新型コロナウイルスの感染の再拡大で、大阪府の吉村知事は、食事中に食べ物や飲み物を口に運ぶとき以外はなるべくマスクを着用するいわゆる「マスク会食」を義務化したいと訴えていますが、首都圏でも今後、広がっていく可能性はあるのでしょうか?
大阪府の吉村知事は、新型コロナウイルスの感染の再拡大で、大阪に「まん延防止等重点措置」が適用された場合、飲食店での飛まつ感染の防止に力を入れると述べ、会食でのマスク着用を政令で義務化したいという考えを示しています。
東京・新橋で尋ねると賛成、反対の両方の意見が聞かれました。
●賛成
●反対
この「マスク会食」は、首都圏ではすでに去年の夏から呼びかけられていました。
神奈川県の黒岩知事は「マスク会食」を発案し、去年の夏からポスターやチラシなどで呼びかけていて、営業時間の短縮要請でも飲食店に対してマスク会食を推奨することを協力金を支給する条件にしています。
しかし、飲食店の利用客などからは否定的な意見も多く、神奈川県内でも定着しているとはいえないのが現状です。
●大阪府が義務化を検討していることについて
「多くの人がマスク会食が感染拡大防止に重要だという意識を共有する良いチャンスで期待している。マスク会食が広がれば、感染拡大を抑えながら経済活動を回すことができるのではないか」
●神奈川県として義務化について
「利用者や店にどこまで協力を求めるのか難しい。神奈川県としては強制ではなく、マスク会食は楽しいと思ってもらえるような呼びかけをしていきたい」
都内の居酒屋の経営者からは、店側が客に理解を求めるのは難しいという声が聞かれました。
東京・新橋の居酒屋の店主、山科昌彦さんは「マスク会食」の義務化について「感染対策という面ではいいことだと思うし、もし東京でも義務化が検討されるようなことになれば従うと思います」と話していて、一定の理解を示しています。
一方で、店側が客に義務化について理解を求めるのは難しいと感じていて「楽しく飲食してもらいたいのにマスクを着用するよう何度もお願いすることになれば客が不快な気持ちになるかもしれないし、面倒くさいからもう店に行くのをやめようと思われるのも怖いです」と話しています。そのうえで「感染対策は客側にも理解してもらって進めるべきものだと思うので『マスク会食』が東京でも義務化されることがあるなら行政にはしっかりとみんなが理解できるように説明をしてもらいたいです」と話しています。
「マスク会食」について、感染症に詳しい近畿大学医学部の吉田耕一郎教授は次のように指摘しています。
近畿大学医学部 吉田耕一郎教授
「どうしても誰かと食事をしなければいけない状況がある人は、マスク会食をすればいいし、やらないよりはやった方がいいと思う。ただ、お酒を飲みながら楽しもうという時に、マスクの着用を100%、守るのは無理だと思うし、マスク会食をすれば、誰もが食事に繰り出してもいいということではない。再び感染が拡大するなかで、国や大阪府は人の流れを止める強いメッセージを一刻も早く出すべきだ」