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ワクチン副反応 “若い世代は出る確率高い” その症状や注意点は?

  • 2021年6月8日

新型コロナウイルスのワクチン接種は、東京23区では、6月中旬から64歳以下の人への接種も始まる予定です。これから接種することになる若い世代について専門家は “副反応が起きる確率が高い” と指摘しています。では、どう対処したらよいのでしょうか。これまでの高齢者へのワクチン接種でわかったことも含めて専門家に聞きました。

進むワクチン接種 高齢者以外にも

新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種が進むなか、高齢者以外の年齢層への接種の動きも各地で出てきました。
このうち川崎市では、今年度中に65歳以上になる高齢者、およそ31万人を対象にすでに接種券を発送して接種を進めています。

市によりますと、今後、職場や学校などでの接種も本格化することなどが見込まれることから、12歳から65歳未満の高齢者以外の市民に対しても6月中に接種券の発送を始めるということです。
また、東京23区では、6月中旬から64歳以下の人への接種も始まる予定で、新宿区では7月上旬から20代から30代の若者を対象に、優先的に集団接種の予約を始めることにしています。

幅広い年代に接種が広がろうとしている新型コロナのワクチンについて、これまでにわかってきたことや64歳以下の人のワクチン接種に伴う副反応など、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。

副反応はどんな症状

ほとんどの人は接種した部位の痛みが大なり小なりあると思います。例えば、押さえたら痛いということは、ほとんどの人に出るのではないかと思います。ただ、押さえなくても痛いとか、腕が上がりにくいだとか訴える人も出ます。あと頻度が高いのは、発熱やけん怠感、そして頭痛が接種をした翌日ぐらいに起こるパターンが一番多いと思います。また、全体的な傾向として2回目の接種のあとの方が副反応の頻度は高くなります。
高齢者の方は、かなり接種が進んでいますが、それほど大きな問題になった例は、あまりないと思います。

副反応 若い世代では多く起きる

〇高齢者の場合は
ワクチンは異物を体の中に入れて、それに対して反応を起こして抗体をつくるというのが免疫の仕組みです。年齢が高くなればなるほど、異物が入ってきても反応が鈍くなってきます。反応が低ければ、副反応もそれほど多くは起こりません。なかには一部、熱がでたとか言われる方もいますが頻度としてはだいぶ少ないです。

〇若い世代の場合は
ところが、若い世代は刺激に対して強く反応します。決して異常な反応ではないのですが、熱や痛みの原因になります。若い世代の方が反応が強く出るので、副反応も頻度としては高く、何倍かは出やすいのではないかと思います。
また、若い女性が副反応の起きる頻度が高いという傾向があります。海外のデータも同じような傾向があるので間違いないと思いますが、この理由が何なのか、明確にはまだ今のところわかっていません。
子どもたちも、同じように副反応が出やすいと思いますが、20代前後の年代とそれほど変わりはないと思われます。

副反応を想定した準備は

〇いつ接種するか スケジュールを考慮
副反応は大なり小なりほとんどの方に出ます。ただ、これぐらいは全然気にならないという場合から、ちょっと辛くて仕事にならないというレベルまで幅があります。過剰に心配する必要はありませんが、多少は支障がでる可能性はあります。
ワクチンの接種後、2、3日ぐらいは、副反応で熱が出るかもしれない、あるいは、頭痛やけん怠感があるかもしれないと、仕事や試験とか、スケジュール等も考慮して接種した方がいいと思います。

〇副反応に備えた薬は
頭痛とかで鎮痛薬を持っているのであれば、薬を使っていただいてもかまいません。アセトアミノフェンという薬がありますが、これを一般的に使えるのであれば、市販薬としても購入できますので、そういったものを準備しておいた方がよろしいのではないかと思います。
解熱鎮痛の効果が両方ありますので、もし痛みもあったり、だるさもあったり、そういったものもアセトアミノフェンで、軽くすることができると思います。

ワクチンを接種したあとの注意点

〇運動は 飲食は 風呂は
体調が悪くなる可能性もあることを踏まえ、接種会場からの帰りは、なるべく自分で運転しないで帰れるような配慮が必要と思います。
少し早歩きぐらいのレベルの運動ならまだいいですが、長い時間、激しい運動をすることは少なくとも接種した日はやめておいたほうがいいと思います。副反応が強く出る可能性があります。激しい動きによって刺激が強まりますので、例えば、熱の出方だとか、だるさだとか、そういったものが強まる可能性もあります。
食べてはいけないというものはないと思います。ただ、あまりすすめられないのはお酒です。深酒はしないようにした方がいいのではないかといわれています。基本的には、ワクチンを接種した日は、なるべく飲酒はしないほうがいいと思います。
風呂は入って結構です。ただ、接種したところをゴシゴシこするということはやめていただければと思います。

〇症状が続いたら ほかの病気の可能性も
基本的にワクチンを接種した後の副反応は、続いても2、3日ぐらいで終わります。大体、翌日が一番ひどくて、だんだん軽くなっていくパターンが一番多いです。
ところが、副反応と思われるような、例えば発熱なりほかの症状が4、5日以上続いたり、あるいは、だんだん強くなってくるというようなことになると、副反応ではなくて何か別の病気が隠れている可能性もあります。そのような場合は医療機関を受診した方がよいと思います。

〇ワクチンの効果は
ワクチンの種類にもよりますが、いまのファイザーやモデルナのワクチンであれば、1回接種すると、ある程度、効果が出てくると7割くらいまでの感染を抑える効果があるといわれています。2回目を接種して95%まで感染を抑える力を高めることができます。
ワクチンを接種すると、すぐ免疫ができたと思って大胆な行動をとったり、マスクをはずしたりというふうになってしまう可能性もありますが、そんなに簡単にすぐに免疫がつくわけではありません。2回接種したあとも、絶対感染しないということまではいえませんので、マスクなどの感染対策は引き続きやっていただきたいとは思います。

副反応と免疫獲得のメリット 冷静に受け止めて

〇“副反応が起こるから効果も高い“
接種して免疫が獲得できれば、自分も感染しにくいし、ほかの人にも感染させにくくなる。もちろんゼロではないですけど、かなり感染のリスクは抑えられると思います。
インフルエンザとくらべて、ワクチンの副反応はどちらかというと多いと思います。熱が出るとかインフルエンザは一部の人にしか起こらないですが、それに比べれば割合が高いです。逆に言えば、それだけのことが起こるから効果も高いのです。体の中に強く刺激を与えて、しっかり抗体を作らせる、免疫をちゃんと作らせるという意味で、このワクチンはいいワクチンだとは私は思っています。

〇副反応に配慮した対応を 
基本的には、副反応によって重篤なものが起こる割合は少ないし、多少の発熱、そのほか起きても対処できるし、2、3日で終わるものなので、冷静に受け止めていただきたいと思います。むしろ免疫を獲得することの方が安心でもあり、多くの方にとってそれが重要なことだと思います。
副反応は若い世代に起こるものだということをきちんと啓発をしていただいて、ちゃんと対処はできるということを理解していただいて、そのうえで本人の判断で受けてもらうことが大事になると思います。1日に何人とか効率が優先される傾向にありますが、これからは着実に安心の面にも配慮しながら、ワクチン接種後の副反応にも配慮した対応が必要だと思います。

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