組織委員会などが、参加する選手や関係者に新型コロナの感染防止に必要なルールをまとめた「プレーブック」を作成しています。さらに「観客のガイドライン」を作り、家と会場の「直行・直帰」や路上での飲食を控えることなどを呼びかけています。

感染防止対策の一方で、観客を入れて開催することを決めた5者は、現在のまん延防止等重点措置の期限を超えて7月12日以降、緊急事態宣言や重点措置が出された場合は、無観客も含めて対応するとしています。
また、今後の感染状況などによっては、再度、5者による会談を開いて対応を検討するとしていて、実際に観客を入れて開催できるかどうかは、今後の新型コロナの感染状況に左右されることになります。

小池知事
「都民の命と健康を守る立場から、オリンピックはもとよりパラリンピックまでの期間を通して安全な環境で開催する必要がある。感染状況や医療の状況について、急激な変化があった場合には速やかに5者協議を開催して、無観客も含めて検討する。また逆戻りになることは誰も望んでいない。医療提供体制は確保しているが、感染防止対策の徹底を引き続きお願いしていく」

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