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新型コロナ 拡大する変異ウイルスへの感染 今後の対策は

  • 2021年3月11日

首都圏でもイギリスなど海外で広がる変異した新型コロナウイルスの感染が広がっています。厚生労働省によりますと、3月9日までに埼玉県で全国2番目に多い41人の感染が確認されるなど、関東地方の1都6県で、あわせて83人にのぼっています。

変異ウイルスへの感染 “これからの広がりが大変懸念” 

東京都は10日、変異した新型コロナウイルスへの感染が新たに4人確認されたと発表しました。4人は都の「健康安全研究センター」で行ったPCR検査で、変異ウイルスへの感染がわかったということです。また10日は、神奈川県や千葉県も変異ウイルスの新たな感染確認を発表しています。

東京都小池知事(10日)
「これからの広がりが大変懸念されるところで、都内で変異株による感染が急速に広がる可能性も踏まえて国と連携しながら状況の把握に努めていきたい」

関東1都6県 変異ウイルスの感染者数は

厚生労働省によりますと、3月9日までに、国立感染症研究所のゲノム解析によって、国内で確認された変異ウイルスの感染者は、空港の検疫を除くと21の都府県で271人となりました。また、空港の検疫を合わせると国内全体では、345人の感染が確認されています。

※国立感染症研究所のゲノム解析

このうち関東地方では、埼玉県が41人で、大阪府の62人に次いで全国2番目の多さとなっています。また、神奈川県では22人、東京都で14人、群馬県で3人、栃木県で1人、茨城県で1人、千葉県で1人となっています。

海外で猛威をふるう変異ウイルスは、去年の12月末に国内で初めて確認されました。去年12月は3人、ことし1月は21人でしたが、2月は134人と大幅に増加。さらに3月は、9日までで、すでに113人となっています。

厚生労働省によりますと、3月5日の前回の発表後から9日までに、変異ウイルスへの感染が新たに確認されたのは、7つの府県で77人にのぼり、国内でも感染が拡大しています。

“変異ウイルス 監視体制の強化を”

こうした中、新型コロナウイルスへの対応をめぐり、政府の分科会の尾身茂会長は、10日の衆議院厚生労働委員会で、今後、変異ウイルスが国内でも主流になっていくという認識を示し、監視体制を強化する必要性を強調しました。

政府の分科会 尾身茂会長
「間違いなく既存株に取って代わるプロセスが始まっていて、早晩、変異株が主流になると考えておいたほうがいい。今のところ日本では、変異株の感染力がヨーロッパで言われているほど高くなったという直接のエビデンスはないが、そうなるだろうと想定して、大学や民間の検査機関をすべて動員し、変異株のモニタリングをオールジャパンで強化していくことが急務だ」

変異ウイルスへの対応は

変異した新型コロナウイルスについて、公衆衛生学が専門で国際医療福祉大学の和田耕治 教授は「変異株が従来のウイルスに置き換わろうとしている兆しが見えてきている状況と言えるのではないか」とした上で、対策が本当に徹底できているのか、改めて確認して備える必要があると指摘しています。

 国際医療福祉大学 和田耕治 教授

◯変異ウイルスの広がりで想定されること

「変異株が感染の主流になれば、地域や施設で今まで以上のスピードで感染が広がるおそれがある。例えば高齢者施設でのクラスター対策を考えると、これまでは10人ぐらいで食い止めることができていたものが、変異ウイルスでは同じ対応でも20人などと広がってしまうことが考えられる。こうした事態が地方で起きれば、あっという間に医療体制がひっ迫することも想定される」

 〇変異ウイルスへの対策は

「変異株は行政や組織の対応という視点にたつと深刻な問題だ。これまでよりも早い判断、早い対応が求められるため、各自治体や施設で新型コロナウイルス対策の実践力が問われる。対策が本当に徹底できているのか、改めて確認して備える必要がある。一方で、個人レベルでは対策の内容は変わらない。手洗いやマスクの着用、3密を避けるといった感染リスクを抑える行動をとり続けることが重要だ」

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