首都圏各地で変異ウイルスの感染が広がっています。東京都は、新型コロナウイルスの新規陽性者のうち変異したウイルスかどうかを調べる検査の割合を、4月上旬にはおよそ25%に引き上げることを目標としています。専門家は「検査で把握できているのは全体の一部でしかないため、実際はさらに広がっている可能性が高い」として警戒を呼びかけています。
首都圏各地で、30日までに変異した新型コロナウイルスの感染が確認された人数です。
・東京都 48人
・神奈川県 57人
・埼玉県 64人
・千葉県 48人
・茨城県 6人
・群馬県 3人
・栃木県 2人
東京都は、感染力が強いとされる変異ウイルスかどうかを調べる検査の割合を、新規陽性者のおよそ25%に引き上げると3月18日に明らかにしました。25%に引き上げる期限は、4月上旬を目標としています。
都によりますと、3月14日までの1週間は10.4%で、3月21日までの1週間は11.5%でした。2週間で上昇したのはおよそ1%です。
割合を引き上げるためにカギとなるのは、通常の検査のおよそ93%を占めている民間の検査機関に協力が得られるかどうかです。現在、変異ウイルスの検査を行っているのは、都の健康安全研究センターのほかに、民間の検査機関1社ですが、都は、さらに民間検査を増やしたい考えです。
ただ、都によりますと、変異ウイルスの検査は機器の設定や使用する試薬などが通常の検査と異なるため、担当者のノウハウの習得や検査要員の確保などが課題です。このため、都は健康安全研究センターで行っている検査のノウハウを民間の検査機関に伝える取り組みを進めています。都は、協力が得られた機関とは契約を結び、検査にかかる費用を負担するということです。
国内で感染が広がっている変異ウイルスについて、感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授は次のように指摘しています。
松本教授
「従来型と比べて感染力が強く、重症化するリスクが高い。東京都内でこれまでに感染が確認されたのは40人を超えたぐらいだが、検査で把握できているのは全体の一部でしかないため、実際はさらに広がっている可能性が高い」
松本教授が受けもっている大学病院では、新型コロナウイルスの入院患者に占める変異ウイルスの感染者の割合は、2月は1割から2割程度でしたが、3月に入って増加し、31日時点でおよそ半数に達しているということです。
厚生労働省の基準では変異ウイルスの感染者は原則として個室に入院させ、24時間以上あけた検査で2回続けて陰性が確認できなければ退院は認められないため、医療現場の負担が増加しているということです。
松本教授
「変異ウイルスにはワクチンが効きにくくなる可能性もありやっかいだが、どうにかして感染拡大を抑え込まなければいけない。人出が増えて他人との接触機会が増える時期ではあるが、マスクの着用や換気をこれまで以上に徹底し、感染予防を図ってほしい」