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地価公示 東京圏は8年ぶりに下落 都内の商業地で特に落ち込み目立つ

  • 2021年3月23日

土地の価格動向を示すことしの地価公示で、首都圏の1都3県を中心とする「東京圏」は、住宅地と商業地ともに8年ぶりに下落に転じました。都内の商業地では特に落ち込みが目立ちます。専門家は、「新型コロナウイルスの影響で特に観光地のホテルや施設、店などの需要が大きく減り、その地域の住宅のニーズも落ち込ませ、商業地から住宅地へいわば“負の影響”が広がった」と指摘しています。

東京圏 住宅地と商業地ともに8年ぶりに下落

国土交通省は毎年1月1日時点の土地の価格を公表していて、首都圏の1都3県を中心とする「東京圏」は、6800余りの地点が対象です。

●住宅地
「東京圏」のすべての調査地点の平均でマイナス0.5%と、8年ぶりに下落に転じました。千葉県はプラス0.1%と、わずかに上昇した一方、東京、神奈川、埼玉はいずれもマイナス0.6%と下落しました。
●商業地
「東京圏」の平均でマイナス1.0%と、住宅地と同じく8年ぶりに下落に転じました。千葉が0.5%、神奈川が0.1%それぞれ上昇しましたが、東京がマイナス1.9%、埼玉がマイナス0.9%となり、全体を押し下げた形です。
●東京23区
住宅地が去年のプラス4.6%がことしはマイナス0.5%に、商業地はプラス8.5%からマイナス2.1%と、値下がりの傾向が顕著になっています。観光客の減少や外出自粛を背景に、ホテルや飲食店などが集まる都内の商業地で落ち込みが目立っています。

商業地の最高価格 1平方メートルあたり5360万円

全国の商業地で地価が最も高かったのは、15年連続で東京・中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートルあたり5360万円でした。

高級ブランドの店が並ぶ銀座の中央通りに面し、国内外の観光客が激減した影響で、去年に比べると地価はマイナス7.1%と9年ぶりに下落しました。

2020年3月撮影

住宅地の最高価格 1平方メートルあたり484万円

全国の住宅地で地価が最も高かったのは4年連続で東京・港区赤坂1丁目で、1平方メートルあたり484万円でした。

周辺の虎ノ門地区などで再開発が進み、高級マンションの用地としての需要が高まっていて、地価は去年より2.5%上昇しました。

工業地の最高価格 1平方メートルあたり68万9000円

工業地で地価が最も高かったのは9年連続で東京・大田区東海2丁目で1平方メートルあたり68万9000円でした。

巣ごもり消費などでネット通販の利用が一段と増え、物流施設の需要が高まる中、高速道路や港などへのアクセスのよさから地価は去年より5.0%上昇しました。

専門家「商業地から住宅地へ“負の影響”広がった」

今回の結果について、不動産の調査会社「東京カンテイ」の井出武上席主任研究員は次のように指摘しています。

●今回の結果について
「新型コロナウイルスの影響で特に観光地のホテルや施設、店などの需要が大きく減り、その地域の住宅のニーズも落ち込ませ、商業地から住宅地へいわば“負の影響”が広がった」
●都心の住宅地の下落について
「マンション価格は高止まりしており、都心の住宅地が下落する要素は見当たらなかったため、驚いた。感染拡大前は用地の取得をめぐってホテルなどとの競争が激しかったが、今は比較的取得しやすくなっている可能性がある」
●東京の近郊で地価が上昇した地域について
「人の流れが変わったわけではなく、都心と比べると買いやすい価格なので以前から底堅い需要があった。そうした人たちが感染が拡大しても予定を変えずに購入したことを反映していると思う」
●今後の地価の動向について
「コロナ禍でも業績が好調な企業もあり、駅に近いオフィスビルなどは今後も底堅く動くと思う。感染拡大が収束したあとは、交通や生活の利便性が高い地域、今でも高値がつくような都心や地方都市の人気エリアで地価は再び上がっていくのではないか」

テレワークでオフィス街の地価に影響も

商業地の地価は全国39の都府県で下落し、東京23区でも8年ぶりに下落に転じました。
テレワークに代表される新しい働き方の広がりは、今後、オフィス街の地価に影響を及ぼす可能性もあります。

東京・渋谷のIT企業「ピクスタ」は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに導入したテレワーク中心の働き方を今後も続けるとして、2月、オフィスを移転しました。

旧オフィス

同じ渋谷区内での移転ですが、広さは3分の1、社員用の席はおよそ120から20に、11あった会議室は1室に減らしました。移転によって、賃料や光熱費などオフィスの維持にかかる費用はほぼ半減したということです。

テレワーク中心の働き方を導入した去年2月以降、およそ3割の従業員が住所を変更していて、九州や東北などの実家に戻った人や、東京の近郊に家を購入した人もいるということです。

夏ごろに引っ越しを検討しているという女性
「どこに住んでも今の仕事が続けられるので、旅行に行って好きになった北海道の釧路で暮らしたい」

古俣大介社長
「リモート中心の働き方に移行してもあまりデメリットがないのでオフィスの縮小を決めた。オフィスの縮小や移転は今後も続くのではないか。社員が好きな場所や働きやすい場所で仕事をして生産性が高くなるのは会社にとってプラスだと思う。感染が収束しても出社前提の働き方に戻ることはないだろう」

テレワークに代表される新しい働き方にあわせて、オフィスの移転や縮小の動きが今後も広がっていけば、地域によっては、オフィス街の地価に影響を及ぼす可能性もあるとみられています。

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