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江戸川乱歩も認めた作家・小栗虫太郎 作風異なる小説確認

  • 2021年3月2日

横溝正史などとともに昭和初期に活躍した探偵小説家・小栗虫太郎をご存じですか?その才能は、江戸川乱歩も認め、「黒死館殺人事件」などの傑作を世に出しましたが、昭和16年にほかの作品とは作風が全く異なる家庭小説を発表していたことが確認されました。専門家は「これまでの作家像の見直しが迫られる発見だ」と指摘しています。

乱歩や正史も認めた才能 虫太郎

明治34年に東京で生まれた小栗虫太郎は、昭和初期に活躍した探偵小説家で、32歳の時に発表した「完全犯罪」で一躍注目を集めたほか、名探偵・法水麟太郎が登場する「後光殺人事件」や「黒死館殺人事件」など、探偵小説や冒険小説などで多くの傑作を生み出しました。

その才能は、江戸川乱歩や横溝正史なども認めていましたが、昭和21年、44歳の若さで亡くなりました。

小栗について、二松学舎大学の山口直孝教授は「特殊な知識を駆使して、日常とは異なる幻想的な物語空間を作ることに情熱を傾けた作家で、グロテスクでロマンチックな物語世界はほかの作家がまねできないものがある」と評価しています。

作風全く異なる家庭小説 確認

山口教授が小栗作品の調査を進めたところ、「亜細亜の旗」というタイトルの新聞連載が新たに見つかり、著作目録に記録がない長編小説と確認されました。

山口教授によりますと、この作品は太平洋戦争が始まる昭和16年から翌年にかけて九州などの地方新聞に連載され、主人公の青年医師をめぐる恋愛や人間関係が描かれています。

戦時中に苦心して創作 作家像の見直しも

「亜細亜の旗」は、日本と中国・上海を舞台にした家庭小説で、ほかの作品に見られるような非現実的な場面設定や難解な専門用語は用いられていません。
トラブルや波乱が立て続けに起きるなど、読者を飽きさせない工夫が見られ、登場人物の会話の多い読みやすい作品となっています。

山口教授によりますと、探偵小説は戦時中、表現を規制されて発表の場を失い、探偵小説家は時代小説や家庭小説などほかのジャンルに手を広げて表現活動を続けていて、「亜細亜の旗」は、そうした時代背景の中で小栗が生み出した作品の1つとみられるということです。

山口教授
「探偵小説が書けないから、やむを得ず筆を執ったところはあると思いますが、その中でもおもしろく読ませる物語を作っていこうというような工夫をしている。与えられた状況の中で作家が苦心しながら創作をしていたということが、今の時代に読むとより鮮明に見て取れると思います。これまでの作家像の見直しが迫られることになるのではないでしょうか」

「亜細亜の旗」は3月、単行本として出版される予定です。

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