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コロナのワクチン 集団接種の流れは?訓練で見えた課題は

  • 2021年1月27日

政府が、できる限り来月下旬から新型コロナウイルスのワクチンの接種を始めたいとしている中、27日、川崎市が全国初となる集団接種を想定した訓練を行いました。実際にどのような流れで集団接種を行うことになるのでしょうか?また、訓練ではどのような課題がわかったのでしょうか?

川崎市でワクチン接種の訓練

新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府は、できる限り、来月下旬から、医療従事者を先行して順次、始めたいとしています。こうした中、川崎市は厚生労働省と協力し、全国で初めてとなる集団接種の会場を想定した大規模な訓練を行いました。

川崎市では、まだ実際に接種が行われる場所は決まっていませんが、この日は実際の場所を想定して市内の短期大学の体育館で訓練が行われ、医師や看護師、それに市の職員などおよそ60人が参加しました。

参加者は、接種を行うスタッフや市民役などに分かれ、受け付けから問診票への記入、ワクチンの接種、そして、その後の経過観察まで一連の流れを確認しました。

また今回は、アメリカの製薬大手、ファイザーのワクチンを使用するという想定で、会場にはマイナス75度前後で保管できる専用の冷凍庫も持ち込まれました。

一方、接種の前に医師が問診するスペースでは相談が長引く様子も見られ、市の関係者は、対応するスタッフの人数を増やすなど対策が必要だと話していました。

川崎市は、市民への本格的な接種が始まれば、7つある区ごとに集団接種の会場を設ける方針で、福田紀彦市長は「きょうの訓練を通して得られた知見をスムーズな接種を行うためにいかしていきたい」と話していました。

今回の訓練の様子は映像で記録され、厚生労働省は、今後、会場内で人が密集しないための業務の進め方や、1人あたりにかかる時間など、訓練で得られた結果を全国の自治体に伝えることにしています。

集団接種の流れは?

新型コロナウイルスのワクチンの集団接種の会場では、受け付けや予診、ワクチンの接種、接種後の経過観察までさまざまな行程があり、会場での密集を避けながらいかに効率的に接種を行うかが課題となっています。

●集団接種の流れ
(1)クーポン券提示し、運転免許証などで本人確認、検温
集団接種の会場では、まず受け付けで自治体から届くクーポン券を提示してもらい、運転免許証や保険証などで本人確認をします。この際、検温を行うことになっていて、川崎市の場合、37度5分以上の熱がある人は会場に入れないということです。

(2)問診票の記入 
次に、健康状態やこれまでにかかった病気などを問診票に記入してもらい、医師が接種が可能かどうかを判断する予診が行われます。

(3)ワクチンの接種
問題がなければ接種に進み、注射器でワクチンの接種が行われます。ワクチンの接種には1人あたり1、2分程度かかると見込まれています。
今回の訓練では、アメリカの製薬大手、ファイザーのワクチンの使用を想定していて、会場には「ディープフリーザー」と呼ばれるマイナス75度前後でワクチンを保管できる冷凍庫が設置されます。

(4)接種済証を受け取る
接種を終えた人は日付などが記された接種済証を受け取ります。接種済証には、どのワクチンを接種したかなどの情報が記載されていて、2回目の接種を受ける際に必要になるということです。

(5)接種後15分以上、その場で経過観察

 

接種が終わってもすぐに帰宅できるわけではありません。海外では、日本への供給が計画されているワクチンについて、接種後に、頭痛やけん怠感などの症状が見られたことが論文などで発表されています。また、アメリカなどでは、ワクチンの接種を受けた人に、まれに「アナフィラキシー」という急激なアレルギー反応が出たケースも報告されています。
こうしたことから厚生労働省は、接種後15分以上、その場で経過観察を行うよう求めていて、会場には、接種を終えた人たちが待機するスペースが設けられます。
このスペースにはスタッフが付き添い、体調に変化が出た場合は会場に併設されている救護室で対応するということです。

専門家「接種の不安について相談できる体制作りを」

新型コロナウイルスのワクチン接種の体制整備について政府の分科会メンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、かつてない規模での集団接種になるため、訓練で課題を見つけ出すことが重要だと指摘しています。
そのうえで、接種に際しては副反応だけでなく、接種することへの不安が引き金になってめまいや過呼吸などの症状が出ることがあるほか、まわりの人にも不安が広がるおそれもあるとして、対応できる相談体制を整える必要性を強調しています。

「新型コロナウイルスのワクチン接種は、国内でかつてない規模の集団接種になる。超低温で保存されたワクチンを解凍して薄め、さらに注射器に入れて接種するという手順も通常とは異なるため、慣れないうちは混乱する可能性がある。やってみなければわからない部分が多く、課題や問題点を見つけ出すためにも実践的な訓練を行うことは非常に重要だ」

また、ワクチンの接種に際して、命に関わる急激なアレルギー反応アナフィラキシーだけでなく、注射が怖いなど接種することへの不安やストレスが要因となってめまいや過呼吸などが引き起こされるおそれもあると指摘しています。

「何より重要なのは、接種会場の環境を静かでおだやかな状態に保ち、医療者が接種を受ける人にコミュニケーションをとりながら丁寧に説明して接することだ。丁寧に対応しないと不安やストレスはより強くなり集団接種の会場ではまわりの人に不安が広がってしまうおそれもある。不安を感じたときに相談できる体制を作っておくことが必要だ」
「ワクチンの安全性は成分だけで決まるものではなく接種という行為がどう行われるかにも影響される。たとえば自治体で接種率を競うなど、現場に焦りを強いるようなことは避け、落ち着いた雰囲気でワクチン接種が進められるような環境を整備することが重要だ」

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