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コロナで税収減 “裕福”自治体で相次ぐ事業計画見直し【まとめ】

  • 2021年3月15日

新型コロナの影響で、自治体の税収の大幅な減少が見込まれています。このうち税収が多く比較的“裕福”とされ、国からの交付税を受けていない関東甲信越の40の自治体のうち18で、事業や住民サービスに影響が生じる可能性があることがわかりました。
川崎市では住民の悲願「開かずの踏切対策」が、千葉県浦安市では「子ども図書館」の整備が遅れる見通しになりました。

関東甲信越の不交付団体 18自治体が“影響あり”

総務省によりますと、新型コロナウイルスの影響などで全国の自治体の新年度の財政は今年度の倍以上の財源不足が見込まれ、国からの「仕送り」にあたる地方交付税の増額などが行われることになっています。
一方、いわゆる企業城下町や観光都市など地方税収が多いため交付税を受けていない「不交付団体」にあたる都道府県と市町村は今年度、関東甲信越で東京23区を除き40あり、NHKはこの「不交付団体」を対象に新年度の財政を調査しました。以下、その結果です。

35自治体 「今年度より税収が減る見込み」
5自治体 「増収の見込み」
18自治体 「(税収減が理由で)事業や住民サービスに影響が生じる可能性がある」

川崎市 180億円減収で“交付団体になる可能性”

このうち人口およそ154万人の川崎市は、全国の政令指定都市の中で唯一の「不交付団体」です。しかしコロナの影響で来年度の市税収入は、今年度に比べておよそ180億円減少する見込みで、6年ぶりに地方交付税を受け取る「交付団体」となる可能性があると回答しました。

このため市は、計画している事業を変更する必要があるか検討した結果、JR南武線を高架化する事業の都市計画の決定や京浜急行大師線を地中化する工事を見直すことを決めました。このうちJR南武線の事業は、武蔵小杉駅と矢向駅の間のおよそ4点5キロを高架化する計画で、総事業費はおよそ1500億円が見込まれています。

南武線高架化のイメージ

この区間にある9か所の踏切をなくすことで交通渋滞の解消や通学路の安全性の向上などにつながると期待されていて市は、新年度から実際に土地の買収などを始める予定でした。市は、新型コロナウイルスによる影響を見極めた上で来年度、事業の進め方を改めて検討するとしています。

川崎市道路整備課 長谷川智担当課長
「高架化は長期にわたる事業でいったん始めてしまえばその後も継続して費用がかかり、途中でとめるわけにはいかなくなってしまう。地域の期待も強く、ぜひ進めたいが財政状況も踏まえ、事業費の削減などを検討していきたい」

開かずの踏切 子どもたちは“命がけで登校”

この区間には、ピーク時に1時間あたり40分以上遮断しているいわゆる「開かずの踏切」が5か所あります。これらの踏切では、通勤や通学の時間帯、警報音が鳴り出したあとも踏切内に進入していく人があとを絶たないほか、中には、降りた遮断機を持ち上げて渡っていく人の姿もみられます。去年10月には、向河原駅のすぐ近くにある踏切で男性が自転車を押しながら遮断機をくぐり抜けて踏切内に入り、快速電車にはねられて死亡する事故も起きました。

ふだん踏切を通っている男性
「長いときには踏切で15分近く待たされることもあります。朝はみんな急いでいるから無理をして渡ってしまう人の気持ちも分からなくはないです」

この踏切は、地元の小学生たちも利用していて、地域の人たちが毎朝、登校時間にあわせて見守り活動にあたっています。

見守り活動を続けている国谷澄子さん
「遮断機が上がってもまたすぐに降りてしまうことも多く、渡りきれない子どももいます。もし踏切で転んでしまうとすぐ電車が来るので恐ろしいです。子どもたちは命がけで登校しています。警報音が鳴っているのに平気で踏切を渡っていく大人たちの姿を子どもたちが見慣れてしまっていて、自分が大人になったらやってもいいと思うかもしれないと想像すると怖いです。高架化には、まだまだ時間がかかるとは思いますが、未来の子どもたちのために進めてもらいたい」

千葉県 浦安市も着工延期

都心に近く東京のベッドタウンとなっている千葉県浦安市は、東京ディズニーリゾートを中心とした観光業が新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受け、今年度の市税収入は当初の見込みより1割以上落ち込みました。市の名物ともなっている成人式は、緊急事態宣言により延期されていましたが、心待ちにしてきた新成人の気持ちに応えようと、今月東京ディズニーシーで開催されました。

浦安市恒例の成人式はことしも実施

しかし、市では、4月からの新年度の税収も、今年度の当初予算より7%落ち込むことを見込んでいて、予定していた事業の見直しを余儀なくされています。このうち、親子がくつろげるスペースなどを備えた「子ども図書館」の建設計画は、当初ことし秋にも着工の予定でしたが、延期されることとなり、着工のメドが立っていないということです。

浦安市財政課 泉澤昭一課長
「成人式は、新成人にとって一生に一度の大切な行事なので開催したが、子ども図書館は、市民生活に直ちに影響を及ぼさないため事業が先送りとなった。市民の生活を第一に考え、今やらなければいけない事業を洗い出して、必要な事業の予算を計上していきたい」

各都県の概況は

以下、各都県ごとの不交付団体の状況です。都県名をクリックすると、直接ご覧になれます。

東京都 ・神奈川県 ・千葉県 ・埼玉県 ・茨城県 ・栃木県長野県 新潟県 山梨県

 

東京都 9自治体“事業などに影響が生じる可能性”

東京都の不交付団体(23区除く)

東京都 立川市 武蔵野市 三鷹市 府中市 小金井市 国分寺市 国立市 調布市 多摩市 瑞穂町

東京都では、都と9つの市と1つの町のあわせて11自治体が不交付団体です。いずれも今年度より新年度の税収が減少する見込みと回答しています。税収の減り幅が最も高かったのは、東京都で7.4%、次いで武蔵野市で7.3%、調布市が4.9%などとなっています。

いずれの自治体も、事業や住民サービスへの影響を避けるために基金の取り崩しや事業の見直しなどを行うとしていますが、それでも9つの自治体が「影響が生じる可能性がある」と回答しています。

「影響が生じる可能性がある」とした自治体
立川市 武蔵野市  三鷹市 調布市 小金井市 国分寺市 国立市 多摩市 瑞穂町

また国立市は「来年度、交付団体になる可能性がある」と回答しました。

 

神奈川県 海老名市は職員手当引き下げ5000万円確保

神奈川県の不交付団体
川崎市 鎌倉市 藤沢市 厚木市 海老名市 愛川町 寒川町 箱根町

神奈川県内の「不交付団体」は、川崎市や多くの観光客が訪れる箱根町など、8つの自治体です。いずれも今年度より税収が落ち込む見通しです。税収の減る割合を見ると、箱根町が10.6%と最も高く、次いで海老名市が6.9%、寒川町が6.1%などとなっています。

税収減に対応するため、海老名市では特別職の給与のほか、職員の手当を引き下げて、およそ5000万円を確保するということです。すべての自治体で財政調整基金を取り崩すなどして対応していますが、3つの自治体で、住民サービスなどに影響が生じる可能性があると回答しました。

鎌倉市や箱根町などでイベントや不急な事業、それに公共工事などで先送りの影響が出ると回答したほか、海老名市や愛川町では各種団体の補助金が減額する可能性があるとしています。

 

千葉県 市川市・市原市“工事や改修計画の見直しや遅れも”

千葉県の不交付団体
市川市 浦安市 成田市 印西市 市原市 君津市 袖ケ浦市

千葉は、房総半島の内側の臨海工業地帯にある自治体や国際空港のある成田市など7つの自治体が「不交付団体」です。

印西市を除く6つの自治体が減収すると回答。税収の減る割合を見ると、浦安市が7%、成田市が5.8%、君津市が4%などとなっています。事業や住民サービスに影響が生じる可能性があると回答した自治体は2つあり、このうち市川市は、一部建設工事の先送りや見直しによる影響、市原市は、路面の舗装や河川改修などの計画に遅れがでる可能性があるとしています。

 

埼玉県 和光市“事業や住民サービスに影響が生じる可能性

埼玉の不交付団体
戸田市 和光市 八潮市 三芳町

東京都に隣接する戸田市、和光市、八潮市の3つの市など4つの自治体です。税収の減る割合でみると、三芳町が最も高く4.8%となっています。いずれも基金を取り崩して対応します。また和光市が、事業や住民サービスに影響が生じる可能性があると回答し、公共施設の修繕や改修などの事業の先送りが住民サービス低下に直結するほか、国民保険と介護保険の特別会計の繰出金を縮減することで、保険料などを引き上げることになり、住民に負担が生じるとしています。

 

茨城県 つくば市と東海村 増収見込み

茨城県の不交付団体
つくば市 神栖市 東海村

今年度、つくば市と神栖市、東海村が「不交付団体」です。来年度の税収は、つくば市と東海村が増収の見込みと回答しました。

 

栃木県 芳賀町4.8%減少見通し“交付団体になる可能性”

今年度、芳賀町が不交付団体となっています。来年度は、今年度より4.8%減収する見通しで、道路の修繕を見送るなどの対応をとることにしています。また、来年度は「交付団体」になる可能性があると回答しました。

 

長野県 軽井沢町税収増の見通し

別荘地として知られる軽井沢町のみとなっています。税収は今年度より増える見通しですが、下方修正を行う可能性もあるということです。また、町民サービスへの影響は最低限にしたいが、見通しがつかない状況だと回答しています。

 

新潟県 聖籠町0.6%減少見通し

新潟県の不交付団体
聖籠町 刈羽村

今年度、聖籠町と刈羽村が「不交付団体」となっています。来年度の税収では、刈羽村で今年度より増える一方、聖籠町は0.6%減る見通しで、財政調整基金は取り崩しません。聖籠町は、納税猶予の申し出が増えた場合、何らかの影響が生じるのではないかと回答しています。

 

山梨県 山中湖村14.2%の減少見通し

山梨県の不交付団体
昭和町 忍野村 山中湖村

今年度、昭和町と忍野村、山中湖村が「不交付団体」となっています。来年度の税収は、いずれも今年度と比べて減収する見通しで、このうち、山中湖村は、今回の調査結果の中では全国で最も高い14.2%の減収見通しと回答しました。また、昭和町は現行のサービスや今後の事業計画を見直す可能性があると回答しました。さらに、来年度、忍野村と山中湖村は「交付団体」になる可能性があるとしています。

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