栃木県のご当地グルメといえば宇都宮市の宇都宮餃子ですが、宇都宮市の隣の鹿沼市がいま、シューマイを地元の名物にしようと取り組んでいます。なぜシューマイなのでしょうか?実は、鹿沼市とシューマイには意外なつながりがありました。
いま、鹿沼市のシューマイがじわじわと盛り上がりを見せています。去年、駅近くにオープンした持ち帰り専門のシューマイ店には、開店以来、ひっきりなしに客が訪れているといいます。
また、スーパーマーケットでは、売り場のスペースを広げてPRを始めたところ、ことし4月の売り上げは去年の4月に比べて、おかず売り場ではおよそ15%。冷凍ではおよそ40%も増えました。
店長
「急激に伸びているのが現状です。盛り上げていけば企業にとってもプラスですし、鹿沼市にとってもプラスになる」
なぜシューマイなのか。実は鹿沼市とシューマイには意外なつながりがありました。
「シウマイ弁当」で有名な、横浜の「崎陽軒」の初代社長、野並茂吉氏は、鹿沼市出身だったのです。
ちなみに「シウマイ」という独特の表記は野並氏がシューマイを栃木なまりで「シーマイ」と呼んだことが由来と言われています。
ここに注目したのが、鹿沼商工会議所の水越啓悟さんです。
市を活気づけたいとシューマイを使ったまちおこしを呼びかけました。
鹿沼商工会議所 水越啓悟さん
「ここ10年の間に地震があったり集中豪雨があったり台風の被害があったり、そして今回のコロナの被害があったりいろんな自然災害があったなかで、やっぱり通年で来ていただいて美味しいとか楽しいとかそういうものを作っていけたらなと思いました」
水越さんの思いに、協力する飲食店が続々と増えています。
市内の観光拠点にあるこのお店では、地元で採れたレンコン入りのシューマイを開発し、新たに売り出すことになりました。
なかにはこんな変わり種もあります。
市内のうなぎ店では、ウナギがのったジャンボ焼売を提供しています。皮にもウナギの骨のパウダーを練り込んだこだわりの一品です。
記者も試食させてもらいました。そのお味は・・・
肉がぎっしりと詰まっていて、さらにこのウナギの甘いタレと絡み合ってすごくおいしいです。
若女将
「当店はウナギということで、シューマイとウナギ最初はどうかなと思いましたけど、ちょっと高価なうなぎを使いましてジャンボ、家族で皆さんで食べてもらえたらなと思いまして、鹿沼の名産のお肉やニラや皮などを使いまして考えました」
この盛り上がりを飲食店以外にも広げたいと、水越さんが訪れたのは市内の木材加工業者です。
木工が盛んなまちでもある鹿沼市の特徴を生かして、地元の杉を使ったシューマイの蒸し器を作ろうというのです。
試作品をつくる様子を見学し、おいしく蒸すことができるのか、蒸し器を中華料理店に持ち込んで試してもらうことにしました。
蒸したシューマイを食べながら、店の人に使い心地などを聞き取ります。
水越さん
「こういう動きがどんどん広がっていくと面白いなと思います。いろんな業種に効果が波及すると同時に、いろんな人に楽しみながら話が広がっていくといいなと思います」
商工会議所では、崎陽軒公認の「シウマイ像」をことしの秋にJRの鹿沼駅前に設置するほか、シューマイが食べられるお店を紹介するマップを作るなど、今後もシューマイを生かしたまちおこしをすすめていくことにしています。
栃木県の名物のひとつに名を連ねることができるのか。
蒸し上がったシューマイのようにいま、鹿沼市は期待と熱気にあふれています。