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「N501Y」変異ウイルス 専門家 “人流抑制を” 知事 “東京にこないで”

~4月15日 都のモニタリング会議 詳報~
  • 2021年4月16日

新型コロナの状況について東京都の「モニタリング会議」で15日専門家は、「爆発的な感染拡大への厳重な警戒が必要だ」「徹底して人の流れを減らしていくことがいっそう必要だ」などと指摘しました。これを受け小池知事は「都外に住む人は通勤を含めて可能な限り東京へは来ないでほしい。事業者にはテレワークを徹底してほしい」などと述べ、行動変容への協力を呼びかけています。

「N501Y」変異のあるウイルス 感染が著しく増加

会議で、「第3波より急速に感染が拡大し、波が大きくなる可能性がある」として強い懸念を示した専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

新たな感染の確認は、14日時点の7日間平均が475.3人となり、前の週からおよそ80人増加しました。
都内で感染力が強いとされる「N501Y」の変異があるウイルスの感染が確認されたのは、14日までであわせて408件で、4月7日までの149件と比べて、著しく増加しているとしています。

さらに都内では15日、新たに68人が、「N501Y」の変異があるウイルスに感染していることが確認され、変異ウイルスの拡大が続いています。これにより都内で変異ウイルスの感染が確認されたのは、あわせて476人となっています。

 専門家

感染状況
「『N501Y』の変異があるウイルスは感染力が強いことから全国的に広がりを見せていて、流行の主体が従来のウイルスから変異ウイルスに短期間で移る可能性もある。爆発的な感染拡大への厳重な警戒が必要だ」

〇医療提供体制
「従来のウイルスより重症化率が高いとされる変異ウイルスによる重症者の増加を注視する必要がある。重症化リスクの高い高齢者への感染を徹底的に防止する必要がある」

午後8時から午後10時までの人出 宣言期間の1.78倍

新規陽性者の増加の要因のひとつとされる人の流れについて、会議では、東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センターの西田淳志センター長が、都内7つの繁華街の人出について分析した結果を報告しました。

それによりますと、4月10日までの1週間の夜間の人出は依然として高い水準です。なかでも午後8時から10時までの2時間の人出は、緊急事態宣言が出ていたことし1月16日までの1週間の同じ時間と比べ1.78倍になっています。 

西田淳志センター長
「夜間の人出が高い水準のまま推移すると、大型連休前に感染者数が急増する可能性が高く、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」がさらに上昇する。変異株の感染が今後さらに広がることを考慮すると、感染拡大を止めるには、夜間の人出を早急に抑制する必要がある」

「N501Y」拡大 “人と人との接触を半減しないと抑制できず”

さらに、感染力が強い変異ウイルスが広がった場合の感染の拡大状況について、都の「専門家ボード」の座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授が分析結果を明らかにしました。

=今回の分析=感染力が強いとされる「N501Y」の変異があるウイルスの場合、「実効再生産数」が、従来のウイルスの1.43倍になるとして計算。1.43倍は国立感染症研究所の報告をもとに仮定した数値。


分析の結果、「N501Y」の変異があるウイルスが広がった場合、人と人との接触を30%減らしても、1人が1.1人に広げることになり、感染は拡大するとしています。
一方、接触を50%減らした場合は1人が広げるのは0.79人で、半分程度まで減らさないと感染拡大を抑えられないとしています。さらに、70%減らした場合は0.47人まで減少し、感染の抑制につながるとしています。

ただ、海外の研究では「N501Y」の変異があるウイルスの場合、「実効再生産数」が従来のウイルスの1.9倍だという報告もあります。この場合、人との接触を50%減らしても感染が拡大する計算になるということです。

「専門家ボード」座長 賀来満夫特任教授
「大阪のように新規陽性者が急増する前に、東京でも徹底して人の流れを減らしていくことがいっそう必要だ」

小池知事 “東京にこないで” “いまこそ努力が必要 行動変容に協力を“

モニタリング会議のあと、東京都の小池知事は、感染拡大防止への協力を呼びかけました。その詳細です。

〇人の流れの抑制 “東京にこないで”
改めて人の流れの抑制という観点から、都民の皆さんへのお願いをしたいのですが、都と県の境をこえる移動について自粛をお願いします。変異株、感染拡大している大都市圏との往来は控えてください。通勤を含めまして都外にお住いの方、エッセンシャルワーカー以外の方は、可能な限り東京へはこないでいただきたい。

〇外出は必要最低限に
都内での外出につきまして、改めて買い物など必要最低限にしていただきたいと思います。毎日の買い物を、例えば3日に1回程度に減らしてください。少人数、短時間ですませていただきたい。通販なども活用するということで、改めて、かつての緊急事態宣言がでたころのみなさんの緊張しながらご協力いただいたことを思い出していただきたいと思います。GW中の旅行についても中止または延期のお願いをいたします。

〇事業者はテレワークの徹底 長期休暇取得を
事業者の皆さんには、とことんテレワークをお願いをしたい。そして、オンライン会議で出張を控えてもらうというようなことで、人の流れの徹底した抑制をお願いします。10人の会社もあれば、100人、1000人の会社、いろいろあると思いますが、日々の出勤者を3割に抑えていただきたい。ぜひとも経営トップから積極的な呼びかけをお願い申し上げます。
GWの期間がせまってまいりましたが、何日かが平日になるわけで、ここをぜひとも積極的に連続の休暇になるように企業で認めていただいて、従業員の出勤抑制にご協力をということであります。この間の人流を抑えるためにご協力をお願いしたい。

〇“いまこそ努力が必要 行動変容に協力を“
いまの取り組みがきわめて重要であります。流れに歯止めがかからなければ、例えば緊急事態宣言、そういったことにいかないようにいまこそ努力が必要になってくるわけでございます。発出の抑制を検討せざるを得なくなるということを考えながら、みなさんの行動変容、ご協力をお願い申し上げます。都民、事業者、行政が一体となって、難局続きでありますが、今こそ変異株とも戦う、ワクチンがくるまでの時間、どうやって防ぐのかということも、皆さんとともに考えながら、意識を合わせながら進めていきたいと思っていますのでよろしくお願いを申しあげます。

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