政府は、大阪、東京、兵庫の3都府県を対象に緊急事態宣言を出す方向で検討しています。でも、いま出されている「まん延防止等重点措置」と何が変わるのでしょうか?ポイントは「休業要請」です。すでに緊急事態宣言の発出を国に要請した大阪府の検討内容を含めて詳しくみていきます。
新型コロナウイルス対策で、政府は、緊急事態宣言の発出を要請した大阪に加え、要請を調整している東京と兵庫を含めた3都府県を対象に宣言を出す方向で検討しています。
いま出ている「まん延防止等重点措置」と「緊急事態宣言」はどう違うのかを確認します。
●対象地域
まん延防止等重点措置は、政府が対象とした都道府県の知事が、市区町村など特定の地域を限定することができます。
一方、緊急事態宣言は、都道府県単位で出されます。
●適用の目安
まん延防止等重点措置は、「ステージ3」が想定されていますが、感染が局地的に、急速に広がっている場合は、「ステージ2」での適用もありえるとしています。
一方、緊急事態宣言は感染状況が最も深刻な「ステージ4」に相当するかどうかが目安になります。
●飲食店などに行うことができる措置
まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言が出された際と同様に、知事が事業者に対して営業時間の短縮などを要請し、応じない場合は「命令」することができ、いずれの場合も事業者名を公表することができます。
ただ、「休業要請」は緊急事態宣言のもとでは可能ですが、重点措置のもとでは行えません。
東京都内で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、都は近く、政府に対して、緊急事態宣言を出すよう要請する方針で、内容などについて国との協議を進めています。
感染の急拡大を防ぐため人の流れの大幅な抑制に向けた対策などが焦点で、都は、今の「まん延防止等重点措置」でとっている対策よりもさらに踏み込んで、休業要請も含めた強い措置が打てるかどうかなど、国との調整を急ぐことにしています。
緊急事態宣言が発出された場合、どうなるのでしょうか?
すでに緊急事態宣言の発出を要請した大阪府がどういう措置を検討しているのかを見てみます。
●休業要請
吉村知事は規模の大きな商業施設や遊興施設に休業要請を行う考えを示しました。具体的にあげたのは大規模な百貨店、商業施設、ショッピングモール、地下街、大きな映画館、テーマパークなどです。
こうした施設について府は1回目の宣言では休業を要請しましたが、2回目の宣言では営業時間を午後8時まで短縮することへの協力の呼びかけにとどめていました。
今回、休業要請を検討している理由について吉村知事は「これまでクラスターは発生していないが人が大きく集まり人の流れが生まれることでそのあとの行動などが感染の原因となる。飲食店の時短営業だけでは不十分だ」と述べて理解を求めました。
●飲食店は3つの案で検討
過去2回の宣言時に時短営業を要請していた飲食店については、より強い措置を3つの案で検討しているとしています。
検討しているのは以下の3つの案です。
(1)「すべての飲食店に休業を要請する」
(2)「土日・祝日は休業を要請し平日は午後8時までの営業としたうえで酒類の提供はしない」
(3)「休業の要請はしないものの営業時間は午後8時までで酒類の提供はしない」
府はこの3つの案を国に提案していて、調整を急ぐとしています。
●小中学校一斉休校はせず
一方、小中学校や高校については1回目の宣言のときのような一斉休校は行わず、通学に不安のある子どもにはオンラインでの学習支援を行うことなどを検討しています。
●スポーツイベントなどは「実施すべきでない」
また、吉村知事はスポーツイベントなどについても「宣言の期間中は原則、中止か延期とすべきだ」と述べ人の流れを抑制するために実施すべきではないという認識を示しました。
東京都にはこれまでに2回、緊急事態宣言が出されています。
●1回目の緊急事態宣言
去年4月から5月にかけての1回目の宣言では幅広い業種を対象に休業要請が行われました。
休業要請が行われたのは、カラオケ店やライブハウス、スポーツクラブ、遊園地、映画館といった人が多く集まる施設などです。デパートやショッピングセンターなどの大型の商業施設は、生活必需品を販売するエリアなどを除き休業要請の対象に含まれました。
また、学校にも休校を要請したほか、イベントは開催の停止を要請しました。さらに、飲食店に対しては、午後8時までの営業時間短縮の協力を求め、酒の提供は午後7時までとしました。
また、都民に対しても外出を控えるよう要請が行われ、1回目の緊急事態宣言では、「徹底した外出自粛」を求めました。
●2回目の緊急事態宣言
ことし1月から3月にかけての2回目の緊急事態宣言では休業要請は行わず、飲食店のほか、バー、カラオケ店を対象に営業時間の短縮要請を行いました。時間は1回目と同じく午後8時まで、酒の提供は午後7時まででした。
イベントは、1回目のような開催の停止ではなく、客の上限を5000人、かつ収容率50%以下に制限するよう要請しました。また、遊興施設などに対しては、午後8時までに営業時間を短縮するよう協力を求めました。
都民に対しては、「不要不急の外出自粛」に加え「特に午後8時以降の徹底」を求めました。
3都府県に宣言が出されれば、去年4月、ことし1月に続いて3度目となります。