新型コロナウイルスのワクチン接種の予約がスムーズに取れないことが各地で課題になるなか、東京・江戸川区の医療機関では“予約なし”の接種でスピードアップを図ろうとしています。一方、神奈川県小田原市では、スマートフォンなどの操作に慣れていない高齢者を支援しようと、家電量販店や携帯ショップでサポートする取り組みが行われています。
東京・江戸川区で13の病院とクリニックを展開する医療法人では、6月から高齢者向けの個別接種について、事前の予約なしでその日に接種できる態勢を本格的にスタートしました。
この法人では、当日の午前中に13の医療機関の受け付け窓口と電話で、接種券の確認をした上で接種できる時間を伝え、午後から接種を行います。
“予約なし”で接種を受けに来た人は…。
病院に来たらきょうやってくれると言うことですごく助かります。最高です。うれしいです
たまたま電話したら“きょうOKですよ”と。ビックリしちゃって
マンションの上の人から、“きょう打てました”と教えてもらった
この取り組みはどのようにして実現したのでしょうか。
医療法人では、ファイザーなどが開発したワクチンが国の方針で一般的な冷蔵庫でも1か月間保管できるようになり、あらかじめ予約で人数を把握できなくても柔軟に対応できるようになったほか、法人の13の医療機関で医師や看護師などの人材を融通し合うなどの協力ができることがポイントだとしています。
このうち法人の基幹病院でもある東京さくら病院では、よりスムーズに接種を進めるよう、入り口付近に接種専用の仮設の会場を設置し、医師や看護師が接種を行っていました。
病院では、ワクチンが余った場合は入院している患者に接種して廃棄しない工夫をしているということです。スタートから5日間で、この病院ではおよそ1200人に接種したということです。
この取り組みは、地域の高齢者の間で口コミでも広がっているということで、医療法人では感染拡大の防止に今後も貢献していきたいとしています。
医療法人社団城東桐和会 東京さくら病院 東海林豊院長
「あそこに行けば打てるから言っておいでよと言われて来た人も何人かいる。江戸川区のコミュニティができているところがあると思う。今までと違ったやり方をしないと接種は進まない。高齢者は体調いいとき悪い時あるので、その日に打てれば打つ方がいいのかなと思う。大変なところもあるが、患者を第1に考えれば予約なしが一番いいし、日本の有事だからそのために頑張って打っていかないといけない」
神奈川県小田原市では、かかりつけ医などでの個別接種の予約受け付けが始まっていますが、市民から「ネットでの予約の方法がわからない」などの声が相次ぎ、市は、市内12か所の家電量販店や携帯ショップの協力を得て、店頭で高齢者の予約をサポートする取り組みを5月29日から始めました。
3日、大型家電量販店に接種券を持参した高齢者5人が訪れ、店員の説明を受けながら予約専用サイトに生年月日やパスワードなどを打ち込んでいました。
あいにく3日は、どの医療機関も枠がいっぱいで予約は取れませんでしたが、訪れた人たちは6月16日から始まる予定の集団接種の予約に向け、自分で手続きを進める自信がついたようでした。
普段電話とLINEくらいしか使わないので、親切に教えて頂いて助かりました
自分1人でこの予約をやれと言われてもできませんね。わかりやすく教えてもらたので、これでワクチンが打てたら、先が見える気がします
電話がつながらないうえ、スマホでのやり方がわからず、誰に聞いたらいいのかもわからなくて諦めていましたが、きょう教えてもらったのでなんとか自分でできそうです
小田原市 デジタルイノベーション課 鈴木正紀副課長
「買い物ついでなどに接種券を持って立ち寄れば、マンツーマンでサポートしてもらえます。気軽に多くの人に利用して欲しい」