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東京 “高齢者のワクチン接種完了後 対策しないと8月中に医療ひっ迫”と試算

  • 2021年6月10日

緊急事態宣言が6月20日で解除された場合の東京都の感染状況について、京都大学の西浦博教授がシミュレーションを行ったところ、7月末までに高齢者へのワクチン接種が完了したとしても、感染対策がとられなければ再び医療がひっ迫する可能性があるという結果となりました。この結果を踏まえ、国際医療福祉大学の和田耕治教授は「オリンピック、パラリンピックが始まる段階では、ワクチンによって地域での流行が抑えられる状況にはなっていないと考えられる」と話しています。

高齢者の接種完了でも8月中に再び重症者病床が不足

このシミュレーションは、9日に開かれた厚生労働省の専門家会合で西浦教授が示したものです。
シミュレーションでは、東京都で6月20日までで宣言が解除され、その後、感染対策が行われないと想定し、仮にこの春の大阪府と同等の急速な感染拡大が起きた場合にワクチンの接種が感染状況にどう影響するかを年齢層ごとに分けて詳しく分析しました。

その結果、7月末までにワクチンの接種を65歳以上のほぼすべてが終えたとすると、高齢者の感染は大幅に減ることになりました。

ただ、ワクチンの接種が進んでいない50代以下を中心に感染は大きく広がり、それに伴って重症者数が増える計算になったということです。

この想定では8月中に再び重症者病床が不足するような流行になるという結果となりました。

専門家会合 脇田隆字座長
「専門家としてもワクチン接種が進むことに期待しているが、高齢者のワクチン接種が完了しても対策が緩んでしまうと接種していない世代で感染が拡大する。当面はワクチン接種だけでなく従来通りの感染対策を行っていく必要がある」

「五輪が始まる段階では流行抑えられる状況になっていない」

専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は、西浦教授のシミュレーション結果をふまえたうえで、以下のように指摘しています。

●ワクチン接種が進む中で求められる感染対策
「国内のワクチン接種の勢いは非常に加速していて、オリンピックが開催される予定の7月下旬までに多くの高齢者に接種できるかもしれないが、64歳以下への接種は限定的だろう。感染を広げるのは、20代から50代の活動的な年代で、変異株の影響を考えると40代から60代の重症者数が増加するおそれがあり、まだまだ予断を許さない状況だ」

●西浦教授のシミュレーション結果をふまえて
「オリンピック、パラリンピックが始まる段階では、ワクチンによって地域での流行が抑えられる状況にはなっていないと考えられ、開催期間中も人の流れを抑えるようなしっかりとした感染対策が求められる。ワクチン接種が広がり、都市部での感染者数が減少すると、多くの人が楽観的な見通しを持つようになるかもしれないが、英国株もなくなっていないし、デルタ株も広がりつつある。これまでも2週間から1か月ほどの短い期間での人の流れの拡大が大きな感染の波につながったことを忘れずに感染対策を続けてほしい」

“東京などすでに人出増加 感染再拡大の可能性” 専門家会合

また、厚生労働省の専門家会合では、東京などではすでに人出が増加していて、この傾向が続けば感染の再拡大の可能性があり、感染拡大を抑える対策を継続すべきだと指摘しています。9日の会合での分析です。

●全国の感染状況
感染が拡大していた地域ではおおむね減少傾向となり、重症者数や亡くなる人の数が減少しているとして、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の効果が着実に現れているとした一方で、人出が増加し感染者の減少のスピードが鈍化している地域もあり今後、感染が再拡大する可能性も考えられると分析しました。

●感染者数の急増が続いた沖縄県
6月に入って減少に転じたものの、依然、直近1週間の10万人当たりの感染者数は100人を超える非常に高い水準で病床使用率なども高く、今後さらに重症者の増加が懸念されるとしています。

●北海道
感染者の減少が続いているものの特に札幌市で病床使用率が高い状況にあり、夜間の人出の減少傾向が続くかどうか注意が必要だと指摘しています。

●首都圏の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
関西と比べると感染者数が多い水準で減少のスピードも遅く、特に東京都では夜間、日中ともに人出が4週連続で増加し、緊急事態宣言が延長されてからの増加も目立っていて、このままの傾向が続くと感染が再拡大する可能性があるとして警戒を呼びかけています。

●まん延防止等重点措置の期限が6月13日に迫っている群馬県、石川県、熊本県
いずれも感染者数の減少が続き病床の使用率も低下傾向だとしています。

●ワクチンの接種
高齢者を中心に全国でおよそ1450万人が1回目の接種を受けていて、接種が進むことで高齢者の重症化が抑えられると期待される一方で、感染者数の急速な増加が続けば医療のひっ迫につながる可能性もあるため、今後も対策を継続すべきだと強調しています。

●インドで見つかった変異ウイルス「デルタ株」
改めて地域での検査を強化し、感染経路を調べる調査などで可能なかぎり拡大を抑える必要があると指摘しました。

専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字座長は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除の見通しについて「全国的に感染状況や医療提供体制の指標は改善しているが、北海道と沖縄については新規感染者数、病床ともに『ステージ4』相当で医療への負荷はまだ高い状況だ。宣言の対象地域の中でも感染や医療提供体制の状況にはかなり違いが見られる。各地の状況を考慮して判断すべきだ」と指摘しました。

また、接種が進むワクチンについて「高齢者の接種が進み重症化はある程度、抑えられるようになると思われるが、集団免疫がいつできるかは簡単に予測できない。いち早く接種が進んだイギリスでも直近の感染者が増えている現状もある。感染拡大を防ぎ重症者を減らすうえでワクチン接種は非常に大事だが、それだけで流行を収束させられるかは分からないので、これまで行ってきた感染対策を続けることが重要だ」と話しました。

さらに、東京オリンピックが開かれた場合の感染対策の在り方について聞かれたのに対し、脇田座長は「今回はあまり議論されなかったが、夏にはお盆休みや夏休みなど感染が拡大する要因があり、オリンピックやパラリンピックがあれば増加に向かう要素になると思う」と話しました。

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