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“コロナに粋は通じない” 苦境の寄席に支援呼びかける落語家たちの思い

  • 2021年5月19日

「コロナに粋は通じない」「寄席が危ない」落語家たちの言葉です。新型コロナの影響で寄席の存続が危ぶまれています。寄席は道場であり土台、そこだからこそできる修行。芸を磨き落語家を育てる場の寄席への支援を「野暮と承知」で呼びかける落語家たちの思いです。

厳しい状況に直面する寄席

新型コロナウイルスの影響で、東京都内で寄席を開いている5か所の演芸場では、去年4月以降、休業や入場制限などを余儀なくされました。このため、昨年度の売り上げは前の年度から平均で7割ほど減少したということで、厳しい状況に直面しています。

3回目の緊急事態宣言でも、都内にある4つの演芸場は「寄席は社会生活の維持に必要なもの」として、当初、無観客での開催を求める都の要請を受け入れず客を入れて営業を続けましたが、その後、方針を見直し、都が要請を緩和するまで休業しました。

落語協会 会長 柳亭市馬さん
「寄席というところは、われわれ噺家にとりましては、ただ、芸を披露する場所だけのところではないので、とにかく土台といってもいいぐらい、みんなそこで修行をして、一人前の噺家になるわけで、そこでわれわれも習ったことを行ってですね、何とか食えるようになるわけで、この寄席がなくなるなんてことは想像したくないんですけども、今、想像しなきゃいけないような状況になっております」

落語芸術協会 参事 三遊亭小遊三さん
「寄席は噺家にとって、道場でもありショーウインドウでございます。私たちは芸を磨かせていただいて、そして真打になって披露興行して、そして、そのウインドーに飾られるようになる。一心同体でございます。

事務局に行きましたら、1日1000円しかあがりがなかったっていう、そんな事で成り立つわけがない。時に何十人もの人が、働いていて1日1000円のお金をどうしようという。これは本当に差し迫った状態でございます。噺家を続けさせていただいていたら、このようなことになって、本当に背筋が寒くなるといいますか、寄席が危ないというのは実感いたしました。」

クラウドファンディングで寄席存続を

こうした状況を受け、落語協会と落語芸術協会は、寄席を存続させるために、インターネットを通じて資金を集めるクラウドファンディングを立ち上げ、5000万円を目標に寄付を募ることを記者会見で明らかにしました。6月30日まで一口3000円から受け付け、金額に応じて手ぬぐいなどの限定品やサイン入り色紙、お礼のメッセージ動画などの特典がつくということです。

落語協会 真打 春風亭一之輔さん
「寄付を募ったりクラウドファンディングというのは、多分落語家とか、噺家とか、粋とかね、そういうものをモットーとしている人間からすると、外部の人から見ると、野暮なことしてんなと、こう思う方もいるかもしれませんが、あのコロナに粋は通じないんだなと思いましたんで。ぜひどうかひとつ野暮を承知で、われわれやると思います。若手を代表してみなさんにぜひご協力、寄席でまた落語楽しくきいて頂きたいんで、ぜひ何とぞよろしくお願い致します」

寄席という場所が果たす役割とは

さらに、会見では経営上の苦境だけではなく、寄席という場所が果たしている役割などについても述べられ、存続に向けた支援が呼びかけられました。

落語芸術協会 会長 春風亭昇太さん
「落語家になりまして、まず師弟関係というのがあるんですけれども、これ寄席がなかったら多分自分の師匠の芸しか見ることができないんですよね。前座修業で寄席に入るってどういうことかっていうと、自分以外の師匠の芸を毎日見るっていうってことなんですよ。毎日見ながら、お茶出しとか着物を畳んだり太鼓をたたいたりするなかで、落語っていう世界の中で生きていく生き方みたいな、そういったルールみたいなものも勉強をさせていただいて。しかも、自分の落語を生のお客さんの前で聞いて頂いて、そのお客さんの笑いの量で自分の技量を判断すると。
あの、一席おぼえてしゃべるっていうのは、比較的簡単なもんなんですよ。ところが落語家の修行ってどういうことかっていうと、あの、落語家って演目を決めてないんですね。ですから、朝から晩までずっと落語やってるんですけど、ネタ帳って言われている、きょう何やったかっていう演目みながら、自在に高座に上がってネタを決めたりしないといけないわけですよ。これ、寄席っていうシステムじゃないと、多分これできないと思うんです。このネタやりたいって言ってやる。だったら前の日、練習してやればいいんですけども、それができないんですね。これがもうすごい勉強になるんですよ」

“寄席の文化を守るために協力を“

落語協会 会長 柳亭市馬さん
「噺家はね、お客さん少なくても驚かないですが、寄席の経営者は、これはお客さんはいんなければしょうがないわけで。ここのところ、出演者の方が多いってことは珍しくなくなりまして、これは寄席経営者は、とてもじゃなく大変なんです。だから、わたしたちの土台が、悲鳴を上げてますから、噺家も、もちろん苦しいんですがでも噺家の土台の寄席が、今、グラついてますんで、ということなんです。寄席はギリギリの所へきております。何とぞ、皆さんの力で存続させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします」

落語芸術協会 会長 春風亭昇太さん
「大衆芸能なんで、パトロンは誰かっていうと一般の皆さんということなんですね、それでずっとやってきた仕事なんですよ。国であるとか、都であるとか、そういった支援していただければありがたいですけど、今、もう、みなさん日本中が困っているので、まず、とりあえず自分たちでやってみようということです。1度なくなったらもう多分、もう1度やりましょうって手あげる方、多分、寄席っていうものはないと思います。本当に特殊なっていうか、不思議なというか、そういった文化ですので、是非、守って頂くためにですね、協力いただきたいということでございますどうぞよろしくお願いいたします」

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