緊急事態宣言の発出が23日に決まる東京都の新型コロナの状況について専門家は、都内のほぼすべての感染が変異ウイルスに入れ代わると、2週間後に新規陽性者数は2000人を、入院患者数は、これまでにない6000人を超えるという推計を22日に開かれた都のモニタリング会議で示しました。そのうえで、変異ウイルスに流行の主体が移りつつあり、爆発的な感染拡大への厳重な警戒が必要だと呼びかけました。
会議のなかで専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。
都内の新型コロナウイルスの感染状況について、21日時点の新規陽性者数の7日間平均はおよそ644人で、前の週のおよそ475人から168人増加しました。増加比は先週の120%から135%となり、専門家は、高い水準のまま上昇傾向が続いていると説明しました。
そして、増加比が135%で継続すると、1日あたりの新規陽性者が、大型連休明けの2週間後には1.82倍のおよそ1170人に、4週間後には3.32倍のおよそ2140人になると分析しました。
さらに、専門家は、都内のほぼすべての感染が、感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスに入れ代わったとして単純に試算=試みの計算をすると、2週間後に新規陽性者数は2000人を、入院患者数は6000人を超えるという推計を示しました。
入院患者数がこれまでで最も多かったのはことし1月12日時点の3427人で、6000人を超えるとした今回の推計はそれを大幅に上回ることになります。
感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスに感染した人の割合について専門家は、4月4日までの1週間は16.5%でしたが、4月11日までの1週間は28.5%となって上昇していると説明しました。そして、大阪では感染力の強い『N501Y』が2週間でおよそ80%を占めるまで上昇しているなどとして、都内でも引き続き警戒して動向を注視する必要があると指摘しています。
専門家
「『N501Y』の変異があるウイルスは感染力が強いことから全国的に広がりを見せていて、従来のウイルスから変異ウイルスに流行の主体が移りつつあり、爆発的な感染拡大への厳重な警戒が必要だ」
一方、医療提供体制について、入院患者は、21日の時点で1606人となり、1424人だった1週間前の4月14日の時点と比べて182人増えました。専門家は「今後の感染状況の推計や変異ウイルスの影響などを考慮すると大型連休から医療提供体制がひっ迫することが危惧される」と指摘しました。
また、都の基準で集計した21日時点の重症患者は、4月14日の時点より7人増えて48人でした。専門家は、「変異株によって、従来株よりも若い世代の重症化リスクが高まることも懸念される」と指摘しています。
モニタリング会議のあと、東京都医師会の猪口正孝副会長は、感染動向を踏まえた今後の入院患者数と医療提供体制についての見通しを示しました。
猪口副会長
「いまの新規陽性者の増加比では、4週間後の入院患者は2000人を超えると考えられる。そして、『N501Y』の変異があるウイルスに置き換わると、入院患者は2週間後には6000人に増える。変異ウイルスによる患者が急増し、医療提供体制は相当危機的な状況になり、ひっ迫していくと考えている。これに備えて、今、準備をしているところだ」
小池知事
「まん延防止等重点措置が始まってから10日間経過しているが、人流の十分な抑制には残念ながら至っていないのが現状だ。新規陽性者の増加スピードが上がっている。大型連休という特別な期間がこれからやってくるが、人流を抑制する重要な機会だ。より強い対策を今やっておくことが必要で、関西圏の状況を見てももはや一刻の猶予もない」
さらに小池知事は、緊急事態宣言のもとで行う措置について、「国と密に話をしながら、専門家の意見も聞きながら効果のある対策にしていきたい。変異ウイルスの猛威がより強いということで、これまで通りでは抑え込めないという認識のもとさまざまな協議をしている。どうやって人の流れや人と人との接触を減らしていくのか、いま詰めているところだ」と述べました。